Jewel ('02/3/30@東京・中野サンプラザ)
Jewelのちょうど3年ぶりとなる来日公演の初日を見て来ました。今回の場所の中野サンプラザは前回の五反田・ゆうぽーとよりやや大きい(200席程度)ホールですが、最近ここで海外アーティストが公演を行うのは珍しく(私はこれまで3アーティストで4回行きましたが、'99のNatalie Merchant以来行ってません)、ちょっとピンと来ない会場ですが、ステージは広めで見やすいセッティングとなってます。入場はいたってスムーズで入り口入ってすぐのところにツアーグッズとCDの販売所がありましたが、今回はツアープログラムはなし、その代わりにポスターグラム(4つ折で広げるとポスターになる、Lisa Loebのときもこんなのだった)、Tシャツが2種類とちびT、ポストカードセット、キーホルダー2種類とちょっと少なめでした。
会場内に入るとBGMに流れていたのは全編Bonnie Raittでした(ただ入るのがわりと遅かったので、他にも流れていたかは不明)。今回はSteve Poltzがいないので前座はなく、6時を6分ほど過ぎたところでバンドメンバーに続きJewelが登場。今日のJewelは濃紺のタンクトップにグレーのミニスカートで、膝上まで隠れる黒のブーツを履いてました。バンドは5人で、アコギ、エレキギター、ベース、キーボード、ドラムスという編成でした。コンサートは本編18曲+アンコール2曲で約1時間40分、以下のようなセットリストでした:
1. I Won't Walk Away
2. Standing Still
3. Do You Want to Play?
4. Hands
5. Till We Run out of the Road
6. This Way
7. Break Me
8. You Were Meant for Me
9. Little Sister
10. Grey Matter
11. (未発表曲)
12. Morning Song
13. Life Uncommon
14. Serve the Ego
15. Love Me, Just Leave Me Alone
16. Everybody Needs Someone Sometime
17. The New Wild West
18. Who Will Save Your Soul
(Encore)
19. Foolish Games
20. Angel Standing By
まずは最新作からのI Won't Walk Awayで始まりましたが、この曲でのJewelのけだるさかげんは相当なもんで、根っこにヨーデルがあることを強烈に感じさせる歌でした。つづいて一転してポップなStanding Stillが演奏されましたが、以前アメリカのテレビ番組で演奏した時とは違って演奏の完成度が高くなっており、アルバムとは違って打ち込みではない生ドラムということもあって良かったです。次のDo You Want to Play?からはJewelもギターを持っての演奏で、アルバム中でもポップ度の高いこの曲はライブではやっぱり映えます。二本の足で舞台をしっかと踏みしめて演奏するJewelからは自信がにじみ出ていて、貫禄すら感じられました。コーラスのところとか会場から合唱が起こっても良さそうなノリの良い曲ですが、観客がちょっと静かだったかな。その後はMCもほとんどせず(観客が静かだったから?私も最初のうちはわりとおとなしかったけど)、コンパクトなアレンジでわりと淡々と演奏が進みましたが、手を抜いてるという感じではなく、動きこそ少なかったですがJewelも丁寧な歌を聞かせてくれました。
7曲目のBreak Me(この曲、最新シングルですがいい曲です)が終わったところでJewelだけにスポットがあたって、Jewelの独演タイムになりました。「リクエストある?」なんて聞いてきたのだけど、結局最初に演奏したのは代表曲You Were Meant for Me。この曲はやっぱりアコースティックで、という思いがJewelにもあるのか、バンドを従えた時とは少し歌い方が違って、しっかりと気持ちのはいった、丁寧な歌唱でした。つづいて一曲演奏した後、また観客からのリクエストを募ったんですが(Foolish Gamesという声が多かったかな)、前の方でリクエストが出たGrey Matterを「暗い曲で歌うの大嫌いなんだけど、、、そういうなら歌うわ」(※口調はいたってチャーミング)と言って演奏しました。そして「まだ完成してない曲なんだけど」といって1曲演奏した後、「Near You AlwaysとMorning Songのどっちがいい?」と聞いて、歓声の大きかったMorning Songを演奏しました(私はNear You Alwaysに一票入れたのだけど)。この曲はいわゆる”ブリっこJewel”の代表みたいな曲(だと私は思ってる)だけにいまのJewelにはあまり似合わないかな?と思ってましたが、実際に演奏されると違和感はなかったです。この曲が終わるとまたバンドが加わってLife Uncommon(余分な装飾がなくスッキリとした演奏で、とても良かったです)、Serve the Egoと演奏されましたが、Serve the Egoでは曲のドラマチックな構成に合わせてか、それまでよりもライティングに変化がついてました。
そして(エレキ)ギタリストと対話するにようにして演奏が始まったLove Me, Just Leave Me Aloneではさすがに私も立ち上がり、途中からはJewelが促したこともあって立ち上がる人が続出。前のブロックでは前回のようにステージ前にダッシュする人もたくさん(それまで静かなのにこういう時だけは元気がいいのは困りものですが)いて、これ以降はとても盛り上がりました。ただ前回の反省を活かして、開演したときから後ろのブロック前方の通路にはフェンスを持ったスタッフがいたため、後ろのブロックから前に行く暴徒は今回は見られず、落ち着いて見ることが出来ました(私は後ろのブロックの前から2列目だった)。この曲でのJewelは前回のように勢いで押しまくるといった感じではなく、抑制の聞いた、上手さを感じさせる歌を聞かせてくれました。Jewelの歌唱力の向上を実感した瞬間です。もう一曲演奏したところでJewelがギターを手放し、歌い込みモードになって演奏されたのはThis Wayの収録曲で私が一番好きなThe New Wild West。他の曲とは雰囲気の違うこの曲で、Jewelは風格すら感じさせてくれる堂々とした歌を披露してくれました。そして長い長いイントロの後演奏されたWho Will Save Your Soul?ではわざとルーズな歌い方をしていたようですが、デビュー曲であるこの曲を思い入れたっぷりに歌うJewelの声量はかなり凄かったです。
場内総立ちのまま迎えたアンコールは、まずキーボードが登場して演奏を始めたところで曲名の分かった観客から歓声が沸き、Jewelが登場してお待ちかねのFoolish Gamesが演奏されました。この曲でのJewelも声量豊かで、気持ちのよく入った情感溢れる歌を聞かせてくれました。そしてふたたびJewel一人でギターを弾きながら最後のAngel Standing Byが演奏されました。この曲、Jewelの素の姿を表現しているような感じがして好きなんですが、今回は演奏されないかな?と思っていただけに(なんでリクエストタイムではこの曲をリクエストしてました)、演奏されて嬉しかったです。Jewelはまだ初心を忘れてないな、と。
一曲一曲がコンパクトに演奏されたため、終わった時にはもう終わり?と感じてしまいましたが(バンドメンバーの紹介もなかったし、最近Eddi Reader見たこともあるし、、、)、前回よりも実は曲数多くて、ライブアクトとして第一級の実力は十分示してくれたコンサートだったと思います(Jewelはやっぱりライブを見てこそ、です)。Jewelが着実な成長をしているのを実感することが出来たし、演奏も良かったです。ただやっぱもっと観客が反応返さないといけないと思うんですよ。どうしても盛り上がりに欠けた感じがして(アメリカからのファンも今回わりと静かでした)、どうしてもこれがアメリカなら、とか思いながら見てしまうのが残念でした。明日はもっと盛り上がるといいな。
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