ファンタジイの殿堂

伝説は永遠に(2)

表紙

ロバート・シルバーヴァ−グ 編/幹 遥子 他訳
カバーイラスト 木嶋俊
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワFT文庫
ISBN4-15-020281-8 \760(税別)

 "ファンタジイの殿堂"、第二弾。ええいもうエエ加減にしなさい(^^;)のマキャフリィ、「パーンの竜騎士」の新作をふくむ三本のうち分けは………

 「パーンの竜騎士」以外は邦訳されていないシリーズのようですが、なかなか面白かった。グッドカインドの作品は、その魔法のイメージのビジュアルな迫力とシビアなストーリー展開の面白さ、マーティン(ってあなた、「ワイルドカード」のシリーズはどうなったですか)のは重厚な"漢"ってな感じが魅力。マキャフリィのは、えーと、いつも通り(^^;)。「パーンの竜騎士」はSFの隠し味もあって割と好きなシリーズなんだけど、どうもサイドストーリィはイマイチかなあ。お手軽なジュブナイル(何度も似たようなこと言ってますが、ジュブナイルがお手軽だといってるのではないのでおまちがえなきよう)って感じの作品が多すぎるような気がするんだけど、これもそんな一作。ま、トータルで2勝1敗なんで、まあお買い得だわ。

 本編はそんな感じなんですが、小川隆さんによる解説がなかなか興味深かった。僕は世の中にこうファンタジイが氾濫し、SFが押しまくられる状況はあんまりよろしくないと思ってるんですが、んではなぜにそういうことがおこっているのか、ってのを歴史的な流れを踏まえて解説されててちょっといい。

 詳しくは本書を読んでいただくのがいいんですが、ごくざっくりとその大意を組むならば、いまやSFから"ワンダー"を感じることができなくなってしまった現代において、マンネリだろうがステレオタイプだろうが、現実の厳しさを忘れ、ひと時自分の理想とするお話の展開の楽しさに浸りたいと思う読者の希望を完璧に満たしてくれるファンタジイというジャンルが、広い支持を集めるのは当然、てな感じか。悔しいがそれは認めざるを得ませんわなあ。

 隆盛を極めるジャンルゆえの元気一杯の作品群を読むにつれ、昔のSFアンソロジィを読んで"昔は良かった"感覚に浸りがちな今の自分を思うにつけ、なんとかSFには復活して欲しいと思うんですがねえ、むずかしいんですかねえ、こういう夢もチボウももてない世の中が背景では(^^;)。

00/11/24

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