Eddi Reader : Fuji Rock Festival '05 (July 29 & 30, '05 @ 苗場)


フジロックフェスティバルに出演したEddiを見てきました。当初は初日の7/29に出演と発表されたので、その日のうちに1日券のチケットを購入。ところが1ヶ月ほど前になって2日目にも出演することが発表されてしまい、ほかにめぼしい出演者もいないために(Ryan Adamsがほんとに来るのかとても怪しいと思っていたので、、イギリスツアーはすべてキャンセルしたみたいだし)ずっとチケットを買わずにいたのだけど、2日目は最初の出演順ということで観客があまり集まらない可能性もあると思い、結局2週間前にチケットを購入、2日間とも見に行くことになったのでした。でも、2日間でEddiを3回も見ることができて、2日目も見に行って正解でした。

○7月29日(初日)
8時20分頃に車で出発し、特に渋滞もなく予定通り10時40分頃に到着。2年前にも使った町営駐車場に車を停めてシャトルバス乗り場に向かったら2年前よりもあきらかに多くの人がいて改札口の前あたりまで続いていたので、ほとんどあきらめてはいたけど念のため待ち時間を聞いてみると「1時間から1時間半」とのこと。でも2年前には東口のシャトルバス乗り場側のエスカレータの下あたり(この日の半分くらい?)で1時間以上待った覚えがあるので、シャトルバスではEddiに絶対間に合わないと思い一般のバスの時刻表を確認し、あまり時間がなかったのだけどお昼を急いで取って、一般のバスで現地に向かいました。所要時間40分ほどで12時半には会場に着いたので、ゆっくりと移動して13:10頃にOrange Courtに到着。なんとかやや左の最前列(Alan Kellyのほぼ正面)を確保し、開演を待ちました。ほんの5分ほど経ったところでAlan, Booがサウンドチェックで出てきたのだけど(ここまでは珍しくない)、ほどなくしてEddiまで登場、拍手で迎えられてました。Eddiは模様の入ったエンジ色?のキャミソールに紺のジーンズという服装でした。あくまでサウンドチェックがこの時間の目的のため、Eddiはスタッフに注文を出したりて何度も中断しつつもAs Time Goes By, Please Don't Ask Me to Danceなどを口ずさんでいました。それにしてもPAの最初の状態がかなりひどかった(Eddiも実演を交えながら「Horrible」と何度も言っていたけど、Eddiの声で耳鳴りがする(こんなこと普通では絶対に考えられません)くらいひどかった)こともあって、Eddiはかなり厳しく注文を出してました。そのかいあって、本番では問題ない状態になってたと思います。25分ほども続いたサウンドチェックのあと、Eddiはいったん戻って一服(これは半分冗談)したらまた出てくると言ってバックステージに戻りました。それから5分ほどして再登場し、演奏が始まりました。

(セットリスト ー Orange Court(7/29))
 1. Simple Soul
 2. The Right Place
 3. Allelujah
 4. Perfect
 5. Please Don't Ask Me to Dance
 6. Prodigal Daughter
 7. World's End
 8. Willie Stewart/Molly Rankin
 9. As Time Goes By
 (うさぎ)
 10. Patience of Angels
 11. Find My Love
(演奏時間45分)

