偽りの死線 …後編…



「来ラレタシ」
 A4の紙の真中に、それだけが印字されていた。同封されていたのは、講演会のチラシ。…政治家永井の講演会である。
「政治にゃ興味ないんだけどね」
 自室でひとり、飛羅はぽつりと呟いた。
 これからの予定を、御門達と大まかに決めると、飛羅は浜離宮を離れた。洗濯し、脱水はしたものの、ぴっとりと肌にへばりつく飛羅の服に着替えて。
「なんだ、先生。お似合いだったのによ」
 村雨の軽口に、飛羅はその腹の立つ顔に軽く一発くれてやった。
 多分、飛羅が嫌がるような服をわざわざ選択したのだろう。いくら村雨でも、アロハシャツに紫のパンツは合わせない。それじゃあただのチンピラだ。
「…さて、どうすっかな」
 物の少ない部屋で、ラグマットに座りこみ、灯りにチラシを透かすように見上げる。飛羅は、ピシリとその紙片を弾いた。

 疲れていた。
 身体は鉛のように重い。身体を動かしたことによる疲労ではない。…これは、精神的なものだ。
 目を閉じると、真っ暗なはずの視界が、紅く染まる。…血だ。
 久しぶりではなかった。最近、政治家に対する暗殺依頼が増えていた。しかも、社会的抹殺ではなく、その者の命を奪う、殺人依頼が。
 いつからだろう。理由を問いただしたくとも館長が捕まらなかったから、館長が、あの意味深な「共に戦った友人達に、いつでも連絡できるようにしておきなさい」という言葉を残したあたりだと見当がつく。
 そこで、壬生は思考することを止めた。考えても、身体が重くなる一方だ。このマンションの階段を上れば、自分の家に着く。まずは、何もかも忘れて寝よう。全ては、それからだ。
 そう思って夕闇に染まる階段を上りきり、玄関の並ぶ通路に出たときだった。信じられない人物をそこに見つける。
「あ、おかえりなさい。壬生さん」
 ほのかに微笑み、壬生の家の玄関に座りこんでいた彼女は立ち上がった。
「比良坂…さん…」
 驚愕に顔を染めたまま、壬生は無心のうちにそう呟いた。
「なぜ…?」
「すみません、突然お邪魔してしまって。渡したいものがあったので」
「…何?」
 極力冷静に応えようとはしているが、自然と声は低くなる。疲労による余裕のなさは、ちりちりとした棘を脳に押しつける。比良坂に対して冷たい態度をとりたいわけではないと意識すればするほど、自らの態度に幻滅し、その棘は苛立ちをつのらせた。
「雛乃さんがくれたんです。おいしいらしいですよ?栗蒸し羊羹」
 かっと、頭に血が昇る感覚が襲う。差し出された羊羹の包みを払いのけたい衝動を、すんでのところで押し止める。
「如月さんの手術で、私は皆さんと会えなかったから…」
「帰ってくれないか」
「…え?」
 それが限界だった。ふとすれば、怒鳴ってしまうかもしれない。ぐらぐらと地面は揺れている。それが地震などではなく、自らの感情が揺らしていることなど自覚していた。…しかし、抑えが効かない。
 呆然と佇む比良坂を視界にいれないよう顔を背け、玄関に鍵を差し込む。
 もう、僕は解放されたいんだ…。
「壬生さんは!」
「?」
 打って変わり、強い語調の比良坂の声に、思わず壬生は振りかえっていた。比良坂の真摯な瞳を正面から受け止め、一瞬たじろぐ。
「なぜそうやって自分だけでためこむんですか!」
「…比良坂さん?」
「そんなに信じられないんですか!?私は頼りないですか?…ううん、私がだめならそれでもいい。飛羅やみんなも、壬生さんの助けになるには、役不足だって言うんですか!?」
 先刻までの感情も忘れ、壬生は比良坂の勢いに圧倒されていた。たまに彼女が見せる、強い表情。
「ひとりでそうやって傷ついて!私達が気付かないとでも思っているんですか!?」
 壬生は、言葉を失った。
「…何を、言ってるんだ?」
「壬生さんのことを私達はこんなに心配してるのに、そんなものいらないってはねのけられて、私達が馬鹿みたいって言ってるんです!」
 比良坂の目には、涙がにじんでいた。
 壬生にも、分かってはいた。自分ではどうにもならない袋小路でもがいていること。
「だけど、これは僕の問題だ」
「相談もしてくれないんですか…?」
 一転して、比良坂は肩を落とし、すがるような瞳で壬生を見上げる。
「…じゃあ、私はどうすればいいですか?…そんな壬生さん、見ていられない…」
 はたりと零れ落ちるものがあった。
