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私のAudioの進化と経歴
その3



コンシュマー用アンプからプロ用アンプに全て変更

  

2013年頃までAccuphase     2014年~YAMAHA  

  
○導入したデジタル機器

・上:デジタル式4Wayチャンデバ<RASTEME RCD-84>
(アナログ8ch 連動電子VR付き)


・下:サンプルレートコンバーター<Behringer SRC2496>
(アナログ⇔デジタル変換&デジタルのサンプルレート変換)





★.【デジタルチャンデバでマルチアンプ駆動】

◎マルチアンプ駆動に欠かせない装置がチャンネルデバイダー(PA界ではクロスオーバーと呼ぶらしい)です。このチャンネルデバイダーにもアナログ式とデジタル式が存在します。どちらもピュアオーディオのコンシュマー用となると、とても高価です。中でもデジタル式は目玉が飛び出そうな位、高価で・・・とても手が出ません。

◎その高価と思われるチャンデバもHi-Fiオーディオ用から外れPA用でいろいろ探せば結構安価な物が見つかります。このハイコストパフォーマンスに優れたチャンデバをオーディオとして耐えるに値するかどうかです。最初に導入された方は、初めは恐る恐る導入し不満な部分は改造と工夫を駆使しながら完全にピュアオーディオに組み込まんだと言う記事を見かけます。

◎プロの世界で使うPA用は安いものから高いものまでピンキリで存在します。(高いといってもコンシュマー用の半分ぐらいで断然、安いです)一般的にPA用であっても国産製品は割り高です。海外製品では約1/5~1/10程度で売られています。

◎ただ、PA用は設計思想がコンシュマー用と若干異なり使用時におけるトラブル防止や耐久性に重点が置かれています。無視している訳ではないと思いますが、音質やSN比等の電気的特性は2の次になっている感があります。又、物理接続おいて規格統一されており異なったメーカーの機器どうしでも接続できるように接続方式や信号方式・信号レベル等が統一で規定されています。接続コネクターも殆どがXLRコネクターのバランス接続が主流です。

◎コンシュマー用のロック機構のないRCAコネクターを用いた方式ではホールや会場等、現場で使うケースでは演奏中にケーブルが抜けたり、接触不良が起きたりしますと大変な事になります。又、アンバランス伝送方式のRCAケーブルでは何十メートルとケーブルを延ばして使う(特性が著しく劣化する)事ができないのでバランス伝送方式になるわけです。

◎PA用のバランス伝送式でないRCAタイプでも配回しが10m以内の場合は接続ケーブルやコネクターが異なるだけでアナログ式の場合では基本的にコンシュマー用とそれ程差がありません。機器よってはRCAタイプの方が良い場合もあります。

◎アナログ式でPA用のチャンデバとコンシュマー用のチャンデバが違うところはクロスポイントでの減衰カーブが殆ど固定の-24dB/octの仕様です。(アナログ式でコンシュマー用は-18dB/-12dB/-6dB等選択できる物が多い)その他では、クロスポイントの周波数が原則、連続可変のタイプが多く測定器が無いと正確な周波数が判らず、”おおよそ”こんなもんかな程度の目安的な表示があるだけです。

◎目印のマークは意外と思っていたより正確で一般的なネットワークに使われる受動素子の誤差範囲よりは優秀でした。コンシュマー用のように明確な「850Hz」・「1000Hz」等と言ったキッチリした周波数表示ではありません。実際、コンシュマー用のこのキッチリした表示でさえも受動素子の誤差程度は生じていると思います。

◎PA用は減衰カーブが一種類「-24db/oct」しかないのですが、意外と使い易く減衰率による電気的位相ズレを気にする必要がありません。と、申しますのは-24dB/octは電気的位相ズレは360度になりますので、一周して元に戻り同相になります。電気的位相を全く考慮しないで、物理的位相の各ユニット位置関係だけに神経を使えばよいことになります