1曲目はSimple Soul。Eddiは椅子に座り、いつものように手で足をたたいてリズムを取りながら歌います。今日のEddiは声の調子も良さそうで安心して聞くことができるとすぐに感じました。次に演奏されたのはイギリスでは聞けなかったThe Right Place。今日の演奏はいつもとはちょっと違い、最初のうちオリジナルとも少し違うわりと淡々としたリズムを刻むBooのギターに乗ってEddiが歌っていたのですが、歌詞が2番になるとBooのギターとEddiの歌声がぐっとテンポアップし、それまで椅子に腰掛けていたBooが立ち上がってステージ前方に出てきての演奏となったブリッジ部ではEddiの歌声とBooのギターの醸し出す迫力に鳥肌が立つ思いをしました。これはこれまでこの曲で感じた感覚とはちょっと違っていて、Eddiがまた表現の幅を広げたと感じさせてくれるものでした。その後Allelujah、Perfectと続きましたが、Eddiが"Best Karaoke Song"と紹介して歌われたPerfectでは観客に一体感が感じられました。Please Don't Ask Me to Danceを挟んで、3年前の来日公演以来となるProdigal Daughterが演奏された後にはEddiの振りでBooが歌ったのだけど、Booが選んだのはWorld's End(Eddiは曲名を聞いて、"Oh, that's so sweet."と言っていた)。ソロで歌いきるような曲を選ばないところにBooの控えめなところが感じられますが、この曲はいつだってEddiとのハーモニーがすばらしいので(去年の来日公演ではBooに直接リクエストしていたのだけど、歌ってはもらえなかった)、個人的にはむしろ嬉しい選曲でした。この曲ではBooがメインで、Eddiはバックアップに徹してコーラスをつけているのみでしたが、それでもEddiは途中で椅子から立ち上がって歌うシーンも見られました。次のWillie Stewartは初めてJohn McCusker抜きでの演奏を聴きましたが、後半のMolly RankinではJohnのスピード感ある演奏とは対照的なAlanのアコーディオンののどかな音色が、これはこれでいい味を出していると思いました。この後Patience of Angelsの演奏を予告した後、「Booがチューニングしている間」にEddiがいまではすっかりレパートリーの一つとなったAs Time Goes Byを一人で歌いきって大きな拍手を浴びた後、「みんな知ってるはずだから一緒に歌って」というようなことを言って「うさぎ」(最近来日の度に歌っているところをみると、よっぽど気に入っているのでしょう)を観客とともにワンコーラス歌い、会場の雰囲気が和らいだように思いました。Patience of Angelsの演奏後、「雨が降りそうだから」あと1曲演奏して終わるとEddiが言ってFind My Loveが演奏されましたが、Eddiの予言通り、この曲の演奏中に雨がすこしぱらつき始め、演奏中はなんとか持ちこたえていたのですが、Eddi達が退場したとたんに雨が一気に勢いを増して、土砂降り状態になりました。

演奏が終わったあとEddiが「明日もGreen Stageで11時半から演奏するから」と発言し、まだLos Lobosのキャンセルの件(この日に公式発表されていたらしいですが)を知らなかった私は、EddiがGreen Stage(一番大きいステージ)で演奏するとは思えなかったので単に間違えたのかと思ったのだけど、しっかりその後に12時半からGypsy Avalonでも演奏すると言ったので、釈然としないまま明日は11時半に間に合うように会場に来ようと思ったのでした。

Eddiを見た後は、かなり激しく雨が降る中で同じステージで演奏するLisa Loebを待ち続け、Lisaの演奏後は前日までの寝不足もありとても疲れていたので、どっちかは見ようかと思っていたPoguesもColdplayも見ないで駅まで戻り、そのまま車でホテルに入ったのでした(フロントで「こんなに早く来る人がいるとは」と驚かれた、、、実際ガラガラだった駐車場が朝起きたときには完全に埋まって、入りきれずに路駐している車までいたけど)。まさかOrange Courtでの演奏後にEddiが2カ所に出没し、生演奏やインタビューを受けたりしているとは思いもよりませんでしたが(ここで予告されていたんですね)。どうやらEddiは28日の前夜祭でも演奏したそうで(ここここで写真等が見られます)、今回一番活躍している出演アーティストなのではないかと思うほど。それだけEddiはライブが好きだということなのでしょう。

○7月30日(2日目)
昨日のEddiの発言が気になっていたので11時からGreen Stageで予定されているLos Lobosが確実に見られる時間に会場に入ろうと思っていたのだけど、昨日早く帰った効果があって、この日は予定通りの時間に起きて、10時ころには会場に入ることができました(でもやっぱりシャトルバスはあきらめた)。会場到着後まっすぐにGreen Stageに向かい、ステージからやや離れたところでしばらく待っていると、Los Lobosが飛行機の遅れで出演キャンセルとなり、代わりにEddiが出演するとのアナウンスがあってがぜんモチベーションが上がりました(笑)。ほぼ中央の2列目、背の高い男性の後ろを避けて女性2人組の後ろに陣取って開演を待ちました。11時になってMCが登場してあらためてLos Lobosの件を説明後、Eddiの紹介があって、Eddi達が登場して演奏が始まりました。Eddiは今日は模様の入った薄緑のワンピースを着てました。

