異形コレクションⅩⅩⅢ
井上雅彦 監修
cover art 安心院貴子
カバーデザイン 奥沢潔(パークデザイン)
光文社文庫
ISBN4-334-73381-6 \876(税別)
"異形コレクション"最新刊。たびたび弁解するのだが、基本的にわたしゃSF味が強い恐怖譚は大好きだが、ホラー、スプラッタ側が強めだとちょっと読むのにしんどいものを感じてしまう。なのでこのシリーズ、テーマによってかなり好き嫌いが分かれてしまうんであるけれども、今回のテーマは映画。SF、ホラー、スプラッタ、何でも来いのジャンルといえるのだけど、全体としてはワタシにも楽しめるアンソロジーになっててくれて一安心。収録されている作品は、
今回は初登場のらもさん以外(いまどきコカコーラのサブリミナルはないでしょー。あれは一種の都市伝説なんだってばー)はどれもぴりっと締まったいいお話が揃ってたように思った。ヨコジュンの押川春浪ものがなかったのはちょっと残念だが、竹河さんの仙海老人シリーズは健在だからまあいいか。個人的に気に入ったのは朝松健さんの「恐怖燈」。切り口がうまい。この方、「邪神帝国」でがっかりしてそれ以降読むのやめてて、んでこのお話も傑作、とは思えないんだけどそのアイデアには敬意を表したい。あとこのシリーズ、巻が進むにつれて監修者である井上雅彦氏の作品の切れ味がぐいぐい上がってきてるのが面白い。なにかインスパイアされるものがあるんだろうなあ。
全体にノスタルジックな印象が漂っているのも興味深い。いわゆる"ゴシック・ホラー"的な、重厚な恐怖の要素ってのは、今の映画からはあんまり感じられなくなってきているって事なのかな。
つーことで今回はなかなかお買い得。一言ツッコミ入れるなら、ロイ・ニアリーって件の映画のリチャード・ドレイファスの役名だったと思うんですが、"映画解題"でそれに触れてないのはなぜ?ってとこぐらいかな。そんなの知ってて当然?失礼しました。
02/09/18