ウイルス、伝染(うつ)るんです

b011009.png/6.1Kb

中村正三郎 著
装幀 日下充典
廣済堂出版
ISBN4-331-50771-8 \1,500(税別)

 ご自身のサイト、Show's Hot Cornerでもマイクロソフト製品に対する批判と様々なウイルスに関する情報などを公開してくれている中村正三郎さんによる、ブロードバンド化、常時接続が当たり前になった昨今のネット環境に潜む、ウイルスやワーム、クラッキングの危険性についてのわかりやすい解説書。

 基本的な内容は、実のところこれまで中村さんのサイトでさんざん言われてきたことの繰り返しになるわけで、そちらを見てた人にとっては特に目新しい内容の記事があるというわけではないけれども、猫も杓子もインターネット、というブームに乗っかってパソコンを購入し、webサーフィンやメールのやりとりを楽しむ人々(とはつまり今のインターネット人口の多数派、ということになるのだろうな)にとって、自分の責任において自分の環境を守る、という意識がそれまでのユーザーに比べるとかなり低いことは事実な訳で、そういう人たちをターゲットに、あえてわかりやすさを優先でこの本は書かれたのだろうな、と思う。逆にHTMLメールもらっただけで「ったくモウ」とか思ってしまうアナタやワタシたちにとっては、無理してでも買わなきゃいけないような本ではない(^^;)。

 ただ、知り合いや恋人さんや家族に、インターネットを利用し始めて間がない人がいるような場合は、その人のために買ってあげてもいい本かも知れないな。ウイルスからの防衛なんて言うのは、結局のところ自分がいかに注意深くあれるかってとこが肝要なわけで、テレビニュースなどで大々的に取り上げられることがあっても、たいていはウイルスの内容と被害の大きさばかりで、どういう環境で、どういう使い方をしていると感染する危険性があるのか、ってところを教えてくれるような報道っちうのは、案外少ない。自分からニュースを探しに行ける人ならいいけど、今やそういう人は数の上では少数派になっちゃっている。そのあたりの、幸運にも被害に遭っていない多数の人々に、ちゃんと自分の環境を見直すことを勧めるって意味で、なかなかいい本なんじゃないかな。

 そうはいってもそこはそれ、なにせ著者が中村さんなので、ワームやウイルスについてやさしく説明してたと思ったら、突如としてマイクロソフト攻撃に矛先を転じたりするようなところもあって、「気持ちはわかるけど………」ってな気になっちゃうところもあるんだけどねえ(^^;)。

01/10/9

前の本  (Prev)   今月分のメニューへ (Back)   次の本  (Next)   どくしょ日記メニューへ (Jump)   トップに戻る (Top)