獣人

ぐちょぐちょ、どろどろはいやん

　"異形コレクション"第25弾のテーマは"獣人"。今回のラインナップは、

• 森真沙子「赤い窓」
• 黒岩研「まぎれる」
• 小中千昭「猫娘夜話」
• 内田春菊「主婦と性生活」○
• 飯野文彦「白い犬」○
• 平山夢明「けだもの」○
• 町井登志夫「蛇」○
• 江坂遊「鍵穴迷宮」
• 飛鳥部勝則「白い猫」
• 平谷美樹「角と牙」
• 田中文雄「浅草霊歌」○
• 竹河聖「蛇使いの女」
• 朝松健「邪笑(わら)ふ闇」
• 木原浩勝「間人(はしひと)さま」○
• 牧野修「水のアルマスティ」
• 奥田哲也「大麦畑でつかまえて」◎
• 井上雅彦「夜、薫る」
• 高野裕美子「守護天使(ガーディアン・エンジェル)」
• 藤木稟「奈落」
• 石神茉莉「鏡を越えて」
• 速瀬れい「双頭の鷲」
• 石田一「獣人棟」
• 友成純一「大蜥蜴の島」
• 菊池秀行「さいはての家」○

　「獣」がネタだけに、どうしてもがぶっ、ぐちゃっ、べろっ、ずずー、ってな描写が多くなっちゃって、気弱な私には少々つらいモノがある。今回○つけたのは、そのせいかスプラッタ係数の低めなものに集中した感じがある。例外は「蛇」で、これはずるずる系なんだけど、そこに至る流れが医学系ホラーとしてなかなか読み応えがあったから。そのほかの作品ではきっとご自分の青年時代の思い出が投影されているのであろう田中文雄氏の作品、柔らかい浪速言葉がしみじみとした悲しみをかもし出す木原浩勝さんのお話、意外なくらいちゃんとSFしてる菊池秀行氏のお話なんかはかなり私好み。で、一番のお気に入りは奥田哲也さんのニヤニヤ・ホラー。"怖さ"を競うべきこのアンソロジーで、お笑いネタが一番面白かった、というあたり、基本的にわたしゃホラー読みの資質はねえなあと再確認したりするわけですが。

03/05/17