◎PA用チャンデバをを導入するには、XLRのバランス接続が基本になりますのでオーディオ用のRCAケーブルそのままでは接続できません。世の中には不便を感じている方が多いと見られ”XLR⇒RCA変換コネクター”や”変換ケーブル”又は、”バランス⇔アンバランス変換アダプター”を自作したり市販品で販売されてもいます。

◎これがあればRCAコネクター式でも接続できます。ケーブルやコネクター類は腕に自信のある方は自作してもよいと思います。アダプター方式にはトランス式と電子式がありますが、ノイズ的にはトランス式の方がやや有利な気がします。

◎マルチアンプ駆動でアナログ式チャンデバを用いた場合、PA用もコンシュマー用も物理的なユニットの位置合せや極性変換等をを行う必要があります。デジタル式チャンデバの様な原則、電気的に信号を遅延(ディレイ機能)させる事ができませんので位相は自体は極性を反転させたり、ユニットを動かして位置を(クロス周波数の1/4λ(波長)づつ)移動させて後は音質的に”この辺が限界だろう”・・・と言う感じで妥協するしかありませんでした。

◎なぜなら、基本になる各ユニットの音源から発せられるインパルス応答を全てのユニットに対して完全に一致させる位置に合せること自体が所詮、物理的に不可能(スペースがない為))に近いからです。・・・そうなると、”LCネットワークを用いてシングルアンプで鳴らす方がマルチアンプ駆動で鳴らすより自然で聴き易い音がする”・・・と、言われるのもうなずけます。

◎スピーカーで大型ホーンやオールホーンをマルチアンプ駆動で行っているヘビーオーディオマニアの中には、スピーカーユニットの再生帯域がかなりオーバーラップしている”-6dB/oct”方式が一番聴き安く自然な音色だと言われる方が特に多い様に見受けられます。これは、位相に関するこれらの要因が起因しているのではないかと勝手に思っております。
(オールホーンで且つオールマルチアンプ駆動の自作アンプマニアの中で教祖的存在の・・・あの有名な金田アンプ設計者の金田氏もその一人だと記憶しています)

◎ここで、インパルス応答なる言葉が出てきましたがコレは、立ち上がりの鋭い太鼓の音や、手を叩いた時の拍手・ガラスが割れる音など、シャープで鋭い音を発した時それぞれのユニットの位置がズレていますと、各ユニットから発する音が試聴位置まで到達する時間に当然ズレが生じ、微妙に音色が変わって聴こえてしまいます。この立ち上がりに追従する事をインパルス応答と言います。

◎分割周波数(クロス周波数)近辺ではその周波数域でパルス性の信号音が入ってきた時、下の帯域を受け持つユニットも上の帯域を受け持つユニットも同時にパルス信号音が入ってきます。この時、それぞれのユニットは同じ信号を発しますが、ユニットの位置が異なる場合リスニングポジションまでの距離が異なるため、同じ信号でも微妙にズレて到達します。このズレが少ないほど良いのですが、敏感な方はこの微妙なズレが聴き取れてしまい音質に不満を感じるようになります。

◎最初からズレている音色しか知らない場合やコーン型のスピーカーとドーム型スピーカーを組み合わせ1つのエンクロジャーに収めている場合等、ユニット間のズレが少ない為、そのスピーカーから出てくる音色に私を含め殆どの方はそれ程、不満を感じることは無いと思います。(安っぽく聴こえたり異常に聴こえる場合は他の要因が起因している場合が大半です)

◎ホーンスピーカーを導入しますと、ホーンサイズが大きくなればなるほど全長が長いので音源位置の差が大きくなり、そのズレがタイム差となって顕著に現れてきます。例えば、クロス周波数1000Hzで-24dB/oct、、上下の帯域を受け持つユニットが丁度34cmズレていたとします。この場合1000Hz(1000回振動/秒)の1λ(音速:340m/秒の場合の1波長:1周期)は、約34cmですので物理的位相ズレはありません。又、-24dB/oct設定ですと、360度のズレで電気的位相ズレもありません。しかし、同時に発せられた音がリスニングポイントに届くには34cmのズレ=1/1000秒(0.1msec)のズレとして聴こえるわけです。

