「戦争を演じた神々たち[全]」

表紙

大原まり子 著
カバーイラスト たまいたきこ
カバーデザイン ハヤカワ・デザイン
ハヤカワJA文庫
ISBN4-15-030632-X \700(税別)

 全宇宙規模で永遠の抗争を続けるキケコキスとクデラ。彼らの戦列が触れた世界はたちまちその様相を一変させ、そこに新たな物語が生まれていく………。

 私の知る限り、大原まり子という名前が日本のSF界で決定的に重要な名前の一つであるということを明確にしたのが、この作品であったように思います。日本SF大賞受賞作、「戦争を演じた神々たち」とその続編「戦争を演じた神々たちII」を併せ、再構成した一冊。

 折りにふれ述べておりますとおり、わたくしの本読みとしての嗜好と大原まり子さんの文体というのはどうにも相性が悪いように感じられてきてたんですが、なぜか本書だけは、いつも感じる違和感がそれほどでもなく、むしろ楽しんで読める一冊になっていました。なんというかこの、昔の日本SFの名作が醸し出す、壮大な未来史観とヤケに私小説的な悲しみのようなものが同居している雰囲気みたいなものが大変濃厚なんですね。だもんで、なんだか妙な懐かしさをおぼえてしまったことでした。

 つーことでこれは読んでソンのない作品であると思いますんですが、まあSFが好きな人は当然とっくに読んでますよねえ(^^;)。ということで「言うまでもなく名作」でした、てのを再確認しただけってとこですね(笑)。

00/2/20

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