 そのあまりに美しく透明な輝きに、壬生は目を見張る。
 自分にはそんなものがないと思っていた。人を想うほどに、自分を想ってくれることなんて。そんな価値など、自分にはないと思っていた。
「あまり、買い被らないでくれ。自惚れそうになってしまうから」
「…少しは自惚れてください」
 少し口を尖らせると、比良坂はそう応えた。その視線の先には、困ったような表情の壬生がいる。
「…暗殺依頼が増えているんだ」
 しばらく逡巡した後、壬生は顔を背け、ぼそりと告げた。
 静かに耳を傾けている比良坂をチラリと見ると、更に続ける。
「しかも、政治家の、ね」
「なにか、理由があるんでしょうか…。…と、ごめんなさい。相談して欲しいと言っておきながら、全然ためにならない応えで…」
「依頼のあった政治家はみな、次の総理候補とも言える重鎮ばかりだね」
 比良坂の言葉をそのままに、壬生は喋ることをやめず、続けた。それは、比良坂に聞いてもらっているだけで意味があるのだ、と暗に示していた。応えを期待するのではなく、聞いてもらうことにこそ、意味があるのだ、と。
「依頼が増えて、更にターゲットが次期総理と噂される人物ばかりとくるとね、何かあるような気がするんだ。…だけど、確かめる手段がない」
「館長さんには?」
「…連絡が取れなくてね」
 自嘲気味に笑う。いつのまにか、先刻までの苛立ちは身体から消えていた。答えが見つからなくとも、聞いてもらうだけで、これだけの安心感があるのか。その事実に、はっとさせられる。
 そんなとき、比良坂がぽそりともらした。
「そんな依頼、どんな人がしているんでしょうね」
 確かに。
 依頼主は、壬生が知る限り、全員違っていた。だが、そこに共通点はないのだろうか。
 一人一人、指折り数え、その依頼主達を思い返してみる。
 政治家、事業家、財団…。様々だが、その依頼主達の、暗殺による利益を想像してみる。普段なら、時間をかけ、事前に調べるのだが、そんな時間は与えられなかった。異例でもある。
 ただ、何か引っかかる点がなかったか?
 暗殺依頼のあった政治家は、全て総理候補。結果、次期総理と謳われる政治家は、数を減らしていく。
 そこに、マスコミが騒ぐような不自然さはない。なぜなら、拳武館が関わり、何重にも張られた防衛線があるからだ。病死や失脚、自殺等。その理由には、確かな証拠と証言が用意されている。実際には、暗殺されているのだが。
 新聞やニュースなどで、良く聞く総理候補を思い返してみる。そして、ひとつ気になる点があった。
 永井である。
 衆議院議員である永井は、鬼道衆の後見人だ。つい先日、飛羅と尾行した政治家である。館長より立場が上で、拳武館を卒業し、拳武館の内部を知る人物。
 彼を尾行する前に、壬生は永井について調べを済ませていた。
 彼が政治家として属するのは、自民党。そして、鈴木派であることも知られる。
 鈴木派。防衛庁長官、鈴木孝義の派閥である。
 その鈴木は、総理候補と噂されていなかったか。
「…まさか…」
 可能性は少なくなかった。が、断定するには、証拠が少なすぎる。
 なにより、残る総理候補は、鈴木だけではない。
 しかし、それが思惑のうちであったらどうなのだ。自らに疑いがかからぬよう、他の総理候補を残したと、そう言えなくはないか?
「何か思い当たるふしでもあったんですか?」
 考え込んだ壬生を、心配そうに比良坂が覗きこんでくる。安心させようと作り出した微笑は、疲労のためか頬の下でひきつっていた。
 口に出すのははばかられた。永井にしても、鈴木にしても、盗聴や追っ手を差し向け、どこかで聞いているやもしれない。
「少し…、ね」
「…今日は休んだ方がいいです。あまり、顔色が良くないし。私、帰りますから」
「いや、お茶でも淹れるよ」
 ふふっ。
 ふいに比良坂が笑った。壬生は、怪訝な表情のまま、首を傾げる。
「いえ、ごめんなさい。私が壬生さんの家に押しかけておいて、『帰りますから』もないなあ、って思って」
「僕は、構わないよ。むしろ、助かったからね」
 泥のような体内の血液は、清廉な流れを取り戻していた。息苦しい圧迫も、今は感じられない。
 本当に、「救われた」と言っても過言ではないのかもしれない。
「壬生さん、あまり頑張らないでくださいね」
 比良坂は、ほんのりと微笑んだ。
