I want to touch you
Kei Kitamura
<3>
オールドタイプのドーナツの山の殆どをルフィが食べ尽くしてしまった。文句を言っていたウソップも結局は旨いと言って食べていた。
チョッパーは女性とも男性とも別に、砂糖をまぶし小さく作ったドーナツを渡してある。
「レディ達、お飲物のお代わりはいかがです?」
「おう!サンジ!!おかわりっ!!」
「るせぇ!テメェらは後だ!…っつか、おやつのお代わりはねぇよ、クソゴム」
大きな声でグラスではなく皿を掲げたルフィに、サンジが一喝する。
ナミとロビンに冷たいオレンジジュースを新たに渡すと、キッチンに戻りピッチャーを手に甲板に出てきた。
それぞれに継ぎ渡すと、後は自分でやれとピッチャーをドンと置く。
ウソップは金槌を持って修理に戻り、船長は定位置のメリーの頭に座っていた。
女性陣はパラソルの下で本を開いて話に花を咲かせていて、チョッパーもその傍らで医学書を読み耽っている。
ウソップを手伝っていた筈のゾロは相変わらずの鍛錬バカ振りを披露するように、バカでかい串型の鉄アレイを振り回していた。
サンジはキッチンに籠もり、レシピを作成中。
風は凪、海は上々、メリー号は平和で静かな航海を続けていた。
「……また寝てやがる…」
鉄アレイ振りを数千回、その後腹筋背筋を数百回、背中にアレイを持ったまま腕立て伏せを数百回を終えた後、甲板に大の字になって寝ているゾロを、みかん畑への水撒きに来たサンジが見つけた。
食う、寝る、鍛えるの3つしかゾロにはないのではないかと思うくらい、サンジはその姿しか見たことがない。
後は、セックスくらいか…と、サンジは苦笑いを漏らした。
普段は殆どゾロと触れあう事はない。見た目より柔らかなゾロの髪。ふと、触れたくなった。
続く。next
2002/7/12UP