◎これは、0.1msec遅らしたエコー音を聴いているのと同じになります。たかが0.1msecですが、聴いているうちに段々と違和感を覚えるようになる方もいます。人間の感覚は測定器では測りきれない微妙な差を聴き分けるらしいのですが、インパルス応答が大体合っている市販のスピーカー(コーン型の低音/中高音ユニットをバッフル板に取り付けてあるタイプ)と聴き比べるとどこか違って聴こえてしまいその違いが分ります。(実際は、位相ズレがない状態では、1/1000秒の遅延は殆ど判断できません)

◎一度でも位相やインパルス応答がバチッと決まり、各ユニットを理想的な再生帯域で鳴らしたスピーカーからの音色を聴いてしまいますと、CDやLPの音源に”こんな音が入っていたのか”とか、”実はこんな音がするのか”等、実に何とも言えない素晴らしい音色が出てきます。マルチアンプ駆動方式そのものがスピーカ再生方式において、究極の方式だと思っておりますが、この究極の鳴らし方の更に究極がここにあるのではないかと感じるようになりました。

◎ユニットのタイムアライメントを音質を損なわず一致させるには、今のアナログ式技術では原則、不可能だと思っています。そこで出てきたのがデジタル方式のチャンデバです。少し前まではデジタル式は音が良くないと言われアナログ式に回帰される方が多かったと思います。その要因は数多くネット上で語られており大きな要因は、”2”つあると思っています。

●一つ目は、当時、機器自体のデジタル技術が今より低く、機器自体がCDの解像技術レベルしかなく高音質ではなった事。

●二つ目は、アナログ感覚が染み付いているためアナログ感覚でデジタル機器を導入してしまいデジタルの知識不足から来る誤った使用方法等でデジタルの特性を活かせていない等です。
(これらの要因でデジタル機器は音が悪いと言われる由縁かと思います)

◎しかし、最近のデジタル技術は目を見張る早さで進歩し、デジタル再生はアナログ再生(音質に障害となる要因が多すぎる)を超えたのではないかと感じています。又、使用するユーザー側も知識が豊かになり何の抵抗も無くデジタル機器を駆使するようになってきています。ここで言うデジタル技術の進歩はアナログ信号をデジタル信号に変換又はデジタルをアナログに変換する技術です。

◎CDは16bit/44.1kHzの解像度とサンプリング周波数 しかありませんがDVDやSACDの進歩で機器の方は今や24bit/96kHzや192kHzは当たり前で32bit/192kHzや更に高音質なDSD技術を導入した機器もあります。(詳細な解説はネットで調べてみて下さい)

◎チャンデバで分割した各周波数を各ユニットの駆動用アンプに送るのですが、デジタルチャンデバでもこの周波数帯域分割自体は当たり前に行えます。減衰率(肩特性/スロープ特性とも言います)も機器によっては-96dBと、もの凄く急激に不要帯域をカットできる物や分割した帯域内の特定周波数をトーンコントロールの様にデジタルイコラーザーで増減して加工したりもできます。

◎ただし、アナログ式・デジタル式に関わらず、LPF(ローパスフィルター)・BPF(バンドパスフィルター)・HPF(ハイパスフィルター)を通過するとカットOFF周波数において必ず電気的位相がズレるそうです。ただし、位相ズレの変化の仕方が異なり、アナログ式は負荷側のインピーダンスによってカットOFF周波数を中心に位相回転が起き減衰スロープ特性によって異なった位相ズレになります。つまり、カットOFF周波数以外でも位相が異なった値でズレてしまい、その値は高い方と低い方で一定のズレではないと言うことです。