 その言葉は、毎日を全力で駆け抜け、自らの余力をも省みずひたすらに身体を酷使し、倒れそうになった、もしくは倒れたことのある人間のセリフだった。そんな経験がない者には、決して言えない言葉でもある。
 分からない者には、侮辱とも感じるだろう。「私はまだまだ頑張れる。これが私の全力ではない」と。
 しかし、比良坂には分かっていた。壬生が、その言葉の本当の意味を分かってくれる人間だと。
「ありがとう。…でも」
 素直に礼を述べた壬生だったが、「そうは言ってられない」と続けようとすると、比良坂の手が伸びてきた。その小さな手は、長身の壬生の頭に手を伸ばすと、そのままそっと抱き寄せる。
 その身長差から、壬生は比良坂にお辞儀をするような格好で、比良坂の鎖骨に顔を埋める形になった。そんな壬生の頭を、比良坂は抱き抱える。
「私が、壬生さんの力になりたいんです。私で良ければ、いつでも力になりますから。…私じゃ、全然力になれないでしょうけど…」
「そんなことはない」
 されるがままに比良坂のぬくもりに身を預ける。心地よい居心地の中、壬生は比良坂の鼓動を聞いていた。それは、自らの鼓動と呼応するように、早くなっていく。
「もっと、壬生さんを包みこめるくらい、この腕が長かったらなあ…」
 比良坂が、ぼんやりとそう呟く。そのある種突拍子もない呟きに、壬生はくすりと笑った。
「僕には十分だけど、ね」
 腕の長さなど、関係ない。
 壬生は、すでに比良坂の優しさに包みこまれていた。
 ブルルルル…。
 携帯のバイブレータだった。衣服と擦れる微かな音で気付いたのだろう、比良坂が、手を離す。壬生がうっとうしそうにポケットから携帯を取り出すと、液晶画面に良く見る名前が表示されていた。
「…もしもし」
「あ?紅葉〜?」
「どうかしたのかい?」
「あ、なんか冷たい反応。お楽しみのところ、邪魔しちゃった?」
「…な…。近くにいるのかい!?」
「あ。図星だったりして〜」
 軽い笑い声が、携帯から流れてくる。まんまとひっかかったわけだ。
 眉をひそめ、声を低める。
「何か用かい?飛羅」
「そんな怒るなよ〜、紅葉ちゃ〜ん」
「…切るよ?」
「わー、ちょっと待った待った!真面目な話があるんだってば」
 少々頭痛を覚えながらも、壬生は冷静を装いつつ、飛羅の次の言葉を待った。
「あのさ、明日は暇か?」
「?特に用事はないけど?」
 打って変わって、真面目な声音に、壬生は表情を変えた。
「講演会を聞きに行く気はないか?」
「講演会?」
「そう。永井の講演会」
「!」
 ついさっき、全てを繋ぐ糸の中心にいるのではないかと疑った人物だ、それは。
「オレさ、招待されちゃったみたいなんだよね。『来ラレタシ』って手紙と、チラシが同封されててさ」
「それは…」
「ああ、きっとそうだろうね」
 特に、交わす言葉がなくとも、それで通じた。
 やはり、飛羅と壬生の尾行は永井に知れていたこと。講演会がどこまで大々的なものであるかは知らないが、講演会場には罠が待っていること。そして、鬼道衆が自分達を待ち構えていること。
「…行くつもりなのかい?」
「行かないわけにはいかないと思うけどね」
「…そうだね…。他のみんなには知らせたのかい?」
「これから」
「そうか。じゃあ、分担して知らせた方が早いだろうね。僕も連絡するよ」
「ああ、助かる」
 いつのまにか、携帯から流れる声は、真剣なものに変わっている。実際、事は大きく動いている。そして、講演会で待ち構える出来事は、そう簡単ではない。
 容易に、それは想像できた。
「紅葉?」
「なんだい?」
「紅葉の意思でいいからな?」
「それ以上言ったら、怒ると思っていいよ」
「了解。その言葉を聞いて嬉しいとだけ言っておくよ」
「ああ」
 飛羅からのこの連絡で、助太刀に立ち上がらない仲間が果たしているだろうか。
 飛羅だけが当事者ではない。ましてや、鬼道衆との確執がある如月だけでも。自分達全員が、その一端を握っているのだ。
「まあ、今日はゆっくり休んでおけよ?」
「そうするよ」
「疲れ取るには、甘いものがいいからなあ。うまい栗蒸し羊羹でも食って」
「は!?」
「いやー、うまいらしいぜ?雪乃と雛乃が知ってる栗蒸し羊羹。後で食いに行くから、少しとっておいてくれな」
 陽気な声に戻って、一方的に通話は切れた。
 …知っている。完全に。
 ここに比良坂がいることを。
 多分、手配したのは飛羅だ。雛乃が比良坂に、壬生への羊羹を持たせたのも、飛羅の入れ知恵に違いない。
