ロスト・ワールド −ジュラシック・パーク2−

劇場版パンフ スタッフ
製作総指揮キャスリーン・ケネディ
製作ジェラルド・R・モーレン/コリン・ウィルソン
脚本デビッド・コープ
監督スティーブン・スピルバーグ

 鬼のように動きまわる恐竜さん達にド肝を抜かれた「ジュラシック・パーク」、期待の続編は、前作をはるかに上回るSFX技術の冴えを見せてビジュアル的には大満足。じゃあお話の方は、というとこっちはちょっと(^^;)………。

 みなさま原作はお読みになったであろうか?原作をお読みになったかたならご存じのとおり、前作も含めて「ジュラシック・パーク」というお話のキモってなあ、クライトンの大好きな、先端技術が産み出すサスペンスであって、前作においてはそれは「カオス理論」、今回はさらに一歩進んで「複雑系」ってヤツが隠し味になって優れたサスペンスを産み出している訳だ。で、映画の方、前作においては辛うじて、マルコムによってこの「カオス」についてのウンチクが語られた訳だけど、残念ながら今回はそこらの理論的な裏付けはほぼ無視されているように思える。

 そんなん映画が面白ければそれでええやないの、って話にもなりそうで、で、実際そうなんだけど、この映画に関してはそこのところをあんまり邪険に扱っちゃあ、映画が面白くならんと思うのよ僕は(^^;)。

 なぜかというとですな、どんなウソでももっともらしく見せる努力をするのが映画ってもんであって、「前の話で現代に恐竜がいるッてことは判ってるでしょ?」で済まされるとちょっと悲しいのだな。ぜんぜん懲りてへんな、このじいさん前作では開園前のパークを見学する上で、恐竜をどうやって作るのかをスマートに説明してくれたおかげで、かろうじてここらの必要条件は満たしておったと思うのだけれど、今回は「何で絶滅しないのか判らないんじゃこれがぁ、ふぉふぉふぉ」、でおしまいなんだモンなぁ(左のじいさまだ。雑な画でゴメン/苦笑)。

 最初にも書いたけど、ビジュアル的なすごさは文句なし。モノを怖く見せるスピルバーグ監督の腕の冴え、今回最大の見せ場というべき、都会にやってきたティラノの大暴れシーンなど見せ場は満点なんだけど、それらのスペクタクルが発生する要因、ちうのが曖昧なだけに、どこかで「ふーん」、って妙に醒めた感覚で映画を観ることになってしまったのが大変残念であった。

 ということでヨタを3題。

その1
 パンフには川北紘一氏が特撮パートについて一文を寄せておられる。特撮ファンは必読であろう。これを読んで、開いた口が塞がらなくなって口の横からよだれが滴れそうになった人間がオレだけである事を日本特撮映画のために切に願う。残念ながらすでに私の友人のひとりも滴れかかってるんだが(爆)。
その2
 映画を最後まで観ててふと気がついたこと。
 「ああこれって、『ハリウッドが総力をあげてリメイクした大巨獣ガッパ』なんだ」。そう考えたとたん、腹がたたなくなったぞ、オレ(笑)
その3
 エンディングのスタッフクレジットをずーっと見て、ようやくエンドマークがでて、場内が明るくなる………。劇場にいたのはオレと、斜め後ろに座ってはった初老のご夫婦だけで、掃除のおばちゃんがオレが手にしてたロング缶に視線を固定してつっ立っておった(^^;)。この国の観客のマナーは一体どうなっておるのか。
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