I want to touch you
Kei Kitamura

<2>

 基本的に船の修理はウソップの仕事になっていた。誰が決めた訳でもなく、必然的にウソップの役割になっていたのが、特に誰かが文句を言う事もない。
 ウソップにしてみれば、愛しのカヤからの贈り物なので、自分が綺麗にしてやらなければ、という気持ちが働いていたのだが。
 時として力仕事が必要になってくると大抵ゾロを呼び出し、それでも手が足りないとルフィやサンジにも声が掛かる。だが、サンジに声が掛かる事は稀で、ナミがゾロとルフィに指示を出していた。
 それがサンジには不服でもあった。
 どうして自分を指名してくれないのか、と。万年寝太郎のごくつぶしゾロばかりを頼りにしているのかと、穿った見方をしてしまう。


 綺麗に装飾を施されたナミとロビンのおやつとは正反対に、量があれば良いという程度の男性陣のおやつは、皿に山盛りに積まれていた。
 それに不服を述べるのはウソップくらいのもので、それもたわいもない戯れ言程度でしかない。
「おいしい。コックさん、本当に料理が上手なのね」
「ありがとう、ロビンちゃんvvああ!オレは貴女達の為だけに料理を作りたいっ!!」
「おい、エロコック!こりゃ何だよ?!」
 ウソップが積まれたおやつを指差し、目をハートにしているサンジに呆れながら問いかける。
「てめーらのエサだよ。嫌なら食うな」
「んん、うまひぞっ!」
 既に口いっぱいに頬張っているルフィが、両手にそのおやつを掴んで次々と口の中に放り込んでいた。
「や、何なんだって聞いてんだよ」
「アツアツのドーナッツだ」
「この暑いのに、アツアツなおやつを出すんじゃねぇ!!」
 真夏の気候にドーナッツってどうだよ?!とウソップはがっくりと項垂れた。そんな事には頓着せず、食べ続けるルフィを見て、更に頭を抱えたウソップだった。


続く。next

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2002/7/3UP