◎それに比べてデジタル式はデジタル変換してからデジタルで加工(演算処理)する為、やはり減衰率によって位相ズレは起きますが、これは、単純に遅れを伴うズレであり、フィルターを通過する全周波数に対し均一にズレル(遅れる)だけです。リニアー(直線)的な変化となるだけだそうです。
(Accuphaseのデジタルチャンデバのカタログの技術解説に載っていましたが、ヒョットしたら解釈違いかも・・・間違っていたらゴメンナサイ)

◎簡単に言いますとデジタル式ではフィルターを通貨した場合、先に書いた様に位相ズレと言うよりは”遅れ”による位相ズレですのでこれは、単に遅れが生じたと理解してよいと思います。説明によると、この遅れは、-6dbを1次として-12dbは2次・・・-48dbは8次で現し、遅延時間はアキュフェーズのデジタルチャンデバで公表されている計算式になりますが次の式(Accuphaseの特許)で算出しているそうです。Accuphaseのデジタルチャンデバはこの周波数と減衰率による遅れを設定ごとに計算した値をプログラムに記憶させ自動的にタイムアライメントに補正をかけているそうです。(流石、安物とは違い高級で高額なだけの事はあります)

★遅延時間”t”の算出式
  t = 110 × n / fc ・・・・単位:mSec(1/1000秒)
  
t : 遅延時間(mSec)::ミリセック→1/1000秒
  
n : フィルターの次数:例)-24dbの場合、n = ”4”にする
  
fc : カットOFF周波数

★計算式から見て分かる通り、分母と分子の関係で 低い周波数程、そしてスロープの減衰率が大きい程、入力信号に対し出力信号が遅くれ、微妙に音質に変化を与えてしまい元の音と違って聴こえてしまうそうです。Accuphaseの解説では、LPF(ローパスフィルター)通過時の遅延が大きいので、LPF側のみ補正しているそうです。
(特許申請の解説分に、HPF側は通過するフィルター側では殆ど遅延が起きないとの解説が記載されていました)

★Accuphaseはキッチリしたメーカーで、正確さを大事にする会社ですから、当然HPF側も遅延時間を調べていると思います。その結果からデジタルフィルターの場合において「LPF側のみ補正をかけている」と断言しているのですから、もし、有ってもHPF側は本当に無視できる程度の値(μsec以下のレベル? )なのだと思います。

★因みにリスニングポイントで頭を左右・前後に動かした場合でも各ユニットからの距離が変動してしまうので、実際はそれほど神経質にならなくてもよいみたいです。ただ、音楽信号が空間合成されたときに遅延による変調は音質に影響し人によってはその違いが聴こえてしまいますので、大まかでも良いので一度は補正しておいた方が精神的にも良いと思います。(デジタルチャンデバだからこそできる調整ですので「できることは全てやっておく」・・・がベターかと思います)

★-48dB等、特に大きいスロープの減衰率を選択したり低い周波数程、遅れが大きくなるので補正した方が自然な音になると思います。この調整は物理的距離調整のタイムアライメントと合わせて調整(遅れの差分を加算又は引き算する)します。

★私の実例ですが、タイムアライメント(ダイヤフラムの物理的距離を合わせる機能)のみの設定の場合、高域の余韻の部分(シンバルンのジャーんの後の音等)やホールでのボーカルが電気的にオクターブを掛けている様な複数聴こえる音源で、且つ小さいバックサウンド的な音が、妙に濁った様なザラツイタ様な音に聞こえてしまう事がありました。

★このAccuphaseの計算式が私のデジタルチャンデバにそのまま当てはまるかどうかは不明ですが、とりあえず上記の計算式で算出し、出た値を基準に耳で確認しながら微妙に値を前後させて調整してみました。すると、今までのザラツキや濁りが不思議と消え、素直な余韻やバック演奏に変った気がます。・・・これが、微妙に遅れて自然空間で合成されると起きる音の混変調なのか?と、思いました。。

