RED SHADOW 赤影

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監督中野裕之
製作佐藤雅夫/江川信也/芳賀吉孝/KIM SEUNGBUM
原作横山光輝
脚本斉藤ひろし/木村雅俊
出演者
安藤政信
奥菜恵/麻生久美子
村上淳/竹中直人/藤井フミヤ/舞の海秀平
津川雅彦/陣内孝則/根津甚八
公式サイト
http://www.toei-group.co.jp/movie/rs/

 六世紀後半、この地に落下した隕石には地球のものとは異なる金属が含まれていた。その金属をもとに鍛えた武器、防具の強度はあらゆる鉄をしのぐものであった。この金属を手にした部族のものたちはしかし、これを攻撃のために使うことを戒め、自らを影の一族として、人知れず世のために生きることをその定めと決める。それから千年。今、影の一族は戦国武将、東郷の配下となり、近隣の六角、京極らの配下のものたちとの暗闘に明け暮れていた。

 影の一族の次期頭領と定められた赤影は、幼なじみである青影、飛鳥とともに、一族の定めとは裏腹な一武将の配下としての活動に疑問を持ちつつも、与えられた任務を次々とこなしていった。そんなとき………

 屈指の無国籍忍者アクションドラマをモチーフに、ミュージッククリップの鬼才、中野裕之がメガホンを取った"新世紀流 NINJA MOVIE"(主催者側発表)。とりあえず元祖「赤影」のパワーが強烈だったせいか、スチルがリリースされたりトレイラーがダウンロードできるようになったあたりからかなり否定的な意見が多くなってきてたように思う(し、オレもそういう感じを持っていた)。実際オレも美術に内藤昭さんのお名前を見つけなければ、たぶん見に行ってなかっただろうと思う。ちょっとボンデージ系のかっこいいコスチュームを着た若い役者が、完全にコスチューム負けしたヘタレな演技を見せる映画だろうと思ってたんだな。で、その期待(^^;)は見事に裏切られた。これ、いいよ(^o^)

 少し前の朝日新聞で、みうらじゅん氏がこの作品の感想として、「ちゃんとした大人がおかしな事をくそまじめでやっている、そのアヤしさ、おかしさが旧"赤影"の最大の魅力だったんだけど、新しい赤影はきわめてナチュラル、主人公はふつうの青年で、ふつうに恋や人生で悩んでみせる」というようなこと(大意)を書いていた。それはどちらかといえば否定的なトーンでそう述べていたのだと思う。その通りで、この映画、きわめてナチュラルな青春映画である。ただ、ここで言う青春ってのは、今風なヒロスエとかマツシマとかフジワラとかがファッショナブルに恋もセックスも仕事もキめてみせる青春じゃなく、中村雅俊あたりが雑草の生い茂った廃線を意味もなく歩いたり、夕日の沈んでいく海岸にぽつんとたたずんでるような、そんな青春なんでありまして、なんというか、オレみたいな人間が絶対口にしたくない類の単語である、"さわやか"ってフレーズがぴったりくる映画なんだよな。

 んで、'60年代後半の日本に於いてスラプスティックな無国籍アクションがエキセントリックな魅力に満ちあふれたもんであったと同様に、2000年代の日本にとって、'70年代の青春ドラマってのもまた、十分にエキセントリックな魅力に満ちていると思うんだな。スタッフのみなさんがそういう意図でこの作品を作ったのか、本当のところはわからんけど、オレにはそういう映画に見えた。ほほえましく、懐かしく、楽しい。時代とのミスマッチをものともしない物語のドライブ感に魅力があるって点において、これもまた、"赤影"の名前を付けるにふさわしい作品なのではないか、と思える。

 その上で今風なアレンジもちゃんとなされているあたりはうれしいね。"赤影"の魅力である、他愛のないギャグの応酬もうまく取り込まれているし、これまた"赤影"の魅力である多彩な脇役たちもうまい。しかもこれが吹越満だったり越前屋俵太だったり椎名桔平だったり風間杜夫だったりする大盤振る舞い。あ、篠原涼子もええぞ(^o^)。

 敵味方のメインキャラもみんなしっかりしてる。色物かと思われた舞の海がなかなかおいしい役を、ちゃんと演じていたのも良かったし、憎むべきMac野郎(あー、Mac野郎が憎むべき存在なんじゃないですよ)、藤井フミヤがやたらかっこいい悪役やってるのもいい。人間のアクションも切れがいい。今まで見た日本映画の中でおそらく最高に切れがいい。日本一の切られ役、福本清三さんもすてき。そしてセット。ラスタチの京極の城内。ああもうさすが内藤さんだぁぁぁっ。

 惜しむらくはただ一点、奥菜恵をきれいに撮れてない、これだけがもう惜しい。中野氏は飛鳥役の麻生久美子は前作、「STEREO FUTURE」でも起用した経験があるせいかとても魅力的に(そりゃもうじゅるじゅるくるほど魅力的に)撮っているのに、奥菜恵がきれいじゃない。ここだけ、惜しかったなあと思うよ。

 それはともかく完全にスカひく覚悟で見に行ったのに、なんか今年の夏最高の収穫を取り入れちゃった気分。機会があったら是非見て欲しいですな。

 あー最後になりましたが、少女時代の飛鳥萌え〜(殴/蹴)2

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