ギャラクシー・クエスト

劇場版パンフ本体 スタッフ
監督ディーン・バリソット
製作マーク・ジョンソン/チャールズ・ニューワース
脚本デビッド・ハワード/ロバート・ゴードン
出演者
ティム・アレン
シガーニィ・ウィーバー
アラン・リックマン
トニー・シャローブ/サム・ロックウェル/ダリル・ミッチェル/エンリコ・コラントーニ

 1979年から1982年にかけてアメリカで放映されたテレビシリーズ、「ギャラクシー・クエスト」。放映開始直後の視聴率はさんざんだったが、‘79年のワールドシリーズが雨で中止となり、その代役として放映された「ギャラクシー・クエスト」は当時の怪物人気ドラマ、「ダラス」に次ぐ、全米第二位の視聴率をたたき出し、一挙に人気番組となり、そのファンたちは"クエステリアン"と呼ばれ、現在もなお熱心なファン活動を行っているのだ。以上、裏設定(笑)。

 そして1999年、相も変わらぬ熱狂的なクエステリアンたちによって開催されるコンヴェンション、その最大のゲストたちはもちろん、かつての「ギャラクシー・クエスト」の宇宙船、プロテクター号のメインクルーを演じたジェイソンをはじめとする5人。だが、クエステリアンたちの熱狂ぶりとは裏腹に、「ギャラクシー・クエスト」以降、そのイメージが定着しすぎてその後の役に恵まれない5人は、あいもかわらずプロテクター号のクルーとしてのふるまいばかりを強要され、ほとほとうんざりの毎日だった。そんなとあるコンヴェンション会場でジェイソンの前にあらわれたコスプレイヤーたち。彼らは自分たちを"サーミアン"と名乗り、ファクトリ星のサリスの攻撃を受けている母星の危機を救ってほしいと言う。彼らは偶然傍受した地球のテレビ番組を、歴史的ドキュメンタリーであると信じ切り、プロテクター号のクルーたちの援助を要請に来たのだ。ハナから信じないジェイソン、これもイベントの一環と思いこみ、彼らに同行する。そこでジェイソンが見たものとは………。

 かつて出演した番組が大化けしたばっかりに、その後の役者としてのキャリアを台無しにされちゃった連中が、同じその番組のネタで生き甲斐を取り戻す、ってなお話。おかしゅうてやがてほろりと来て、最後はハッピーな気分になっちゃう、ちょっといい映画。テレビの元スターたちのキャラの描き分け、現実と虚構のない交ぜになった世界観のおもしろさ、さらにはスキのない脚本の作りに至るまで、このバカバカしい映画を造るために結集したスタッフたちの、くそまじめな努力ぶりがそこここに滲んで見えて好印象。バカなものほどまじめに造らなきゃだめなんだ、ってのを向こうの連中はよくわかってるわ。とにかくあちこちにばらまかれた小ネタが、すべて伏線の役割を果たしてて、それらがクライマックスに近づくに連れて次々とストーリーに絡んでぴりっと効いてくるあたりの手並みは見事。こういう、いろんな伏線が終盤に次々と明らかになって「おおそうだったのかいっ!」って気分にさせてくれる映画、日本には少ないような気がする。真面目に造ってないとは言わないけど、自分たちが作っている映画に対して、愛があるのか?などと思ってしまうのも確かで。

 「宇宙大作戦」(あえてこっちで呼びますが)を何となく知ってる人なら、このシリーズには"トレッキー"ってえ熱狂的なファンが世界中にいて、そんな連中が各地でにぎやかなお祭り騒ぎをやらかすのはご存じでありましょう。そんなお祭り(コンヴェンション)の目玉の一つがコスプレ。思い思いのキャラクタ、エイリアンたちに扮したコスプレイヤーで満員の会場を見渡すと、「この中に本物の宇宙人が紛れ込んでたって、区別なんかできねえだろうな。」などと思ってしまうわけですが、この映画の製作者も、ふとそんなことを考えて、それが映画をつくるきっかけになったのかもしれないね。テレビ映画を大好きな連中の、その愛をテーマに、映画が大好きな連中が、映画への愛情を存分につぎ込んだ映画。楽しいよ。

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