児童書リスト
クリスマス
クリスマスの本は世界中で驚くほどたくさん出版されています。似たような話も多い中、ステキな本もたくさんあります。その中でも印象に残ったお勧めの本をご紹介します。クリスマスの本はプレゼントにしたいものもたくさんあるので、プレゼントにお勧めの本にはリボンのマークをつけておきます。
小さいお友達へのプレゼントにお勧め |
大切な人へのプレゼントにお勧め |
☆小さい子どもたちと楽しめる絵本☆ ☆ちょっと大きくなれば十分楽しめる絵本☆ ☆サンタクロースの存在を疑い始めた子どもたちと☆ ☆思春期の子どもたちと☆ ☆お勧めの一冊☆ |
1979年に出版された若かりしコージズキンの創作絵本が復刊されたものです。コージズキンならではのハチャメチャな展開を期待して開くと、確かにそのノリを持ちながらも、文章による雪の描写が美しいことに驚かされます。寒い寒い凍てつくような冬の夜の描写なのに、心はホカホカに暖かくなるのは、まるで魔法のよう。もちろん「絵」に関してはあのスズキコージですから絶品なのは言うまでもありません。小さいお友達へはもちろん、ユーモアのわかる大人へのプレゼントにもお勧め。
てんしさまがおりてくる―それはクリスマスのよるのこと
文・絵/五味太郎 (ブロンズ新社)
五味太郎独特のユーモアにクスクスと笑いながら、神聖な気持ちにもさせられる。
はっきりとした色使いと少ない文字で、小さな子から大人まで、ぐっとハートをつかまれます。
ぐりとぐらのおきゃくさま
文/中川李枝子 絵/山脇百合子 (福音館書店)
雪についた大きな足跡をたどっていくと…。
この本を小さな子どもたちに読んであげるのはとっても楽しい。
食い入るように見つめる目、ページをめくるのが待ち遠しく、体を乗り出す子どもたち。
登場人物がみんなそろったときの満足げな表情は、読み手を暖かな気持ちにさせてくれます。
一生の宝物になりそうなミニ絵本三冊セット。
物心ついて初めてのクリスマスに小さなお友達に送ってあげたい。
「サンタクロースとれいちゃん」「ズポンのクリスマス」「ふたつのいちご」
まりーちゃんと子羊のぱたぽんは、クリスマスの朝にどんなプレゼントをもらえるのかしら。
仲良しの一人と一匹が、あれこれと思いを巡らせます。
でも、暖炉の前においておくくつを持っていないぱたぽんはちょっと心配そうですよ。
小さい頃にこんな絵本に出会えたらとっても幸せです。
クリスマスの日、ゆうびんやのくまさんは大切な届け物を家々に配達してまわります。
仕事を終えて家に戻るくまさんにも、ささやかなクリスマスが待ちかまえています。
くまさんのお仕事シリーズは繰り返しが多く、淡々としたリズムはとても気持ちいいものです。
生活というのは、元来そういうリズムのものだったように思います。
たくさんの刺激のあふれる今、生活を気持ちいいリズムに保つことはとても難しいですね。
そんなものは必要ないと思っているご亭主に、
「むぎたば」と「とりのいえ」と「やどりぎのわかざり」を買わせ、
仲良しの鳥たちと空を飛んで家に帰るスプーンおばさん。
どこにでもありそうな中年夫婦の愉快なクリスマス。
みなさんは生活くさい生活をしていますか?
