ジュラシック・パークⅢ

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監督ジョー・ジョンストン
製作キャスリーン・ケネディ/ラリー・フランコ
製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ
脚本ピーター・バックマン/アレクサンダー・ペイン/ジム・テイラー
出演者
サム・ニール
ウィリアム・H・メイシー/ティア・レオーニ
アレッサンドロ・ニヴォラ/トレヴァー・モーガン
ローラ・ダーン
公式サイト(日本語)
http://e.goo.ne.jp/JP3/

 かつての事件以後、国連の厳重な監視下におかれることになったイスラ・ソルナ。今その沿岸を一艘のモーターボートが疾走していた。そのボートからはするすると鮮やかな色彩のパラセールが青空に向かって上昇していく。爽快なセーリングを楽しむ青年と少年だったが、突然彼らを濃霧と、強い衝撃がおそう。霧を抜けたとき、彼らが眼下に見たものは、血痕の残る無人のボートだった………急いでセールを切り離し、島へと向かう二人。だがその島、イソラ・ソルナこそは、かつてインジェン社が極秘裏に恐竜を作り出していた、"サイトB"と呼ばれる施設の残骸のある島だったのだ………

 そのころ、かつてのイスラ・ヌブリの"ジュラシック・パーク"での恐怖の体験も過去の物となりつつあったアラン・グラント博士は、相変わらずの研究資金不足に泣かされ続けていた。そんな彼の前に、白紙の小切手とともにイスラ・ソルナの飛行機からの恐竜見物のガイドを勤めて欲しい、と持ちかける、実業家と名乗るポールとアマンダのカービー夫妻が現れる。二度とパークの恐竜たちは見たくないと思いつつも、いくらの蓄えもない研究資金のことを考えて、不承不承助手のビリーとともに、彼らの飛行機に乗り込むグラント。だが、カービー夫妻の真の目的は、かつてイソラ・ソルナにパラセールごと落着したと見られる彼らの息子、エリックを島から救出することだったのだ………

 大ヒットシリーズ第三弾。今回はクライトンの原作もなく、スピルバーグの演出でもないってことで、どういう物ができあがってくるのかちょっと興味あったんだけど、映画としてはこじんまりとまとまった、それなりに楽しめる物になっているとは思った。見せ場は結構ある。ティラノザウルス以上の巨体であったといわれる新恐竜、スピノザウルス。水中も移動でき、細く長いあごと背びれを持ったコイツと、恐竜王ティラノの一騎打ちのシーンなんてのは、「恐竜百万年」のティラノ対トリケラトプスの一騎打ちを遙かに凌ぐ大迫力。三作目にして、ようやく自由に飛翔し、暴れ回れるようになったプテラノドン(その初登場シーンに、あえて空を飛ばすことをせず、濃霧越しに悪魔的なその立ち姿のシルエットを見せる、って演出は最高にうまいと思った)の映像も良い。ストーリー的にも、インジェン社がどうしたこうした、って話を持ち込まず、離婚した夫婦が、子どもを助け出すという目的の中でさまざまな困難に直面し、最終的に家族の絆を取り戻す、って話一本に絞り込んであって、まあそういうやり方もあり、だとは思う。でも。

 その、こじんまりとまとまったお話には何のワンダーもない。「ジュラシック・パーク」には、最先端の遺伝子技術が起こしかねない、これまで全く無かった災厄の可能性、というテーマがあった。「ロスト・ワールド」(の、少なくとも原作には)では、人智を超えた所で作用するカオス理論、というお話のバックボーンになるワンダーがあった。今回はそういうワンダーは何もない。恐竜がいることが判っている所に人間が入り込み、いつものようにスリリングにそこから脱出するだけの映画だ。クライトンが何も思いつかなかったんでは、これまでに良くあるアドベンチャー映画のパターンを持ち込んでシナリオを作るしかない、という脚本サイドの都合もあったのかも知れないけれども、その結果家族愛、ってテーマを持ち込み、人間に家族愛があるのならラプトル(パンフで金子隆一さんも書いておられるが、今回のラプトルは正確にはヴェロキラプトルではなくディノニクス。取りあえずオレも映画見てるあいだ、『ラプトルってこんなだったかなあ』という違和感は持った。前作までのラプトルと比較して。)にも似たような物はあり、そこに突破口がある、なんてなあ、日本人なら「ウルトラQ」ですでに一回経験済みなんであるよ。

 映像的にも、特に酷いと思えるような所はない(先に書いたとおり、プテラノドンの登場シーンだけはとても良かった)けれども、なんかなあ、ジョー・ジョンストンがスピルバーグに向かって、「師匠!オレにも『ジュラシック・パーク』作れますぜ!」ってうれしそうに報告してるようにしか見えない映画なんだよな。しかも往々にして、弟子のやることは師匠には及ばないのだ。ショックまでの持って行き方など、やはりスピルバーグってのはうまい監督だなあと再確認してしまうにとどまってしまうんだった。総じてアラはないが、抜群に良くもない。テレビで見るなら超お買い得、金払ってみるには少々力不足。

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