 なぜだと考えてみる。
 壬生の暗殺の仕事が増えたことに対するものだろう。壬生が泥のような身体を抱えていると、知っていたとでも言うのだろうか。
「飛羅ですか?」
「ああ」
 壬生の電話が終わるのを静かに待っていた比良坂は、問うた。
 壬生は、自嘲気味な笑みを浮かべる。
「やはり、お茶を淹れるよ。明日は忙しくなりそうだからね。ゆっくりとお茶でもしよう」
「?」
 一瞬、不思議そうな顔をした比良坂は、壬生が玄関を開き、部屋に招き入れようとする行動に、顔をほころばせた。
「はい」
 空には、すでに星が瞬き始めていた。

 翌日。
 神妙な面持ちの仲間達が、永井の講演会場に集まった。懐かしい顔ぶれもある。その中心で、毎日のように顔を拝む彼がいた。
 次第に、周囲の空気が身体に馴染んでいく。安心感の隣にある、大事の前の高揚感。
 これから、何が起こるか分からない。が、不思議に不安はなかった。
 久しぶりに、その感覚を壬生は味わっていた。
 飛羅は、数人を連れて、会場に入る。残りの者達は、会場の外に待機した。…というのも、会場は思ったより盛況で、席が空いていなかったためである。そして、槍や弓を持つ者は、あまりに目立ちすぎた。マリィにすれば、子供の姿をした彼女が入るには、不自然だったこともある。
 駅から少し離れたその小さなホールは、普段ちょっとした発表会などに使われるイベント会場だ。木材を使ったこぎれいな外観で、思いの他区民からの人気を集めている。
「ふうん。結構キレイな建物なんだな」
 少々感嘆しながら、ホールに続く重い扉をくぐる。
 微かな甘い香りが鼻をくすぐると、奇妙な違和感があった。違和感を認識した瞬間、甘い香りも違和感も、キレイさっぱり姿を消す。
「?」
 小首を傾げた飛羅の上着の裾をついと引っ張る指があった。壬生の隣を歩く、比良坂の指だった。
「飛羅、この空間、変です」
 小声で、そう告げる。
 なんとなく、それは飛羅にも分かった。ステージの緞帳に向かいすり鉢状に並ぶ席。厚い壁に囲まれたホールといっても、この空気の重さは尋常ではない。
 やはり、罠だ。
 だが、それは予想していたことだった。今更、驚くことでもない。申し合わせていた通り、できる限り傍にかたまって席につく。
 周囲の人々は、ただ真実に、永井の講演会を聞きに来た者達のようだった。目を凝らしても、服装や行動、目つきまで、異常なところは見当たらない。
 傍目から見れば、本当にただの講演会だった。
 開演時刻が来ると、幕が上がり、小太りな男が現れた。政治家、永井である。
 「キレ者」と耳にする噂を疑いたくなる、そんな姿。ただ、その瞳は、眼光鋭く獲物を捕らえて離さない、貪欲さがあった。政界に溢れかえる、血統と賄賂を重んじる無能な政治家とは一線を隔てている感がある。
「皆様、私のような者の講演にお集まり頂き、ありがとうございます。さて、最近の…」
 講演を聴く以外、何もすることがない飛羅は、半分眠りながら、その声を聴いていた。
 良く通り、響く声。その小者にしか見えない姿とは違い、確かに「キレ者」のようだった。内容も、聞きやすく、分かりやすい。いつのまにか引き込まれる口調だ。
 いつのまにか、飛羅もその言葉に聞き入っていた。
「確かに、我々日本の民は、戦争を放棄してきました。ですが、だからと言って、無防備のまま荒されるわけにはいきません」
 永井は、拳を握ったまま、熱を入れてしゃべりつづける。
「自衛が必要なのです。そのためには、日本の中身が安全でなくてはならない。隣の者といがみあっていてはいけないのです。日本の中で争っていてはいけないのです」
 気のせいだろうか。その言葉の直後、空気が微妙に流れた気がした。髪の毛を引っ張られるような、小さな違和感。それが何なのか、飛羅は思い出そうとした。
「ですから、危険因子は除くべきです。争いをなくすために」
 空気が動いたと思ったのは、気のせいではない。客席の前の方が、もやに包まれつつあった。甘い香りが漂う。思い出した。この違和感は、会場に入るとき、感じたものだ。
「危険因子が除かれたならば、再びこの日本は自らを守る手段を手に入れることができるのです!」
 わああああ!!
 割れんばかりの拍手喝采。歓声。
 飛羅は、思わず立ちあがった。この声は…。
 現実のものではない!
