これも"定説"?

 沙魚川さんが怒っている。詳しくは沙魚川さんのホームページ、「好きで悪いか土屋嘉男」を見ていただくとして、そのキモは「宇宙船」誌での「ゴジラ」リメイクに対する批判発言に対する読者のカウンターアタックと編集部の反応に対して。「宇宙船」読んだことのある人なら先刻承知の通り、この本は「ゴジラ」批判者に対しては常に極めて厳しい反応を返す本なんだよね。オレも読んでて「あ、また始まった」って感じはしたんだけど、「またかよー」って感じでもはやそれ以上の興味は引かない(って言うか「宇宙船」の読者の投稿コーナーは読みにくくって嫌いなのさ(^^;))んだけど、「スターログ」も「ファンゴリア」も「B-CLUB」もなくなった今、特撮関係で多くの読者をかかえてるこの本が、少々偏狭なものの見方しかできないというのはどうしたもんかいのお、とは思うわな、やっぱ。

 「ゴジラは偉大だぜ〜」ってスタンスで本を作るのはいっこうに構わんのよ。いろんな立場があってもいい。でも、たとえば「VSスペースゴジラ」に誉めるべきところが一ヶ所でもあるか(爆笑)?それでもその映画が「ゴジラ」だったら、「今回も傑作だぁ!!」ってみんなで誉めて、「次も頑張れ!」って言わなくちゃいけないモノなの?ゴジラ映画が好きだからこそ、「もうゴジラはやってくれるな」って意見は「異端」扱いされなくちゃいけないモノなの?違うでしょうそれは。

 異論もあるとは思うが、わたしゃ平成ゴジラはどれも、たとえば百メートルのロープがあって両端が傑作とクズ、ってことになってるとしたら、例外なく50メートル地点よりもクズ寄りに位置していると思う。お正月に子供に見せても大丈夫(んー、"害はない"くらいのほうが適当かなあ)な映画、って価値以上のものはないと思うのだな。で、その事を評価するならまだしも、日本が世界に誇る東宝特撮の今年の収穫、みたいな褒めかたがなんでできるのか、さっぱりわからんのですわ。そんなにすごいの?あれって(^^;)。

 東宝が作った「ゴジラ」ならそれは名作なんだ、ってのは、たとえばグルが言ったことだからそれは全て間違いのない"定説"なんだ、と頭から信じちゃう人達の考え方と大差ないと思うんやけどどうでしょう。もちろん批判する側にも、とりあえず「ゴジラ」は批判しておくべきだ、って言う"定説"もあるとは思うんで、微妙な問題ではあるとも思うんだけどさ。

 批判されたときに批判した側も思わずニヤリとしてしまうような、そんな批判のかわし方はできないもんなんでしょうかね。とか考えたもしたんだけれども、よくよく考えたらそんなことは瑣末なことで、映画のほうがうむをいわせぬ面白さだったら、こんなの全然問題にならないんだよな。批判者をボロカスに叩く「宇宙船」のゴジラ・フォロワーと一部の編集さんも、実はゴジラ映画を観て満足できなかったストレスを批判者のコメントにぶつけてるのかもしれないね(^^;)

1999/11/23

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