アイアン・ジャイアント

劇場版パンフ表紙 スタッフ
監督ブラッド・バード
脚本ティム・マッカンリーズ
原作テッド・ヒューズ
アイアン・ジャイアント・デザインジョー・ジョンストン
製作総指揮ピート・タウンゼント
声の出演(日本語版)
イーライ・マリエンタール(進藤一宏)
ジェニファー・アニストン(日高のり子)/ハリー・コニック・JR(井上和彦)
ヴィン・ディーゼル(郷里大輔)/クリストファー・マクドナルド(大塚芳忠)

 ソ連の人工衛星、"スプートニク"が初めて地球の周りをまわった1957年、アメリカ、メイン州の小さな街、ロックウェルの沖合いに巨大な隕石が落下した。それ以降この街では、不思議な現象が多発しはじめる。トラクターやクルマ、アンテナといった鉄製のさまざまなものが、まるで何かにかじり取られたかのような壊れ方をし始めたのだった。偶然その現象に遭遇した、ロックウェルに暮らす少年、ホーガスは、単身その謎を突き止めようと夜の森に足を踏み入れる。彼がそこで目にしたものは、巨大な鋼鉄のロボットだったのだ………。

 日本人にとって、"核"というのは非常な恐怖をもってイメージされる言葉なんですが、それを使って戦争に勝利したアメリカにとっては、"アトミック"、ていうのは科学が産んだ超強力な兵器というに過ぎない、どこか現実感が稀薄な言葉なのやな、というのは10年以上前の映画、"アトミック・カフェ"なんかでも感じられたことなんですけれども、東西冷戦とそこから来る核へのそこはかとない恐怖を下敷きに、ちょっと背伸びしたがる年ごろの少年と、得体の知れない鋼鉄の巨人との心温まる冒険譚。

 日本人にとって、"トトロ"の世界が限りない郷愁を誘うものであるように、アメリカ人にとって、メタリックと流線型、DCとマーヴェルのコミックスのヒーローたちの華やかな世界は、今最高にノスタルジーをかきたてるものであるということでしょうか。アメリカ人のための"となりのトトロ"やなあ、と感じました。いい意味で。

 てらいのない直球勝負のストーリー、古くさいと見せかけて、実は要所要所で使われる最新のCGアニメーション、って見所もあるにはあるんですが、そういう細かいことをあまり気にせず、ひたすらお話の流れに身を任せ、すなおに笑い、じんわりするのが正しい楽しみ方と申せましょう。日本語吹き替え版の出来も大変いいです。おかあさん、日高のり子さんなんですね(^o^)。

 ま、ワタクシばらが何を言うより、劇場で買えるパンフの"はじめに"が、この映画の魅力を十二分に現した名文のような気がします。ちと長いけど、引用させていただきますと………。

 皆さんにとって、少年と巨大なロボットの物語は、けっして、めずらしいものではないでしょう。しかも、この映画には、アッと驚く映像もなければ、むずかしい表現や言葉もありません。ごく、普通の物語です。でも、ふくざつな現代社会において、ふつうをつらぬくことはなみたいていではありません。この映画の監督、ブラッド・バードは、そのふつうを堂々とつらぬいています。それは、とても勇気と努力がいることだったにちがいありません。
 バードは、その「ふつう」をつらぬいて、この映画を完成させました。
 そして、この映画を観たひとたちは、だれもがおどろき、感動し、ほめたたえました。さらに、ふしぎなことに、ふだんは口うるさいマニアとよばれる人たちも、同じようにほめたたえたのです。なにが、みんなを感動させたのでしょうか?それは、この映画で語られているテーマが、素晴らしいものだったからです。
 

 おっしゃる通りでございます(^o^)。
 小細工を労さない、ということはそれだけ基本をおろそかにできないって事になる訳で、その、一番大事なところを徹底的に作り込んだ佳作。近くにワーナーマイカルシネマがある人は、ぜひ足を運んで、楽しい一時を過ごしていただきたいと思っておりまする。ハンカチ、要るかもよ(^o^)。

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