私は、洗練されたクオリティの高い生活よりもこんな風に生活くさい生活が好きです。
くんちゃんシリーズではいつも、そのお父さんとお母さんの暖かさに感心させられます。
冬眠をしたくないくんちゃんにも、暖かな眠りの世界が待ちかまえています。
しんしんと静かな冬の夜…。
もみの木は、西欧では山から切ってくるものだったのですね。
私が子供の頃には、庭のもみの木を鉢に移すのが12月の大イベントでした。
私たちが成長するのにともなってもみの木は大きくなってしまい、
堀り出すことができなくなってしまいました。
もみの木と12月は、私にとってとても暖かな思い出です。
子どもたちはどんな思い出を持って大きくなっていくのでしょう。
キリスト教にもとづくお話。
くろうまブランキーはクリスマスの夜、サンタクロースの元でしずかにめをつむります。
この絵本の堀内誠一さんの絵は、深く静かで大好きです。
がちょうのペチューニアの恋のお話。
ペチューニアのシリーズは我が家で人気。
「おばかさんのペチューニア」では、はらはらさせられたものですが、
ペチューニアもずいぶん成長したなぁ、と嬉しくなった本です。
勇気と知恵とを身につけ、とうとう幸せを手に入れたペチューニア。
チャールズと二羽で寄り添って歩いていく後ろ姿が微笑ましい。
とってもハッピーな気分になれます。
ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ
文/リンドグレーン 絵/ヴィークランド 訳/山内清子 (偕成社)
もうじき7歳になるカイサは元気な女の子。クリスマスまであと一週間というときになって、一緒に暮らすおばあさんが足を怪我してしまいます。カイサは「大丈夫。あたしが全部やるわ。」と張り切って、たくさんの仕事をいきいきとやりこなしていきます。
本の最後にあるカイサとおばあちゃんとのさりげない会話は、読み終えてからも消えることなく、読んだ者の心をいつまでもキラキラと輝かせてくれるはずです。
(リンドグレーンは長くつ下のピッピの作者です。)
エーミルのクリスマス・パーティー
文・絵/アストリッド・リンドグレーン 訳/さんぺいけいこ (岩波書店)
いたずら大好きな少年エーミルとパーティーで羽目を外す女先生、いそうでなかなかいないキャラクターです。堅物のお父さんは気に入らなくておかんむりですが、最後にはエーミルを褒めてくれてエーミルも私たちも大満足。
(長くつ下のピッピの作者です。)
サンタクロースが仕事を終えて帰る頃、そりの上はステキな拾いものでいっぱい。サンタクロースの家ではたくさんのにぎやかな住人が、その拾いものを待っています。もののあふれる現代だからこそ、こんな絵本が嬉しいです。
妖精トムテの子どもヌッテはおもちゃ屋さんのショーウィンドウに飾られてしまいます。
よくできた人形のふりをするヌッテですが、そのまま人形でい続けるのは大変ですね。
ショーウィンドウに張り付いていつまでも離れない子どもたちってよくいますよね。
私も幼い頃、近所の時計やさんのショーウィンドウが大好きでした。
子どもたちにとってクリスマス最大の不思議はサンタクロース。
繰り返しの多い展開は幼い子どもに心地よくひびきます。
60年も前に生まれたマドレーヌのお話が、俵 万智さんの言葉で現代に活き活きと甦ります。
クリスマスのうさぎさん
文・絵/ウィルとニコラス わたなべしげお (福音館書店)
動物大好きな娘のお気に入りの本です。
「クリスマスの日に男の子と動物たちが柵乗り越えてサンタさんのところに行くんだよ。そしてね、朝クリスマスプレゼントを開けてみたらうさぎだったの。(娘8歳談)」
WHERE’S PRANCER(英語版)
お仕事終えて帰ってみると、一頭のトナカイがいません。
あわてて戻るサンタさんとトナカイたち。
行方不明になったトナカイはニューヨークにいました。
サンタさんとトナカイたちは見たことのなかったクリスマス当日の人々の様子を楽しみます。
こうしはそりにのって
文/アストリッド・リンドグレーン 絵/マーリット・テーンクヴィスト 訳/今井冬美 (金の星社)
「神様は不公平だ。たくさんの牛を飼うベックフルトさんの家の牛はみんな無事なのに…。」