 壇上の永井が、客席の中で一人立つ飛羅を寸分違わず指差した。
「そうだろう!?危険分子、去来川飛羅!そして、その意思に従う危険分子達よ!!」
 一瞬にして、もやに包まれはっきりとしなかった視界が晴れた。
 囲まれていた。
 黒い装束に般若の面。
 鬼道衆である。
 客席にいたはずの観客は、全てきれいさっぱり消えていた。
「ちぃっ!やっぱり幻覚か!!紗夜!!」
「はいっ!」
 比良坂が歌い始める。皆の守備力を高める歌だ。その比良坂に襲いかかろうとした鬼を、壬生が一蹴する。
 闘いはすでに始まっていた。
 藤咲の鞭が唸りを上げる。囲んだ鬼どもを、一瞬で弾き飛ばした。それに、高見沢の術が追い討ちをかける。
「外で待ってる奴らを呼べないか!?」
「無理みたいです。この空間は、完全に外界から切り離されてます」
 歌を歌い終わり、一呼吸空けると、比良坂は飛羅にそう返答した。
「この面子で闘うしかないか」
 とはいったものの。数はあまりに違い過ぎた。圧倒的に鬼道衆の方が多い。
「貴様は、闘いの最中、少女を死に至らしめた。何の関わりもない、いたいけな少女をだ!そんな力を持った者が、なぜ危険ではないと言える!」
 先刻までの冷静さが嘘のように、永井が声を荒げていた。少女とは、先日、植物状態から亡くなった女の子のことだ。
「貴様の、その力。その存在そのものが、この国には危険なのだよ!」
 この国を護ったのもまた、飛羅達だったのだが。しかし、その道のりで亡くなった命のことを、「仕方ない」という言葉で終わらせるつもりはなかった。
 ただ、護る時には必要で、危機が過ぎたら邪魔になる。そういった自分勝手な思考そのものが、飛羅の癇に障る。
「まさか、聞く耳を持つわけじゃないだろうね?」
「まさか」
「安心した」
 そっと傍に寄り、話しかけてきた壬生に、そう返す。そして、飛羅は永井に声を張り上げた。
「その闘いを起こしたのは、そもそもおまえら鬼道衆だろう!」
 責任を擦り付ける気はない。ただ、そんな闘いを生むこと自体が、憎むべきなのだと言いたかった。それを学ばなかったら、あの子の死はなんだったのだ、と。
 比良坂が、また歌を歌い始めた。数人かたまっていた鬼道衆がぱたぱたと倒れる。闇の技だ。
「飛羅!考えている暇はない!」
「言われなくても!」
 飛羅と壬生の方陣技が、辺りの鬼道衆を一掃した。なぎ倒された客席が、その凄まじさを物語る。
 が。いかに善戦しようとも、鬼道衆の数は一向に減る様子を見せない。仲間達の額には、汗がにじんでいた。
(数が違いすぎる!)
 そう、飛羅が歯を食いしばったときだった。その銃声がこだましたのは。

 時は少し戻る。
 黒いリムジンは、首都高をひた走っていた。後部座席で向かいあう者達がいる。
 御門と秋月が、並んで座っていた。
 彼らに向かい、車の前方を見る形で座している者がいる。
「ご足労、ありがとうございます。鈴木殿」
「いや、構わないよ。むしろ、政治に興味を持ち、未来を考えてくれる君達が、この日本には貴重だからね」
 その口調には、相手を威圧する強さは微塵も感じられない。しかし、はっきりとした意思を持つ、声。皺も目立つその顔には、しっかりと前方を見つめる強い意思を持った瞳があった。頭には白髪も混じっているが、その姿に幾分もの老いはない。
「しかし、さすがに驚いてはいるがね。未来を描いてもらおうと依頼した方から、『見てもらいたいものがある』言われたときにはね」
「はい。お話もお聞きしたかったので」
「話?何かね?」
 そう言って、防衛庁長官、鈴木孝義は笑顔を浮かべた。
 さすがに、大物だ。演技も板についているんだろう。御門は、内心鼻で笑った。
 こういう役者は、仕事上見慣れている。腹が黒い者ほど、人を安心させる笑みを知っている。その表面と内面との差異が大きいだけ顔に歪みが生じ、政治家特有の表情を作るというが、あながち嘘ではないのだろう。
 しかし、鈴木の顔は違っていた。60も過ぎる老人であっても、その顔には精悍さえ感じられる。腹の闇が、顔に出なかった幸運な政治家か。はたまた、本当に表裏のない誠実な者か。
 御門は、前者であることを疑っていない。
 笑顔が上手い者ほど、信用できない人物と知れ。
 政財界を見つめてきた、御門の揺るぎ無い真理だった。
「失礼ながら、単刀直入にお聞きします。衆議院議員、永井殿をどうお思いですか?」
「永井君?彼は崇高な目標を持ち、頑張っていると思っているよ」
「では、彼が鬼道衆という組織の後見人であることは?」
「知っているよ」
 何の変化もなかった。その表情に。それどころか、一瞬の逡巡もなく、即答してきた。
 本物だ。
 しかし、御門は止める気はなかった。
「鬼道衆がこの頃、動きを活発にしているようですが、何か心当たりは?」
