昨日の係員は、日本語がペラペラのカナダ人だったが、今日は日本人だった。キャビンに着いて空を見上げる。また星が出ているだけである。オーロラは今日も現れてくれるだろうか。
一度外に出てしばらく空を眺めた後、キャビンに戻ったところで、隣に座っていた女性から話しかけられた。
「今日、いらっしゃったんですか?」
そこから、同じテーブル上の人達で会話が始まった。皆は、僕の身なりと、カメラにテープを貼ったりレリーズを付けたりしているのを見て、プロのカメラマンだと思ったらしい。(髭を生やしていたのが大きいのか?)確かに、格好だけは一人前である。
話ができたことで、居心地の悪さは解消した。正面に座ったカップルは新婚旅行だそうだ。この後いったん日本に戻り、改めてオーストラリアに行くのだという。変てこなスケジュールだ。彼らは、昼間の市内観光で隣に座っていた二人だった。奥さんは綺麗な人だ。うらやましい。
今日もオーロラはなかなか出ない。昨日よりも長く外でねばっているのだが、一向に姿を現さない。帰る予定の12時半が近付いた時点で、1時間の延長が告げられた。キャビンに戻り、暖を取った後、気を入れ直してまた外に出る。
昨日誰かが言っていた、少し高台のほうに登ってみた。眺めが結構いいらしい。深くなる雪に苦労しながらも、聞いた方向に行ってみた。歩く後ろに、大きな足跡がぼこぼとできる。登ってみると、なるほど、少し遠くまで見通せて、いい感じであった。少し立ち止まって眺めたあと、時間が迫っているので戻ることにした。
戻る途中、うっすらと出かかっているのが見えた。急いでキャビンに向かう。カメラはまだ、あの中だ。誰かの声があってか、一斉に出てくる人達と入り口で鉢合わせとなる。カメラを持ち出し、急いで何枚か撮った。昨日よりも更に薄く、やはり心は動かない。やがて時間到来。今日もこれで終わりだ。失望感が大きい。