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CHANGE OF HEART

Kei Kitamura

<3>

 静かな海だった。
 ルフィが騒いで、サンジが怒鳴って、ゾロが巻き添えを食った騒ぎがある程度には静かな海だった。
 そう、さっきまでは。



「ん…?んんん〜っ?」
 見張り台に登っていたウソップは、双眼鏡でグルグルと回りを見渡していた。ふと黒い点が見え、島でも見えたかと船の進行方向を更に凝視する。ぐんぐんと近づいてくるその黒い点はやがて船の形を取り、一つの点ではなく、船の集団だということが分かってきた。
 きたのだが……。
「あ…ヤベェ…」
 それは先頭の舳先に髑髏の旗を掲げた海賊船だった。
「海賊船だーっっ!!前方に海賊船の集団が見えるぞ〜っ!!」
「何?!海賊船?!」
「どこだ、どこだ?♪」
「やだ、何処の海賊よ…」
「ナミさんはオレが守るからね〜」
 それぞれに自分のいた場所から船首へ移動してきた。そして思い思いの事を口にする。
「あ〜最近運動不足だったんで丁度いいじゃねェか。肩慣らしでもすっか」
「敵か?何だよ〜いっぱい船いんじゃん!強ェ奴いるかな??」
「…お宝積んでるかしら…」
「ナミさんの為なら、海賊の宝を奪うくらい簡単ですよ。隠れててよ、ナミさん」
「じ、持病の『闘ってはいけない病』がっ…」
 その間にも船は肉眼でも捉える事が出来るほど近づいて来ていた。かなり大型の海賊船のようで、後ろに控える船の数も大層なモンである。これだけ大きな海賊で、しかもグランドラインにいるとくれば強敵には間違いないのだが、ゴーイングメリー号の船長、以下数名の船員は『恐れる』と言う事を知らない、人間離れした奴らばかりだった。



「俺達はティンク海賊団だ!!お宝置いて、とっとと逃げ出しな!」
 ルフィ、ゾロ、サンジの三人は船首で悠然と構え、屈強そうな海賊の姿を眺めていた。ナミは当然のように部屋に戻り、ウソップは…
「よぉ〜し!援護は任せろ!」
 相変わらず船尾の影から威勢のいい声援を送っていた。
「なぁ、ゾロ。この海賊ってあんな顔してる奴らばっかだぜ」
 と、ルフィが伸びるゴムの顔をびょーんと引っ張って、ゾロを振り向いた。
「どうでもいいだろうがよ、そんなこと…」
「今の時代、海賊もオレくらいスマートに格好良くなきゃなぁ」
「つか、それもどうでもいいだろうが…」
「んだとっ!テメェ!オレ様のスタイルにケチつけんのか?!冷え性のクソ腹巻きのクセにっっ!」
「グル眉に言われたかねェなぁ。第一冷え性じゃねぇし」
「あっはっはっはっ」
 途端にゾロとサンジの取っ組み合いのケンカが始まってしまい、無視された格好の海賊達は声を揃えて叫んだのだった。

「「揉めてる場合でも、笑ってる場合でもねぇだろうが!少しは緊張感ってモノを持てよお前ら!!」」

「ん。それもそうだな。行くぞ、ゾロ、サンジ。ウソップ、この船頼むな」
 ぐんっ…と延ばされた腕が海賊船の手すりを掴み、ルフィの身体が跳ね飛ぶように相手の船に勢いよくぶつかった。ルフィの身体に掴まっていた二人も当然思い切りぶつかってしまった。
「バカ、ルフィ!もっと丁寧に降ろせ!」
「あ〜悪ィ」
「んじゃ、一暴れしますかね。オレあっちの船に行って来るわ」
 と、サンジが一番大きな船の左翼に付けていた船に飛び移る。
「うし。じゃ、オレはこっちにするか」
 ゾロは右翼の船に二本の刀を手に飛び移る。
 目の前の海賊達を前に、ルフィは準備運動を始めていた。
「よし。やるか?」
「舐めやがってぇぇぇっっ!!やっちまえっ!!」


「うわうわ、来るな来るな!火薬星!!」

「羊肉ショット!!」

「鬼斬り!!」

「ゴムゴムの銃乱打!!!」



「終わった?」
 静かになったのを見計らい、ナミが部屋から顔を出す。
「終わったって…お前なぁ…」
「おう。終わったぞ!」
「ナミさぁ〜ん!お怪我ありませんでしたか〜?」
「イイ根性だよ、テメェは…」
 あれだけいた船の全てを片づけ尽くしてしまった、三人はちょっと煤けているものの、どこも怪我をした様子もなく、ゴーイングメリー号へと戻ってくる途中だった。頑張って船を守っていたウソップも疲労困憊しているものの怪我一つなく、マストに凭れていた。
「お宝あった?」
 ルフィが船首に掴まり、出たときと同じようにびょ〜んと飛んで戻ってきた。
「あったか〜?」
 ゾロも船の残骸を蹴ってゴーイングメリー号へと飛び移る。
「あ?見てねぇよ、そんなの」
「ああ、じゃちょっと見てくるよ」
 一番大きな船まで戻ってきていたサンジが、クルリと踵を返し船内へと向かった所で、銃声が響き渡った。


  ザ…ン…


「サンジッッ!!」
「…っ!」
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2002/1/9UP

うふ。続いちゃった…(←うふ、ちゃうやろ!!>自分)
腹が痛くて朦朧としてるのに、ワタシ何をしてるんでしょうね…。
でも、ずっとほったらかしにしてたので、気になってしまって…。んで、続く。
ああ〜…ごめんなさい。ごめんなさい。
どこが『ルサン』なん?!教えて!偉い人っっ!!
*kei*