「俳優」

異形コレクション(13)

表紙

井上雅彦 監修
カバークリーチャー造型:韮沢靖
カバーフォト:丹羽修
カバーデザイン:木村美奈子
協力:Hobby Japan
廣済堂文庫
ISBN4-331-60785-2 \762(税別)

 書き下ろしホラー・アンソロジー、この手の本であれば逆に大変めでたい数字になるんでしょうね。13巻目です。今回のテーマは"俳優"。どういうわけだか今回は恐い度やや低めかな。そのかわりに今回はペーソスちうか哀愁みたいなモノがたっぷりと味わえますね。

 おなじみヨコジュンの押川春浪シリーズも楽しいですし、このシリーズだとテーマごとに毎回必ず「カブる」主題があるんですが、それを読み比べるのも楽しみの一つかな。今回は「犯罪モノ」がこれにあたるんでしょうか。監修を担当した井上雅彦さんに演技者経験があり、なんとあの名作、「皇帝のいない八月」にも出演してらした(役の軽重はこの際問わないとして)ってのも初めて知りました。なんて言うか、映画なりお芝居なりにちょっとでも関ったことのある方の語る物語に味わい深いものがあるように思います。

 「ガイア」ではちょっとミソつけた(^^;)かも知れない小中千昭さんも、こっちでは毎回いい感じのお話を描いてくださってますね。やっぱ小中さんって基本的にダークな世界の住人なのやなあ、などと思ったりしてね(^^;)

 何となく印象に残る一文がありました。私が思うに「恐怖」ってのはつまりこういうことなんだよな、って感じで。斉藤肇さんの「柚累」(ゆるい、って読むんですかね)から。

 すっと背中が恐くなった。前へ前へと進むうちは、背後はただ、自分の通ってきた道であった。振り返ると、背後はすべて未知の場となった。

 これでしょう、やっぱ(^o^)

99/11/23

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