◎クロス周波数もアナログ式チャンデバと違いユニット毎に再生帯域が決められます。又、先にチョコッと触れておりますが、必ず付いている機能が各帯域の出力をタイミング遅らせることで各ユニットの位置ズレを補正する技術⇒タイムアライメント(ディレー)機能です。機種によってこのディレー時間の長さや細かさが異なり、長い物では290m分遅らせる事ができる機器もあります。これらの機能を駆使しますとユニット自体の位置を動かさずに様々なセッティングが行え理想のマルチユニットのマルチアンプ駆動再生ができます。

◎クロス周波数の決め方はアナログ時と似ておりますが違うのはユニット毎にハイパス・ローパスの周波数やスロープ特性を別々に設定できることです。例えば3Wayの場合、ウーファーを1000Hz:-12dB/octのローパスのみの設定、スコーカーを800Hz:-24dB/octハイパスと9000Hz:-12dB/octローパス設定、ツィーターを6000Hz:-48dB/octハイパスのみの設定・・・と言うふうにユニット毎の再生帯域を設定でき、かなりオーバーラップさせて使ったりもできます。

◎機器によって減衰率を-86db等、もの凄い急カーブで帯域を削る事も可能な為、クロスポイントでは通常の-3dbクロスにならずオーバーラップさせて-3db(又は-6db)クロスに調整したりもできます。

◎この様に個々のスピーカーユニット毎に使用したい帯域を設定できそれに合わせて周波数と肩特性を決める事ができます。つまり、ハイ側とロー側でスロープ特性や周波数を同じにする必要は全くありません・・・もちろん同じでもかまいません。機種にもよりますが、私の使用しているデジタルチャンデバは-12db/octを選択しますとチャンデバの理論上-3dbクロスになるように設定するとハイ側もロー側も同一の周波数の設定なります。ハイ側ロー側共に-24db/octにすると理論上-6dbクロスになるように設定すると、周波数はハイ・ローで異った周波数値なります。

◎スピーカーユニットによって、+ -の極性が異なる場合やバランス接続のホットとコールドのピン設定が異なる場合に180度位相反転(極性反転)や個々の帯域内毎に特定の周波数を持ち上げたり下げたりできるイコライジング機能搭載機種もあります。PC(パソコン)と接続してソフト上でより細かな調整をグラフィック的に簡単に調整できる機種が殆どです。Accuphase の様な高級機種は別として減衰率によるデジタル特有の遅れを手動で調整する必要な機種もありますので、遅延分を付加して最後は、やはり耳で聴きながら微調整する必要があります。(私の機器では-48dbの時、45度遅らせて自然な音になりました)

◎これだけの機能と性能を有しているならば、デジタルチャンデバを導入しない手はありません。いよいよデジタルチャンデバの導入です。

★しかしデジタルチャンデバを導入するには乗り越えなければならい問題点が三つ存在します

一つ目は、デジタルチャンデバに入力する信号がアナログ信号の場合(アナログ⇒デジタル変換:DACの逆の技術でADCと言う)です。マイクの音声やLP(アナログのレコード盤)の音楽信号をアナログのプリアンプ経由で且つ音量を絞って静かに聴きたい場合等でで、出てくる音は中高域方向にかなり劣化した音(粗くうるさい感じの音)になります。

デジタルではアナログをデジタル変換(ADC)する場合、デジタルへの入力は飽和する寸前状態の音楽信号にする必要があります。簡単に申しますと小音量ではデジタルに変換される時、一般的に言われておりますビット落ちと言う現象が起き、粗い音楽情報になり信号が抜けたデジタル信号になってしまいます。充分な音量でADCに入力する必要があります。

単に音量を大きくして入力すれば良い訳ではなく飽和する寸前のレベルが大事です。(決して飽和させてはいけません)この飽和する寸前がデジタル化される時に一番、情報を欠落させずに量子化できます。(デジタルチャンデバを導入する場合、絶対にプリアンプ等で絞った信号を入力させないようにして下さい・・・安いラジカセの音になっちゃいます)

