ファンタジイの殿堂
ロバート・シルヴァーバーグ 編/斎藤伯好・他 訳
カバーイラスト 加藤俊章
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワ文庫FT
ISBN4-15-020282-6 \860(税別)
名作「ゲド戦記」の後日譚をふくむ、ファンタジイの名作シリーズの書き下ろし外伝アンソロジイの第三弾。今回も豪華なメンバー。その内訳はというと以下のとおり。
基本的に重厚長大をもって旨とするエピック・ファンタジィの人気シリーズたちの掉尾を飾るのが、軽妙洒脱なプラチェットのシリーズだっていうのがなんだか愉快。どっちゃかというとファンタジィは苦手で、特に本シリーズに収められているような、ずっしり重たいシリーズは、思わず「うへ」ってな気分で敬遠しちゃいがちで、それは比較的短いボリュームの外伝のアンソロジーでも同様なんですけど、最後に軽く、明るいユーモア・ファンタジィのシリーズが来たのはなんだかうれしいな。
好きな人にはたまらんシリーズなんでしょうが、わたしゃちょっと距離を置いて読んだ気分なんで、うれしさもイマイチかも。それより前の本における小川隆さんの解説がとても示唆に富んだものであったのと同じく、本書でも中野善夫氏による解説がなかなかいい。"地図"と"用語集"に代表されるファンタジィのスタイルがなぜそうなのか、ヒロイックファンタジィ、あるいはエピック・ファンタジィがなぜシリーズの形を取りやすいのかをわかりやすく解説してくれてなんだか得した気分。この解説だけでも買って読む価値あるかもよ。
00/12/21