「少々待ってくれたまえ。後見人であるのは、永井君だろう?私には、良く分からないが?」
「そうですか。では、質問を変えさせていただきます。鬼道衆を騙る者が現れていることも、ご存知ではありませんか?」
「私は、人が思うように、永井君とは面識はないよ?永井君から、鬼道衆のことを聞いたこともない」
「そうでしょうか」
「ひどいね。まあ、話して信じてもらえないのなら仕方ないが」
 あっさりと引き下がる。その引き際は鮮やかだ。普通なら、そこですんなり信じてしまうのだろう。が、御門はそこまでおめでたくなかった。
 反対に。引き下がったのなら疑われる。そう思っての行動のはずだ。
 この男には、「話していいこと」と「話してはまずいこと」が、頭の中で整然と並んでいるのだろう。事実、永井が鬼道衆の後見人であることはあっさりと認めたものの、その実状については、絶妙な間で話を逸らしている。
「あなたの政治理論についてですが。内的危険因子の排除が、早急である、と、見受けましたが?」
「良く調べたね。確かに、そういった考えとも言えるね」
「内的危険因子とは、具体的にはどういったものなんでしょう?」
「そうだね。危険な意思を持つ者、危険な力を持つ者、かな」
「例えば、我々のような、『星見の能力者』ですか?」
 びくり、と御門の隣に座る秋月の肩が震えた。
 御門は、鈴木に会う前、薫には、
「何があっても、私が傍でお護りします」
と告げていた。少々この状況は酷かもしれないが、これは薫が望んだことだ。薫の「私も戦いたい」という気持ちは、御門も痛いほど分かっている。その気持ちをないがしろにするつもりはなかった。
「いいや。君達は、この国を護る者だろう?」
「外的危機がある時は、ですね。しかし、外的危機がなくなった場合、その力は内部に向けられ、得体の知れない脅威となる」
 初めて、その言葉に鈴木は一旦口をつぐんだ。そして、ニヤリという笑みが、一瞬浮かぶ。
 彼の、素顔だ。
「それは、君の憶測かい?」
「いいえ。事実だと思っていますが?」
 その返答に、鈴木は満足したようだった。
「政治と言うのはね、人と金なんだよ」
 突然、何を話し出すのか。
「一人の英雄と、その他の従順な下僕。それが必須でね。それ以外には、金しか必要ない。強硬的な意思、移り変わる意思が持つ特殊な力。どちらも、政治には必要ない」
 詰まりは、御門達―――飛羅達、特殊な力を持つ者は、無用だ。それこそが危険因子なのだ。と、そう言いたいのだ。
「それを、その危険因子達は素直に聞くと?」
「彼らの意思は問わないよ。彼らの存在そのものが、日本にとって『危険』なのだからね」
 彼の本音だった。
 が、実際のところ、何も聞き出せていない。危険因子を排除する手段として、どんなことをしたのか。誰を、…殺したのか。
 御門は、飛羅から聞いた壬生の話を思い出していた。拳武館での暗殺依頼。全て異なった依頼者からだというが、その名前の羅列に、鈴木との関連を予想できるものがあったことを。
 全て、鈴木の差し金だ。御門には、その確信があった。だが、それを暴くのが目的ではない。我々に伸びる暗躍の手を取り除くこと。それのみが、御門の欲するところである。
「…僕は、邪魔なものを、次から次へと排除するという考えに、賛同できません」
 それまで、沈黙を護っていた秋月が、おもむろに口を開いた。震えているのかと思っていたその声は、静かに落ち着いている。
「それは、一個人の考えだね。日本という全体から見れば、危険因子達はほんの一握りの集団でしかないのだよ?そのために、日本国民全てが危険に晒される必要性は、全くといっていいほど、ないとは思わないかい?」
「いいえ。僕は、危険と呼ばれる人達が、何を考え、何を欲しているのか、それを見極めもせず排除するなど、認めません」
「国を動かす政治に、そんな悠長なことを言ってられる余裕はないのだよ。見極めている間に、いつかの宗教団体のように無差別テロを起こされたとしたら。国を護る立場にいたとして、君ならどうする」
「僕は、賛同できません」
 頑ななまでの否定の意思。秋月は、その意思を曲げることをしなかった。
 隣で黙って聞いていた御門の考えは、めずらしくそんな秋月に反していた。
 確かに、鈴木の取った行動は、強硬であった。しかし、その危険因子に自分達が含まれていなかったら。これほど安心できることはないのではないか。
 食物連鎖にも含まれない、この世の生物の頂点に立つ生き物だ、人間は。その人間が、自らより強大な力を持つ者など、排除したくて当然だろう。ましてや、国を第一に考える政治家にとっては。
 リムジンはゆっくりと速度を緩め、停止する。
「まあ、にらめっこはそのへんぐらいで終いだな。…着いたぜ」
 運転席から、村雨が顔を覗かせた。助手席に座っていた芙蓉も、あまり動くことのない表情に、心配そうな色を浮かべ、秋月を見つめている。
