「ファイナル・ジェンダー」

神々の翼に乗って

表紙

ジェイムズ・アラン・ガードナー 著/関口幸男 訳
カバーイラスト 寺田克也
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワSF文庫
ISBN4-15-011286-X \640(税別)
ISBN4-15-011287-8 \640(税別)

 技術文明が終焉を迎え、神々を信じて生活する、中世以前とも思える文明状態に後戻りした地球。トバー入江と呼ばれる地方に住む人々は、二十歳になるまで一年ごとに男性と女性を一年づつ経験する、特異な風習を護っていた。毎年一度、二十歳前の男女は「神の島」へ渡り、自らの性を変え、戻ってくる。そして二十歳になったとき、若者は自分がそれ以降暮らしていく性をどちらか一つに決定するのだ。ことし二十歳になるフリンも、いよいよ「最終性決定」の儀式を目前に控え、気持ちの揺れを隠し切れない。だが、今年の「最終性決定」は、予期しない訪問者を迎え、これまでにない波乱に満ちたものとなりそうだった………

 「プラネット・ハザード」のガードナーの新作。前作がそこはかとなく"リングワールド"的なお話だったとすれば、今回は"闇の左手"か(^^;)。目のつけ所は悪くないし、ミステリ仕立てのアイデアも効いてて悪くないと思うんだけど、前作同様、いいところもあるんだけどなんかなあ、って部分も結構ある、微妙なポジションの作品。

 この方の作品って、困ったことに、読んでてどうしようもなく退屈になっちゃうときと、なんかちょっとわくわくしちゃうときが交互にやってきて、読み終わったときに今読んだ本が果たして面白かったのかつまらなかったのか、とっさに判断できないんですよね(^^;)

 前作同様、ミステリ仕立ての部分の面白さは健在。SF的なアイデアも前作以上に洗練され、面白いものになっていると思うんですが、なんかこう、すなおに楽しんで読めないんだよなあ、悪くないんだけどなあ、でも大お薦め!ってほどでもないんだよなあ(苦笑)。

99/9/29

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