二つ目は、この逆です。DACはデジタルをアナログに変換しますが、デジタル信号の状態でレベルを下げ過ぎますと先程と同じようにビット落ち(音楽信号の情報が欠損する)して歪んだアナログ信号になります。チャンデバですから周波数分割以外に各ユニットの能率に合わせてレベルを絞らなければなりません。この絞るレベルは(サンプリング周波数にもよります)-20dB程度迄なら問題ないのですが-30dB以上も絞ると明らかに音質劣化を招きます。これは、先の説明と同様にデジタル側で音量を大きく絞るとビット落ちが起きてしまうからです。(ビット落ちしますと、本来有るべき情報が消し飛んでしまい消えた情報は二度と戻りません)

三つ目はいつも、音楽を聴く時は大音量やフルパワーで音楽を聴くわけには行きません。分割しそれぞれのパワーアンプに送った音楽信号を同時にプリメインアンプのように音量調整できるVRが必要になります。L・R分必要ですので2Wayなら4ch分、3Wayなら6ch分、4Wayなら8ch分を同時に調整できないと具合がよくありません。

★二つ目と三つ目は、アナログに変換された後に起こる問題点なのです。・・・いかに調整するかです。

一つ目の解決策は、デジタル機器には入力レベルメーターと入力レベルコントロールのVRが付いています。音楽信号の最大値でこのメーターが飽和しない(入力オーバーで飽和すると警告ランプが点灯)ギリギリのレベルになるように、VRで調整します。少しでも飽和するとたちまち歪んだブチッとかガリッと言ったたぐいの酷い音がでます。(REC端子があれば、プリのVRを通さずに一定の出力をしてくれますので、その端子から出力を取り出しチャンデバに入力するとよいです)

二つ目の解決策は、音楽を聴く場合、デジタル領域において、なるべく最大レベルで処理するのが理想です。その為な、るべく絞らない状態にしておいてそのデジタル信号をアナログに変換します。その変換されたアナログ信号をパワーアンプに入力しパワーアンプの入力調整VRで調整ます。入力調整VRが付いていないパワーアンプは、そのままではフルパワーの信号が各ユニットに入ってしまいますのでその場合はやむを得ませんので、デジタル時に絞っておきます。(特にツィータ等のユニットには過大信号は厳禁です・・・・・過大信号が入りユニットを飛ばしでもしたら大事件ですから)

※デジタルでのレベル調整範囲はどんなに絞っても-20dB以内、できれば-15dB以内に抑える工夫が必要です。

入力調整VRのないパワーアンプの場合は極力デジタル時に絞りたくないので、この場合はW数の高い無誘導型の良質な抵抗(デールやビシェー)を用いてパワーアンプとスピーカーユニット間に固定式アッテネーター(-6dB~-15dBの間)を入れます。可変型のVRをアンプの前に入れても良いのですが良質な物はかなり高額ですし汎用VRではギャングエラー等の左右のレベル差の問題で固定式アッテネータより音質が劣ると思います。

三つ目の解決策はアナログ信号になってから音量を絞る必要が有ります。2Wayなら4連VR(ステレオの為)、3Wayならの6連VR、4Wayなら8連VRが必要になります。目的はプリアンプのVRの代わりにチャンデバ後の全体の音量を絞れるようにするためです。最近では6連や8連等のVRは市場に見かけなくなりました。(特注すると目の球が飛び出そうな金額になるそうです)

そこで、電子VRのキットを用い自作すると言う手があります。(製品になっているアンプ型VRは高価です)多少電子工作に自信がある方であればそれ程、難しくありません。原理は、4Wayの場合、ステレオタイプ(2ch)の電子VRを4個用いてエンコダー(VRのツマミに相当)1個で連動させます。エンコダーの信号のみを其々の電子VR基板に入力さ同時に同レベルで可変出来ます。性能も高級アンプに採用されるぐら優秀で高額なVRを使う必要はないと思います。(Web上で「電子ボリューム」で検索しますと沢山ヒットします)

