Godzilla

劇場版パンフ スタッフ
製作ディーン・デブリン
脚本ローランド・エメリッヒ/ディーン・デブリン
監督ローランド・エメリッヒ

 フランスの核実験の影響か、ムルロア環礁に生息していた爬虫類の一種が巨大な怪獣に成長、水中を高速で移動してマンハッタン島に出現、近代兵器の攻撃をかわしつつ、破壊の限りを尽くしていく……。

 公開前から豪快なイメージチェンジで賛否両論巻き起こした、USA版「ゴジラ」。制作会社、トライスターの名前をとって「トラゴジ」なんぞと呼ばれるようでありますが、よくぞここまで大きく変えたモンだと感心するぐらい本家のゴジラとは違ったデザインで、正直内心期待して観に行ったんでありました。全然違うゴジラを楽しめるかな、と。

食玩ゴジラ・初代食玩ゴジラ・アメリカ版 ちょうどバンダイの新しい食玩シリーズが"ハイパーゴジラ"てんで、さっそく買ってきたんだけど、まあこの2体の生き物がおんなじ名前で呼ばれる、ってのは確かに違和感のあるところかもしれません。でも、不自然に長い尻尾とか、3列の背びれとか、けっこうこれはこれでオリジナルのイメージを大事にしつつ、新たな生き物を創造したってことで、決して否定すべきものじゃあないと思いましたね。なんていうか、これぐらい大きく変えないと、わざわざアメリカで「ゴジラ」を作る意味がありませんや。

 「絵」の分野でも、技術、ハッタリともに日本軍のそれをはるかに凌駕してると思いまする。摩天楼の真っ只中を突っ走るゴジラと、それを追うアパッチ部隊のシーンなんざあ見ごたえ十分。雨、スモークを多用してライブ画像とCG画像の親和性を高める手法も悪くない。CG画像とライブ映像のコンポジット技術の進歩はすごいですね。それが特撮映像だってことはわかっても、どこまでがミニチュアでどこからがCG部分なのかなんて、全然わからなくなってしまいました。恐ろしい時代になったものだ(^^;)。

 で、肝心の「映画」としてはどうだったかというと、これは、まあ(^^;)(^^;)……

 功罪相半ばする、って感じでしょうかね。いかにもハリウッド製のエンタティンメント大作らしい、ノンストップの見せ場の連続、比較的長い尺(2時間19分)にもかかわらず、それを感じることなく、あっという間にラストまで引っ張るエメリッヒ演出は大したものやと思います。なんか日本のアニメに影響うけとるなぁと思わせる、あざといけどかっこいい(^^;)カットとか、ステレオタイプながらやっぱり怪獣映画にはこういうヤツがいないとね的なキャスティングも吉。脇をシブイ俳優に固めてもらって、主役級のカップルは大根てのも、SFX大作映画じゃお約束だし(笑)。

 ただ、スピーディーな演出を優先するがゆえに、よく考えると(よく考えなくても)この映画、あちこちエエかげんなところだらけで、ケチつけようと思ったらいくらでも出来ちゃうんですね、マジソン・スクエア・ガーデンがたかがハープーン2発で大爆発するかー、とか、そんな頑丈なタクシーあるかー、とか、お前ら一回ぐらい噛まれるやろふつー、とかサ(^^;)。見ごたえ優先で、細かなところのつじつまなんかは二の次、って感じの造りだったんでしょうね。おかげで見てるあいだは「おおすげえ!」って感じで楽しめるんですが、終わった瞬間に「で?」って感じちゃうのも確かなところで(^^;)。

 極めて「今様な」パニック映画だと思うのですが、で、これも「怪獣映画」であるとは思うのですが、「ゴジラ」ではなかったけれど「新しいゴジラ」でもなかったなあ、とは思いました。大変オーソドックスな、アメリカ製B級モンスターパニックのテイストがぷんぷんしてくるのね。すごくゴージャスな「原子怪獣あらわる」、みたいな感じ、つったらわかってもらえるかな。

 映画が終わって小屋をでるお客さんの感想も、「すごくいい感じだけど、別に『ゴジラ』じゃなくてもよかったよね」とか「あれなら『バラン』の方がしっくりくるんじゃない」なんて感じでありました。同感なんだけど、これ、「ゴジラ」じゃなかったら客の入り、全然違うよねぇ(^^;)。なんかこう、諸手を挙げて大喜び、ってわけにもいかず、さりとて口を極めてののしるのもどうかと思ってしまう、ひっじょーに妙な映画ではありました。続編へのヒキもちゃんと用意してあるし、なんでもエメリッヒさん、次回は「バーサスモノで行く」、とかおっしゃってるらしいですがさてどうなることやら。

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