少林サッカー

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監督周星馳
製作楊国輝
プロダクション・スーパーバイザー田啓文/李力持
脚本周星馳/曽謹昌
音楽黄英華
キャスト
周星馳
林子聡/黄一飛/莫美林/陳国坤
趙薇
田啓文/呉孟達
公式サイト
http://www.shorin-soccer.com/

 "黄金の右脚"の異名を取りながら、ただ一度の八百長がもとで選手生命を絶たれ、かつてのチームメイトの雑用係として屈辱的な日々を送るファン。そんな彼が街で出会った一人の貧乏青年シン。彼は自らの流派、少林拳を広めることを目標に日々を送っていたのだった。そんなシンの常人離れした脚力を目の当たりにしたファンに、かつての情熱がよみがえる。今一度、サッカーで栄冠を勝ち取るのだっ!

 かつてはシンとともに苦しい修行に耐えた五人の門弟たちも加わって、史上最強のサッカーチームが今まさに始動しようとしていたのだーっ(どん!)

 空前絶後のバカ映画。まさか清家さんがCGでやってたネタを真剣に映画にしちまうヤツが出てくるとは思わなかった。マンガの世界の中でのみ通用するお約束をまともに実写の中でやらかすことで起こるおかしさみたいなものを上手にスクリーンで再現して見せた快作。細かいことは言いっこなし、ただひたすらにこのバカバカしさを楽しむが吉。

 なんだけどこの映画、バカなことをやっているからと言って作り方までもがバカな訳じゃあない。どうせバカ映画なんだから、ストーリーなんて適当でいいでしょ、なんてことは微塵も考えちゃいないわけで、そのあたりでもう一度、感心させられてしまうんだなあ。バカをやるってのには通常の何倍もの真面目な下ごしらえが必要なんだ、ってことを香港の映画屋さんたちは良くわかっているよなあと思ってしまう。

 脚本に一年かけてバカをやる根性、バカだからと言って映画の基本、伏線の使い方をおろそかにしたりはしない(小気味いいぐらい伏線が効いてる。『伏線って何?』状態の最近の日本の映像作品はいっぺんこの映画見て勉強しなおしなさいまったく)態度、キャラクタの設定のうまさ、どれをとってもこのくっだらねえバカ話のためにスタッフがつぎ込んだ労力のものすごさを感じてしまう。監督、脚本、主演を一人でこなす周星馳はどちらかというと天才肌の人物で、思いつきでどんどん新しいシークエンスを追加していくタイプ(実際この映画でもそういう部分がちょこちょこ見られる)の人らしいけど、それでもちゃんと映画として、お金を払った分、時間いっぱい楽しませてくれるものを作ってみせる、その手腕ってのは並々ならぬものがあるなあと感じ入ってしまった。

 こういう映画見ると、日本の映画の先行きに絶望的なものを感じてしまうんだよなあ。映像的な技術はそりゃ世界中どこに出してもひけを取らんのかもしれんけど、「映画を作る」ってこと、「お客さんを楽しませる」ってことがどういうことなのか、全然わかってない映像作品ばかりが垂れ流されてる状況を見るにつけても。基本的に日本ではもう映画そのものが、娯楽としてあんまり上の階梯に位置しないものになってしまっているからしょうがないのだろうか、この先日本から、こういう突き抜けたおもしろさを持った映画は登場しないのだろうか、などと要らんことまで考えさせられてしまったです。

 ま、それはそれとしてこの作品、一回は見とけ、って感じですな。金払って二回見たいかと言われるとちょっと辛いモンもある(^^;)けど、一回は絶対見とく価値あり。正直、安もんの映画なんだけど、安っぽさを吹き飛ばす豪快さがステキ。涙流して笑ってしまったよ。

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