夢魔

異形コレクション 19

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井上雅彦 監修
カバー造型 藤掛正邦
カバーデザイン 奥沢潔(パークデザイン)
光文社文庫
ISBN4-334-73170-8 \838(税別)

 「異形コレクション」、19冊目のテーマは「夢」にまつわる異形のものども。巻頭の夢魔にまつわる井上氏の蘊蓄はとても楽しいのだけれども、それに続く珠玉の短編の数々のはずが………、うーむ、こりゃちょっと退屈だなあ。みんなちゃんと「怖い」話になってるんだけど、読み終わって「怖いモノを読んだ」気になれないのだな。これはなぜなんだろうとちょっと考えてみたんだけど、オレ限定の理由として、こういうことは言えるのかも知れない。

 心からホラーを愛する人と違って、オレは基本的にホラーは苦手なジャンルなんである。にも関わらずこのシリーズを毎回楽しみにするのは、収録されている作品のいくつかが、SFとして楽しめる作品であるからなんだな。で、がっちがちのホラー(当然、少々苦労して読む)と恐怖SF(ホラー、つーよりもむしろこっちの呼び方で。こっちは楽しく読める)がバランス良く配置されていると、全体としては「あー面白かった。」という読後感が得られるわけである。んがしかし、今回のアンソロジー、SF側の作品にいいのがなかったような気がするなあ。なんつーかこの、SFならではのコワさみたいなものを、もう一つ味あわせてもらえなかったっていうかなんていうか………。

 かんべむさしさんの奇想、小林泰三さんの本格の味、山田正紀さんの熟練、どれも悪くないんだけど、突き抜けて「おおー」って気にさせてもらえなかったんだよなあ。てことで今回は残念賞。

01/7/30

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