「そうですね。ここで議論するより、直接ご覧になった方が早いのでしょう」
 そう言って、御門はリムジンのドアを開けた。

 突如ホールに鳴り響いた銃声に、ぱたりと倒れた者がいる。
 …鬼道衆だった。
「…な!?…どこから」
「飛羅!あそこだ!!」
 ホールを反響して、銃を撃った場所が特定できずに周囲を見まわしていると、壬生が客席の後方を指差した。
 黒い装束に般若の面。…鬼道衆。
 …いや、鬼道衆を撃ったということは、内部分裂でない限り、鬼道衆を騙る者だ。それを、永井の声が証明する。
「何者だ!」
 銃を構えたまま、鬼は応えない。数人の鬼が、同じように銃を持ち、銃を撃った鬼の隣に姿を現す。
 マシンガンなどでないことに、少なからずホッとするが、ホールに持ち込むには、大きすぎて怪しまれるのを恐れただけのことだろう。それは槍や剣を持つ仲間達を中に入れることのできなかった飛羅達にも同じことが言えた。
 どっちにしろ、銃を持った人間と銃を持たない人間とでは、力の差がありすぎる。
「ちっ」
 飛羅は舌打ちした。
 自分達の倍はある人数の鬼道衆に囲まれ、鬼道衆を騙る者達は銃を構えている。物言わぬ銃を持つ鬼達は、決して飛羅達の味方ではない。
 脳をフル回転させて、仲間達を守る手段を考える。が、その考えとは裏腹に、薫に見せてもらった窮地の絵が頭を埋め尽くした。栄光を掴む手が押し潰す自分達。あの絵は、このことだったのだ。
 そして、その手の持ち主は防衛庁長官、鈴木孝義である。間違いない。黒幕は鈴木ということだ。この状況が、全てを物語っている。
「紗夜。この幻覚を消して、外に出るのは無理か?」
「術をかけた本人が分かれば…」
「無理そうだな」
「…はい」
「紅葉!」
「なんだい?」
「奴らの目的は、何だと思う?」
 奴らとは、当然銃を持った鬼達のことである。
「鬼道衆と僕らの抹殺だろうね」
 壬生は、いともあっさりと応えた。
「やっぱそうだよな。…とすると、頑張って鬼道衆の襲撃を免れたとしても、後ろから撃たれるってことか」
「そういうことになる」
 絶体絶命。
 そんな言葉が頭をよぎった。
 そんな中、飛羅は、不敵に笑う。体中でくすぶるエネルギー。怒りにも似たそれは、ふとした衝撃で火を吹く。
「…上等だ」
 覚悟は、決まった。
「紅葉、鬼道衆は任せる。俺は、奴らを何とかする」
「分かった」
 元より、飛羅の身を案じて、拒否できるような状況ではなかった。後は、お互いを信じるのみだ。
 ガァン!
 2発目の銃声が合図だった。
 飛羅は、一気に銃を持つ鬼達との距離を詰める。
 1撃目が勝負だ。正面の鬼に向かって拳を叩きこんだ後、周りから照準を合わせられた銃撃を避けなければならない。
「うらぁ!!」
 気合の声を上げ、正面の鬼の顔面を殴りつける。その勢いに体を乗せ、席の背もたれを掴むと、鬼の頭上を回転しながら飛び越えた。複数の銃がこちらに向けられたのが、空気の動きで分かる。
 まだだ!
 殴りつけた鬼の背後で着地する直前、飛羅は回転を利用して回し蹴りを放った。蹴りは殴りつけられた鬼の首に綺麗にヒットして、鬼は無様に吹っ飛んでいく。その体はそのまま、側面で銃を構えていた鬼達をなぎ倒していった。
 客席の背もたれに足が着いた瞬間、なぎ倒された反対側の鬼達の銃が一斉に飛羅の足元に向けられる。
「そんなことは、百も承知なんだよ!!」
 背もたれを蹴り、再び飛羅は飛び上がった。集中した銃撃で、飛羅が足をかけた客席の背もたれは、一瞬でめちゃくちゃになる。
 と、そこに飛羅の姿がないことに気付き、鬼達は慌てて空中の飛羅に銃を向け直す。
「遅えっ!」
 飛羅は再び回し蹴りを放った。初めに蹴られた鬼が吹っ飛び、先刻の鬼と同じように、背後の鬼達を道連れにして倒れていく。
 直線の銃には、曲線の技。
 鳴瀧に叩きこまれた闘法だった、それは。銃には確かに威力がある。しかし、弱点もあるのだ、と。
 銃の軌跡は、直線でしかあり得ない。また、懐に入られれば、反撃する術を持たない。
 それを徹底的に利用するのだ、と。
 銃を持った鬼達が全て倒れているのを確認し、着地したときだった。その薄ら寒い音を聞いたのは。
 ごり。
 飛羅の頭に、銃口が押しつけられていた。
「…どこに…」
「……」
 飛羅の背後に立った鬼は、あくまでも口を開かない。
 どこに隠れていたというのか。周りの鬼達が倒されるのも無視し、ひとり隠れ、気配を消していたというのか。
「えげつねえこった」
 飛羅は、無意識に呟いていた。…もう、逃げようがない。…終わりだ。
 ゆっくりと引き金は絞られる。
「赤短、舞炎!」
「うわあっ!」
