I want to touch you
Kei Kitamura

<5>

「コケが嫌なら、やっぱりテメェはマリモヘッドだ、マリモ!よくまぁ、光合成してるよな!水分と光りさえありゃいいんじゃねぇのか?その頭はよぉ」
 ロビンに対峙していた時とは段違いの表情で、ペラペラと悪態を付くサンジに、ゾロは呆れて二の句が継げなくなった。
 それでもサンジが止まる事はなく、右から左に抜けていくような言葉を吐き続ける。
 いい加減聞き飽きて、ゾロはその口を大きな手のひらで塞いでしまった。
「んぐっ!」
「ああ…もう分かったから、黙れ。うるせぇんだよ、お前は」
「う゛む゛む゛〜っっ!!」
 じゃれ合っているようにしか見えない二人を暫く眺めていたロビンが、クスリと笑いを漏らす。その声に気付いたサンジは、ゾロの手を振り払った。
「ロビンちゃん!すぐに飲み物用意するからっっ!」
「ええ…よろしくね。コックさん」
 笑いを殺しながら、オーバーアクションで笑うサンジに手を振り、キッチンへと向かう。
 ロビンの背を追いかけようとしたサンジの腕を、ゾロが掴んだ。
「…んだよ?今の続きか?後にしろよ。オレは今からレディ達に…」
「髪、触ってたろ?」
 いきなり突き付けられた事実に、サンジの顔が強張ったかと思うと、次の瞬間それは見事に真っ赤に染まる。
 サンジのあからさまな動揺に、尋ねたゾロの方が、驚いてしまった。
「…な…に、言ってんだ!寝ぼけたんじゃねぇのか?!白昼夢でも見たんだろ?!つか、願望か?」

(いや…バレバレなんだが…)

 動揺しまくりの表情で捲し立てるサンジの誤魔化しは、その時点で肯定している事になるのだが、そうとは気付かないサンジは真っ赤な顔で怒鳴り散らしていた。
「オレは忙しいんだから、テメェに構ってる暇ぁねぇんだよ」
 捨て台詞にそんな言葉を投げ捨て、サンジはキッチンへと慌てて向かって行った。
 残されたゾロは、さっきまで掴んでいたサンジの細い腕の感触を思い出しながら、また座り込み眠りに付いた。


続く。next

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2002/7/23UP