おもいでエマノン

表紙

梶尾真治 著
カバー/装画 鶴田謙二
徳間デュアル文庫
ISBN4-19-905008-6 \762(税別)

 失恋した。なんとなくそれをきっかけに旅に出てみた。一人で船に乗った。雑魚寝の二等船室。そこで僕は彼女に会った。白い粗編みのセーター、洗い晒したジーンズ。"N・E"とイニシャルの入ったナップザックに両切りのタバコ。彼女は自分の名前を"no name"を逆さ読みしたエマノン、と告げた。そして………

 西に"ジェニィの肖像"あれば東には"おもいでエマノン"あり、てなぐらいで。日本リリカルSFの金字塔、"エマノン"シリーズが久々に手に入れやすくなって書店に並ぶことになりました。しかも今度はイラストに鶴田謙二さん。こりゃ買うしかないでしょ。

 自分でもエマノンのシリーズ、恥ずかしながら読んでいないエピソードのほうが多かったモノですから、今回の刊行はうれしい限り。ちょっと古きよき、ってニュアンスがぴったりくる、ちょっと切ない8つのエピソードを存分にお楽しみくださいませ。実に日本SFらしいテイスト満載、と言ったら何となく判っていただけるでありましょうか。四畳半的哀愁と仏教的宇宙観に彩られた、それでいて限りなく優しいエピソード。これぞジュブナイル、って感じであります。巻末に梶尾さんと鶴田さんの対談もついててお得だよ(^o^)

00/10/18

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