ここでの演奏は、急遽の出演ということと、直後に別の場所(雨でぬかるんでると歩いて30分くらいかかる)で出演予定とあって30分ほどと短めでしたが、1曲目からEddiは空へも届くかと思うような朗々とした歌声を聴かせてくれ、2曲目が終わった頃にはEddiを見る予定で来た訳ではないと思われる人もその歌声で魅了してしまったようで、観客からの反応が変わってきました。ひときわ開放的な歌声を聴かせてくれたDolphinsの演奏中には、空中のカメラを意識して、サングラスをちょっと下げカメラを覗き込むようにして笑みを浮かべるという余裕も見せてさらに観客を沸かせる場面も。その後に演奏されたKiteflyer's Hill, Patience of Angels, Perfectもすべてすばらしかったです。

開演直前のEddiたちがまさに登場しようというところで雨がパラパラ落ちてきてしまっていたのだけど、Eddi達が演奏を始めてほどなくして雨は止み、その後演奏中はまったく問題ない状態で、前日に続くこの天気は空がEddiに敬意を表しているとしか思えませんでした。

(セットリスト ー Green Stage(7/30))
 1. Winter It Is Past
 2. As Time Goes By
 3. Dolphins
 4. Kiteflyer's Hill
 5. Patience of Angels
 6. Perfect
(演奏時間32分)

Green Stageでの演奏が終わったあとは、いまの演奏がとても良かったので予定を変更してEddiを見にいく人が多いと思われたこともあり、すぐに次のステージのGypsy Avalonに向かいました。途中、White Stageで変な音楽が聞こえてきたので立ち止まって見ると、ステージにはJuliette Lewisがいたので少し聞いてみることに。なんかけっこうすごい格好(おなかが露出したレオタード?)で、ステージアクションはまんまMick Jaggerのコピーで、歌声はちょっとトホホな出来だと思いましたが、バンドの出す音自体は結構しっかりしていると思いました(曲は感心しないが)。1曲半聞いて、ふたたびGypsy Avalonを目指して歩き、開演まであと30分弱という頃に会場に到着。ここはほかと違ってシートを地面に敷いて座って鑑賞するスタイル(アメリカの農場で行う屋外コンサートみたい)だったのだけど、こんなこともあろうかと会場入り口でもらっていた大きなゴミ袋が役に立ちました。前から2列目のEddiとAlanの間の場所で待っているとほどなくしてAlanとBooが現れてサウンドチェックを始め、Eddiの姿もステージ脇に見えたのですが、この頃に雨が降り始めてしまい、結局演奏が終わるまで雨が止むことはなく、座って鑑賞というスタイルが仇となってしまいました。でも、そんななかで行われた演奏はほかのステージと比べても決して劣ることなく、途中かなり激しくなった雨の中でも後ろまで埋まっていた(らしい)観客に立ち去る人はほとんどいなかったようです。

サウンドチェック中、Eddiは登場後まず"Sister, don't get worry..."という歌(知らない歌です)を口ずさんでいたのですが、その後BooのギターをバックになんとMoon on the Rainを歌いだしました。雨が降っていたことから歌う気分になったのでしょうか。春のUKツアーではロンドンでのみ歌われたらしいですが、私が生で聞くのはもちろんFairground Attractionの来日公演以来。子供に子守唄を歌い聞かせるようなとても穏やかな歌い方でしたが、Fairground Attractionのレパートリーの中で(A Smile in A Whisperとともに)最も聞きたいと思い続けてきた曲だけに、とても嬉しかったです。この後には、まだ雨が本降りになっていなかったこともあってか、Raindrops Keep Fallin' on My Headをそれは楽しそうに歌っていました。

