機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー

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富野由悠季 著
カバーイラスト 久織ちまき
カバーデザイン 高木信義(海老原秀幸)
徳間デュアル文庫
(1) アムロ編 ISBN4-19-905125-2 \619(税別)
(2) クェス編 ISBN4-19-905129-5 \629(税別)
(3) シャア編 ISBN4-19-905130-9 \638(税別)

エゴ(かも)だよ、それは

 今まで経緯が良くわからなかったんだけど、この作品は劇場版の「逆襲のシャア」が公開される一年前に雑誌での連載がはじまったもので、順番としては本書→映画、そして「ベルトーチカ・チルドレン」と「閃光のハサウェイ」、という流れになってたらしい。読んでる間、「トミノさんにしてはやけに原作に忠実だなあ」(^^;)などと思っていたんだけど、それはこっちの勘違いもいいところで、本書の方がむしろ原作だったのだね。

 本書の執筆がはじまった時点で既に映画化の話があったのかどうかは知らないのだけど、映画の方はこちらの本から、(映画にするには)冗長になってしまいかねない部分を刈っていったものってことなのか、書いてるうちに映画の原作側にお話が寄っていってしまったモノなのか、そのあたりは良くわからないけど、映画の方で語り足りていない部分のいくつかが見えてくるってあたりのメリットはあるし、いかにも富野氏らしい、人類であったり文明であったりに対する痛烈な史観のようなものもほの見えるあたりはなんだか微笑ましい。「トミノさんやなあ」って感じでね。

 ディティールの楽しみってのは結構ある。30にもなって未だにアムロの身持ちが悪いのはなんでか(ベルトーチカとのいきさつも含めて)、とか、クェスがなんであんなイヤな娘になっちゃったのか、とか、そのへんが何となく見えるのはちょっと嬉しい。

 そこらを楽しみつつ、さくっと読むのも楽しい訳なんだけど、それ以上に興味深いのが3巻の巻末の富野由悠季インタビュー。富野由悠季って人がクリエイティビティについてどんな考えを持っているのか、あるいはどんな考えを持っていると人に思わせたいのかがちょこっと見えてくるあたりはなかなか楽しいモノがある。ついでに雑誌掲載時に挿絵を担当した、星野之宣さんのイラストを見ることができるのも嬉しい趣向かも。副読本としては、楽しめるかもね。

03/01/07

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