占星師アフサンの遠見鏡

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ロバート・J・ソウヤー 著/内田昌之 訳
カバーイラスト 小菅久美
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫SF
ISBN4-15-011053-0 \720(税別)

懐かしのジュラシック・コペルニクス

 とある惑星。そこはキンタグリオと呼ばれる恐竜型の生物が文明を発達させた社会。占星術師の見習いとなった若いキンタグリオ、アフサンは進取の気性に富んだ聡明な若者。それ故に伝統を重んじるキンタグリオの世界では厄介者扱いされてしまうのだが…。だがそんなアフサンが赴いた巡礼の旅は、彼に「宇宙」とみずからの住む世界の未来について、これまでにない洞察を与えるものとなってしまった。しかもそんなアフサンを、特別な存在とみる者たちも現れて………。

 文庫版の初出は1994年。「ゴールデン・フリース」に続いて紹介されたソウヤーSFだったはず。去年のなんだか判らんフェアで復刻されたものが、今頃になってようやく手に入ったという(奥付見たら『第二刷』って。一年の間TSUTAYAのチェーン店を転々としてたんだろうかこの本)。

 一度読んだ本だからなあ、って思いでページを開いたんだけど、これがどうして新鮮で、6年前、オレはこの本のどこを読んでいたんだろう、などと思ってしまったね。ソウヤー一流のはったりは控えめだけど、なんていうかな、良質のジュブナイルSFを読む楽しさみたいなものを久しぶりに感じてしまった。

 前に読んだときにどんな感想を抱いたか、ちょっと憶えがないのだけど、これはなかなか愛らしく、んでその後ろに案外油断できない大きな世界を秘めた世界を描いたお話だったのだなあ、と改めて思わされた。アフサンのキャラクタライジング、キンタグリオたちの世界の描写、迫り来る危機、などなど、ヒキがいっぱいあって全三部作の一作目だけしか訳出されていないって言うのがどうにも惜しいよ。続きが気になってしまうではないか。

 再販されたのはめでたいんだけど、その後どうなったんだろうね。残り二つも訳出する運びになってくれたのかな。なってほしいなあ。

02/04/18

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