猿の惑星

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監督ティム・バートン
脚本ウィリアム・ブロイルス,Jr./ローレンス・コナー/マーク・ローゼンタール
製作リチャード・D・ザナック
製作総指揮ラルフ・ウィンター
原作ピエール・ブール
出演者
マーク・ウォルバーグ
ティム・ロス/ヘレナ・ボナム=カーター/マイケル・クラーク・ダンカン
エステラ・ウォーレン/クリス・クリストファースン
公式サイト
http://www.foxjapan.com/movies/planetoftheapes/

 2029年、宇宙探査ステーション、"オベロン"では、宇宙探査任務と並行して、その探査活動の補助にチンパンジーを用いたEVAミッションの訓練も行われていた。そんなさなか、"オベロン"前方に謎の電磁波層が出現、同時に"オベロン"のセンサー類も不思議な挙動を始める。司令は調査のためチンパンジーを乗せたポッドの射出を指示。不測の事態に対する対処において、人間を送りだしたほうがよいとするレオの進言もむなしく、チンパンジー、ペリクリーズを乗せたポッドは射出され、そのコースをみるみる変えてやがて消滅してしまった。

 事態を重く見た"オベロン"司令は事態を静観しようとするが、チンパンジーたちの教官であるレオはペリクリーズの救出を決意、密かに別のポッドで命令を無視して宇宙にでる。だが彼もまた磁気嵐の中、突然の異常自体に遭遇し、見知らぬ惑星へと不時着してしまうのだった。一見地球と似たような環境を持つその惑星。だがしかしそこは、猿が生態系の頂上に君臨し、人間たちは猿によって狩りたてられ、家畜として酷使される世界だったのだ………。

 チャールトン・ヘストン主演の大ヒット映画、「猿の惑星」を、一味違った映画づくりのセンスで知られるティム・バートンが新たにリメイクした話題作。フリークスなものに異様にこだわるティム・バートンが撮る「猿の惑星」ってことで、そのフリーク趣味が一体どのへんにぶち込まれるのかが最大のみもの、って感じだったんだろうと思うけれども、そういう期待のしかたでもってこの映画を見るとがっかりすること請け合いだろうな。気恥ずかしくなるほどの直球勝負。良くも悪しくも、ハリウッド製娯楽大作の必要条件を備えた、水準作のエンタティンメント映画になっていると思う。

 割と陳腐なストーリー展開、先が読みやすく張られた伏線(猿の種族の聖地、"カリマ"とは何かが明らかになるシーンとか、"スター・トレック"ファンなら爆笑できるんじゃないだろか)、話を先へ進めること重視ゆえのご都合主義、言ってみれば貴方、これって非常によくできた「バトルフィールド・アース」なんですよ、ええ。わはは。

 同行してくださったTUXさんによると、ティムの前作、「スリーピー・ホロウ」も、フリークス度数的には決して高いものではなかったということで、彼自身の中で何かが少々変わってきているのかもしれないな。ダークなものがやりたくなったらば「ステインボーイ」あたりで適当にガス抜きして、映画のほうはもっとメジャーなところで勝負できるものを撮ろう、などと彼は考えているのかもしれない。

 そうはいってもそこはティム・バートン。よくよく考えれば、この映画にもかなり魅力的なフリークスは登場してはいるわけで、それは人権団体代表猿娘、アリ。猿にしては人間っぽく、人間にしてはあまりに猿っぽいこの美少女猿(^^;)、狙ってそうしているのかどうかよくわからんが、猿作らせたら宇宙一のリック・ベイカーの手になるものにしては、そしてそれ以外の猿たちの「造り」の完成度の高さ(ものすごいよ。ほんとにこういう生き物がいるって思えてしまうくらい、表情の動きとか自然なんだもん)に比べても、妙に「でき損ない」な感じがするんだよな。人間にもなれない、猿にもなり切れないこの猿娘のかなわない恋物語が描けたってあたりで、ティムさん的には充分だったのかもしれないな、とは思ったりもする。この猿娘のおかげで、観月ありさ(ちがーう、エステラ・ウォーレン。『ドリブン』にも出てるんですな)をはじめとする、まともな人間の女性たちの扱いが結構おざなりだったりするのも、ティム・バートン作品らしいっちゃらしいのかもしれん。

 でもね、この映画で最高のキャラクターはチンパンジーのペリクリーズなのね、おいしいところまとめて持って行ってくれます(^o^)。ペリクリーズってのは古代ギリシアの大政治家、ペリクレスの英語読みなんだろうと思うけど、混乱していたアテナイの政局を収拾した大政治家の名前がなぜにチンパンジーにつけられたかを考えてみると、なかなか、これもまたシブい伏線であるよな、と思えてしまうなあ。

 ラストはやりすぎだと思ったけど、そんなこんなでなかなか楽しめましたですよ。見て損のない映画だと思ったです。ただし収穫があったか?とは聞かない約束だよ(^^;)

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