クリスマスが近づいたある日、家に一頭しかいなかった大好きなめうしが
くぎを飲み込み死んでしまった。少年ヨハンは神様に怒っていた。
一方ベックフルトさんは街で上機嫌で酔っぱらい、子牛を買って帰る途中に…。
暖かい気持ちにさせられるお話。
クリスマス・トムテン―スウェーデンのサンタクロース (1982年)
文/ヴィクトール・リュードベリィz絵/ハーラルド・ヴィベリィ
訳/おかもとはまえ (佑学社)
100年以上前に書かれたスウェーデンでは有名な物語だそうです。
スウェーデンのサンタクロース「クリスマス・トムテン」といっしょにプレゼントを配りにまわる少年ウィグ。金持ちに高価なプレゼントをあげた後に、自分のプレゼントがくつしただと知ったウィグはがっかりします。
感謝の大切さを教える教訓話のようでもあるけれど、私は明恵上人の言葉をも思い出しました。「人はあるべきようわの七文字をたもつべきなり。僧は僧のあるべきよう。俗は俗のあるべきよう。帝王は帝王のあるべきよう。臣下は臣下のあるべきようなり。このあるべきようを背くゆえに一切悪しきなり」貧乏人は貧乏人のままでいいという意味では決してありませんね。
サンタクロースのお手伝い
文/カトリーン・ジーゲンターラー 絵/マルクス・フィスター
訳/中村妙子 (新教出版社)
変わり者として避けられていた山のきこりのもとにやってきたサンタクロース、暖かい部屋で休憩し、さてプレゼントを配りに出発したのですが…。どうやら袋に穴があいていたようです。
用意したプレゼントが足りない! さぁどうしましょう。いったいどこにあるのでしょう。
こうさぎましろのお話
文/たさきたづ 絵/みよしせきや (ポプラ社)
ごく自然に暖かくやさしい語りがいい。作者は高校時代に光を失い盲目だという。
遠い日に見た白い雪の色が瞼に焼き付いているのだろうか。
盲目の作者が書いたときいてとても驚いた。
言葉の織りなす美しい色がキラキラと輝いてはっきりと脳裏に浮かぶ。
楽しくウキウキするお祭り騒ぎのクリスマスに、静かに語りかけるこの本を読むのはとても贅沢な楽しみかもしれません。9歳の娘お勧めの一冊。
パディントンのクリスマス―パディントンの本〈2〉
文/マイケル・ボンド 絵/ペギー・フォートナム 訳/松岡享子 (福音館書店)
みんなから愛されるくまのパディントン。パディントンのいるところに、何も起きないはずがありません。クリスマスの日は、いったいどんな騒ぎを巻き起こすのでしょうか?
フィンランドのお話。降り積もった雪の上に、目に星を宿す女の子が置かれていた。美しい絵と幻想的なお話。ぜひ手元に置いておきたい本。
もみの木から見た世界。
山にいたころ、部屋に飾られているころ、物置小屋にいるころ、野に捨てられたあと…。
「神様は不公平だ。たくさんの牛を飼うベックフルトさんの家の牛はみんな無事なのに…。」クリスマスが近づいたある日、家に一頭しかいなかった大好きなめうしがくぎを飲み込み死んでしまった。少年ヨハンは悲しみに暮れ、神様に怒っていた。一方ベックフルトさんは街で上機嫌で酔っぱらい、子牛を買って帰る途中に…。お金持ちの人=悪い人ではなく、すべての人が等しく人なのですね。とても暖かい気持ちになれます。
末っ子のエリザベスはクリスマスツリーに飾られていた妖精の人形を、おまもりのようせいとしておばあさまにもらいます。それからはあら不思議、頭の中でちーんと音がきこえ、いろんなことがちゃんとうまくいくようになるのです。自信を失っているときには、後押ししてくれるなにかが必要なのかもしれませんね。
街に住む少年ハンシは、クリスマスのお休みに、山に住むおじさんの家へ遊びに行きます。初めての一人旅、不安なハンシですが、山の暮らしになれて街に帰るころにはまた山に来ることが楽しみになっています。
クリスマスはもう間近、3匹の仲間たちは歌をうたってプレゼント用にお小遣いをかせごうとしますが、誰も耳を貸そうとはしません。たきぎを売ることに作戦変更したある日、道をはずれた馬車を助けたところから、思いがけない出会いが始まりました。6歳の息子お勧めの一冊。
サンタクロースってほんとにいるの?