 突如、拳銃を持った手が炎に包まれ、鬼が悲鳴を上げる。その隙を、飛羅が見逃すはずもなかった。すかさず、銃口をずらすと、肘をみぞおちに入れる。鬼は、くぐもったうめき声を上げ、崩れ落ちた。
 ホールの扉が開いていた。眩しいほどの光が差し込み、入口に立つ人影を浮かび上がらせる。
「わりぃな、先生。遅れた」
「ホントに遅えよ!村雨!」
「コイツが幻覚消すのに手間取ったからよ」
 扉の逆光に立ちながら、村雨は隣に立つ御門を顎で指した。
「おまえの運転が遅いのですよ」
「俺は、安全運転を心がけたんだよ」
「分ーった!ソレは後にして、手、貸してくれるんだろ!?」
「当然」
「仕方ありませんね。芙蓉?」
「御意」
 御門と村雨が同時に術を発動させた。芙蓉が鉄扇を翳し、飛びこんでくる。
「悪い、待たせたな!アスラ!」
「オレ様の力!見せてやるぜ!」
 次々と、会場の外で足止めを食らっていた仲間達がなだれ込んでくる。
 先刻までは、息の詰まるような、体にまといつく空気を振りほどくことに必死だったのに。…こんなにも…。
 …空気が、軽い。

 闘いが収束すると思えた頃、壇上にいた永井が、信じられないというように、声を上げた。
「す、鈴木さん…?」
 御門と村雨に護られるように車椅子を進めた秋月の隣。彼は悠然と立っていた。
「なぜ、あなたが…?…私を、…裏切ったのですか!?」
「裏切ったとは、人聞きの悪い。私は、最初からあなたを仲間と呼んだ覚えはありませんが?」
 あくまでも、その口調は冷静だ。しかし、一片の哀れみもない。
「そんな…。そんな馬鹿な…。私はこれまで、あなたのために尽くして来た…」
「当然ですね。それは私がそれを受けるべき人間だからですよ」
 会話を聞きながら、薫は「一人の英雄と、その他の従順な下僕」という鈴木の言葉を、吐き気と共に思い出していた。
「血縁や世襲のみを重視する政界を一新させるという、あなたの考えに私は…」
「そして君は私についてきた。それは間違っていないよ。これからも、来るかい?」
 茶番だ。鬼道衆と共に、永井をも屠ろうとしていたのだ、鈴木は。
「…そんな…」
 永井は、壇上でへたりこむ。
 そんなときだった。ふと飛羅の視線の先で、むっくりと起き上がる人影があるのに気付く。…鬼道衆だった。手にしているものがある。おもむろに、それを構えた。
 狙う先は、―――鈴木だ。
「!」
 ガーン!!
 静寂に包まれていたホールに、銃声が響く。
 それぞれが気付いたときにはすでに、飛羅が鈴木を押し倒していた後だった。額に、紅い流れがある。銃弾は飛羅の額を掠り、いずこかへ去っていた。
 無言のまま、壬生が鬼が持つ銃を、蹴りで弾き飛ばす。ゴトリという、重い音が、直後、あった。
 しりもちをついた鈴木は、大きな動きのなかった表情を、恐怖に歪ませる。
 それで、十分だった。
 飛羅は、それを見止め、ニヤリと笑う。
「あんたらは、いつも机上でごたごた考える。そんなことしてるより、さっさと戦場に来るんだな。あっさり答えが出ただろ?」
 それともうひとつ、と飛羅が付け加える。
「オレは、国家とか政治とか、全然興味がねえ。そんなもんより、仲間がいりゃいいんだ。大切なもんを、自分の力で護る。誰にも文句は言わせねえ」
 そして。
 飛羅は拳を大きく振りかぶった。ぶうんと重い音を唸らせて、パンチを繰り出す。
「…っ!」
 悲鳴を漏らさせなかったのは、鈴木の理性の最深に残るプライドだったのだろう。感嘆すべき意地でもあった。
 が、いつまで経っても、拳が鈴木を打ちのめす音はない。拳は、平常を装い、しかし瞳を見開く鈴木の前で寸止めされていた。
 飛羅は、再びニヤリと笑う。拳を開き、ひらひらと手を振ると、仲間達を振りかえった。
「さって。帰ろうぜ」
 すがすがしい声がホールに響き、めいめいに応える声がこだました。
 必然性のなかった、仕組まれた闘いは、こうしてあっさりと幕を閉じたのである。


END


ホント、長くてすんません…。
まだ、エピローグに続くのです…。ホントいい加減にしろって感じですね…。
ええ、反省はしてます…。

壬生×比良坂要素を入れてみました。自分の中の王道です。(笑)
それと、思うのは、どこまでがオリジキャラかなあ、と。
鈴木と永井が出てきてますが、こいつらはオリジキャラの枠組に入るのかなあ?
自分で思うのは、魔人ゲームを捻じ曲げない。
魔人世界にあり得ない設定を入れない。
ということは、自分なりに守っているつもりです。
しかし。
こいつらいなかったら、魔人メンバーが窮地に陥るっつう場面が、
「柳生が復活した!」って陳腐な設定くらいしか思いつかないんですが…。(笑)

ホント、「本当にこれが窮地か!?」って感じも、自分でしますし。
ううむ、まだまだや…。

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