◎以上の三つの問題点をクリヤーできたならデジタルチャンデバは最高のピュアオーディオの仲間入りです。又各調整がバシッと決まるとアナログチャンデバとしての良さも捨てがたいのですが、アナログでは出せなかった音質が出せるようになり、もうデジタルチャンデバを手放せなくなります。

◎チャンデバで”特性などの性能も、音質も良くて”となると、コンシュマー用のオーディオ機器で探すと高価な機器しか見当たりません。しかし、PA用(Proが使う機器)で探せば十分Hi-Fiに通用しうる手頃なデジタルチャンデバが見つかります。PA用では3Wayクラスの国産製品なら¥20万以下、海外製品で一番安いのは¥3万以下(ノイズ対策等に多少工夫が必要)で存在し、お勧めは約¥5万~¥10万クラスが良いように思います。余裕のある方には4WayクラスのPA機器でもかなり優秀な機器の部類で且つ多機能なタイプの¥45万程度があります。(高く感じますが、それでもコンシュマー用の約半分程度です)

◎マルチアンプ駆動のデジタル化の手始めは、最安値のステレオ3Wayが可能なべリンガーのデジタル式チャンデバ「DCX2496」で実験してみると良いと思います。この機器は多機能ながら約¥27,000前後(2012年代の価格)で入手できます。使用部品は結構音質の良い部品が使われており音質は悪くないのです作りこみが、中国製で今一だそうです。電源が弱いのでノイズが出易い事も多くの記事を見ます。安いので多くの方が導入されているらしくWebで検索しますと改造方法が沢山ヒットします。

◎改造しないで使えそうな価格帯は¥100,000前後~なら、見つかると思います。”DCX2496”で2013年以降製造の新しいバージョンは改良されてノイズが気にならない程度になっている旨のブログをチラッと見かけましたが、定かではありません。

これからの時代、音源は益々デジタル化され、いや・・・もう既になっています。しかもアナログに匹敵する高音質の音源が今や当たり前のように出て来ています。伝送及びコピーしても劣化やノイズのないデジタルの、この音源を再生するには最後のギリギリまでデジタルで処理をして、スピーカー直前でアナログに変換し、再生するのが理想かと思います。

デジタルならではの問題点も有る事は有ります。しかし、技術の進歩は凄まじいものがあります。もう、デジタルを避けて通る訳には行かなくなってきています。(オーディオの世界もデジタル化が進み、アナログ機器が段々と希少価値になりつつあります)

◎しかし、過去のものになりつつあるアナログ技術ですが、アナログで最高にチューニング出来た音質には、勝てないとは思いますが、そのクォリティーを維持するすること自体、大変な努力と費用が必要です。・・・ピュアオーディオを実戦されている方は肌で感じておられていると思います。これらアナログの良さも決して捨てる必要はありません。なぜなら、基本(自然界)は全てアナログで、デジタルの目指すところは、加工や処理はデジタルで行っても最終出力は限りなくアナログに近づく事・・・だからです。

◎アナログ技術を基本に、又大事にしつつもクォリティーが維持する(劣化させない)新しいデジタル技術にチャレンジされてはいかがでしょうか。オーディオとしてのデジタル技術の最終目標は、どのようにして最高レベルにチューニングされたアナログサウンドにいかにして近づける事ができるかです。

◎デジタルではアナログの時よりもコストは少なくて済むと思います。電気もアナログほど消費しません。エコの時代です、そろそろ切換えても良い時期に来ていると思います。職業や趣味で元々専門的にやられていた方は別ですが、デジタル機器を自作するには、一般のオーディオマニア、特に私の様に60才過ぎた素人では、もう無理のような気がします。せめて、プロが設計製作した機器を使いこなす事に専念しようと思っています。

【参考】
価格帯が¥100,000前後のステレオ3Wayデジタルチャンデバは
 ”EV(エレクトロボイス)DC-one” ”DBX DRIVERACK 260” ”DBX DRIVERACK PA+”等があります。


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