サウンドチェックの後、「定刻通り」始めたいMC(この人、日本人が想像しがちなインディアンの酋長みたいなルックスだったけど、喋りに切れ味があって演奏もステージ脇で積極的に楽しんでいたようで面白かった)の意向もあっていったん下がったものの、3分ほどで再登場し、Bell, Book and Candleのしっとりした演奏で始まりました。本編に入ってしばらくのあいだはEddiが「これくらいはただの夏のシャワーね。スコットランドの雨はもっとひどいわ。」と言えるくらいの雨量だったのだけど、2曲目を演奏している頃には雨がかなり本格的に降ってきてしまい、顔を上げて集中して見るのが結構つらい状態になってきました(上半身はスキー用のポンチョ着ていたので問題なかったけど膝から下はけっこう悲しい状態になった)。でもHummingbirdのスピード感のある演奏で顔を上げる元気を取り戻し、Charlie is My Darlingの演奏で、こんな状況の中でもEddiが観客を楽しませようとしているのがわかったので、それからはときおり弱くなるものの基本的には土砂降り状態で降り続ける雨にも負けずに演奏に極力集中するよう心がけました。途中ほんとに雨がひどい状態のときに、Eddiは「泳いでいるみたい」、と言って思いついたようにSwimming Songを演奏したり、The Right Placeの後半にふたたびRaindrops 〜 を歌ったり、雨が非常に多いグラスゴー出身のEddiは終止水を得た魚のように楽しそうに歌っていました(今日のThe Right Placeは座っていたこともあっていつもの演奏に近いしっとりとした歌声でした)。The Right PlaceのあとにはEddiに振られたBooがほぼソロでGraceland(この曲聞くの久しぶり)を熱唱してくれるという場面もありました。やっぱり合唱状態となったPerfectに続いて、Eddiが「雨を追い払えるように」もう1曲演奏すると言って最後にWillie Stewartが演奏されましたが、Molly Rankinでは(それまでほとんど椅子に座っていたEddiが)ステージ前方に出てきてスコティッシュダンスを披露し、盛り上がりのうちに終了しました。演奏終了したときには、Eddiの言葉どおり、雨がほとんど止んだ状態となり、やっぱり空がEddiに敬意を表していると思いました。

(セットリスト ー Gypsy Avalon(7/30))
 *サウンドチェック
 ?
 Moon on the Rain
 Raindrops Keep Fallin' on My Head
 *本編
 1. Bell, Book and Candle
 2. Patience of Angels
 3. Hummingbird
 4. Charlie is My Darling
 5. Find My Love
 6. Winter It is Past
 7. Swimming Song
 8. The Right Place 〜 ? 〜 Raindrops Keep Fallin' on My Head
 9. Graceland
 10. Kiteflyer's Hill
 11. Perfect
 12. Willie Stewart/Molly Rankin
(演奏時間55分)

Eddiのステージの後は、もともと一回駅に戻って昼飯をたべてからまた会場に戻ってGang of Four, Ryan Adamsを見る予定だったのだけど、雷もごろごろしているし、雨の中で待ったり演奏を聴くことはもはや想像できない状態だったので、会場をあとにして食事をしたあと家路に着きました。聞くところによるとRyan Adamsはそうとうひどい状態だったようなので(ある程度予測はできた)、もし残ったとしたらやりきれない思いで疲労感のみが残る状態になったと思われ、帰って正解でした。土曜日の夕方でしたが、途中ひどい事故で足止めを食らったほかはほぼ順調に帰り着きました。

今回新曲を1曲も演奏しなかったのがちょっと意外("Ontario"は演奏すると思ってたんだけど)でしたが、屋外での演奏でいつも以上にポジティブなエネルギーでEddiは観客と会場を包んでくれました。3回のステージの中では、最初に出演が発表され、会場のコンディションも良かった初日@Orange Courtが一番観客のノリが良かったですが、Eddiの出演を予測してなかった人までも魅了したと思われる2日目@Green Stageも良かったし、土砂降りの雨の中でもEddiの歌を聴くためにじっと耐える観客と、観客を気遣いながらも楽しそうに歌ってくれたEddiの姿が印象的だった2日目@Gypsy Avalonも良かったです。Eddiがフジロックに出演することに納得できない思いがあったのは事実ですが、いざ見てみると(日本では特に)屋内での演奏よりもEddiがいきいきとした姿を見せてくれ、予想以上に行った価値がありました。でも、やっぱり次は単独公演をお願いします。


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