文/てるおかいつこ 絵/杉浦範茂 (福音館書店)
子どもの質問にひとつひとつ答えていきます。
子どもが小学生になると、この質問には本当にハラハラさせられます。
小学校3年生のお姉ちゃん、今年あたりがそろそろ危ないんじゃないかしら。といいながら、今年、お姉ちゃんは5年生になりました。母は苦しんでいます。弟は3年生。こちらは無邪気に信じていますが....。
一番最初に紹介したこの本は、一つの答えをくれています。私はこの答えを最初に子どもたちに伝えておけば良かったと、今になって嘘の弁解に冷や汗をかき思案に暮れています。「サンタクロースが煙突からプレゼントを置きにやってくる」それは親になった私が子どもたちに初めてついた大嘘かもしれない。今更何を言ってもそれは言い訳にしかならないわけで、「裏切られた」と傷つかないまでに子どもが成長する頃にタイミング良く悟って欲しいものです。
ちょっと疑い始めているけれど、まだサンタクロースの存在を信じていて欲しい、そんな時期に読むのにいい。
ある日サンタクロースは実はいない! というスクープが新聞に出て
子ども達はサンタクロースを信じなくなります。
仕事がなくなったサンタクロースはすねちゃって南の島へバカンスにでかけてしまいますが
サンタクロース同士の「サンタは南の島で遊ぼう!」という手紙を盗み読んでしまった子どもが
あわてて南の島へ行き、信じている子どものためにお願い!をしに行きます。
その年のプレゼントのほとんどがその南の島のおみやげだったというオチつき。
1897年9月21日、ニューヨーク・サン新聞に実際に掲載された社説が本になりました。
八歳の少女の質問に答え、フランシス=P=チャーチという記者が「サンタクロースはいます」と返事を書きました。
グリーン・ノウの子どもたち
グリーン・ノウ物語シリーズ1
作/L・M・ボストン 挿し絵/ピーター・ボストン 訳/亀井俊介 (偕成社)
大洪水の中、大おばあさまの家へ一人でやってきた少年が過ごす、不思議な冬の物語。何百年も前にその家で暮らしていた人々が、遠慮がちにごく自然に登場し、現在生きている人々と暖かな交流をする。
いってみればゴースト屋敷なのでしょうが、寂しさはあるとしても寒々としたものではない。自分の先祖たちとの交流により、自分は一人ではないという歓び、責任、生命の重み、暖かさなどを感じることができるように思う。
庭に住む小鳥や小動物たち、いたずら、かくれんぼ、考えただけでもうきうきする秘密の隠れ家のような本。
他の学校の生徒達となぐりあいの喧嘩をしたり、クリスマスの劇の練習に励んだり、ドイツの寄宿学校に暮らす少年たちの活き活きとした喜怒哀楽を描く物語。
すべての登場人物がそれぞれ魅力的に描かれていて、子どもの心を忘れないで大人になることの大切さ、人と暮らすことのすばらしさを教えてくれる。
気が強い上流階級の女の子が労働者階級の子どもたちと体験した忘れられないステキなクリスマス。実は、それは昔々のおばあちゃん自身のお話だったのです。
サンタ・クロースからの手紙(絵本版)
文・絵/J.R.R.トールキン 編/ベイリー・トールキン (評論社)
Letters from Father Christmas(英語版)
指輪物語の作者トールキンは少年たちのパパだったのですね。暖かな絵、愉快なお話。トールキンの家に初めて送られてきた手紙から、最後の手紙までが納められています。どの年の手紙もユーモアに溢れ、思わずクスクスと笑ってしまうものばかり。我が家ではこの本を読んだのち、小学校1年生の息子がサンタクロースへの手紙と、折り紙でつくったプレゼントを一生懸命つくっていました。さて、返事はくるのでしょうか…。サンタクロースを信じたくても少し疑い始めた小学校3年生の娘は「あんなに一生懸命つくったのに、もしサンタさんが持っていってくれなかったら、ショックだよね」と気にしています。
クリスマスにまつわるおはなし
クリスマスって何の日?