Steve Winwood ('03/7/27@苗場・フジロックフェスティバル・グリーンステージ)


フジロックフェスティバルの最終日に、Steve Winwoodを見るためだけに日帰りで行ってきました。

フジロックって、主催者側の姿勢、出演アーティスト、客層、メディアの取り上げ方など様々な面で大嫌いなイベントで、毎年眼中になかったのですが、単独公演が保証されているわけでもなし、やっぱりSteve Winwoodが日本に来る稀な機会を見逃すのは堪えられなくて、ようやく先週の日曜にチケットを買って、見に行くことにしたのでした。

帰りが不安だったので、車で行くことにし、朝いつもよりは早く起きて8時ちょっと前に出発、高速では特に渋滞もなく、10時ちょっと過ぎには越後湯沢の駅に着きました。駅の近辺には1日停められる駐車場があると聞いていたので少し周囲を走って探し、ほどなく見つけて無事車を置くことができたので、あとは足湯に浸かったり周囲をぶらぶらして過ごした後、駅で食事をして、体調を整えた後、シャトルバス乗り場に行きました。ご飯食べる前にたくさん並んでた人たちの姿が見えなくなったので、もう空いたのかと思ったら、考えが甘かった。。。バス乗り場では既に待ってる人たちがバス4台分はいようかという状況で、しかも今年初めて感じる夏の日射し!おまけに駅に向かうのを時々目撃すれど、いつまでたってもバスがこっちに来なくて、最初のバスまで40分以上も待つありさま。。。で、結局1時間ちょっと待って5台目のバスに乗って会場近くに着いたのは、2時10分ほど前でした。

今回はSteve Winwoodを見ることだけが目的で、他のステージに見たいと思うアーティストは例によってまったくいなかったので、Steveが出演予定のグリーンステージへ直行して2時からのVincent Galloを見る予定だったのだけど、途中ちょっと迷って、こりゃ遅れるかなと思っていたら少し開演が遅れていて、ステージ前にちょうど着いた頃にVincent Galloとメンバー二人が登場してきました。

キーボード、ギターを弾く本人の他はドラムを始めキーボード、ギターなどいろいろこなす女性と、動きはエキセントリックだけど実はあまりまともに弾いてないギターの男性という三人構成で、よく言えば翳りのある?曲調で、はっきりいってあまり盛り上がってませんでした。あまりにも観客が静かなので、本人も途中やりにくかったのか照れ隠しの発言とかもありましたが、それでも写真撮る人の姿(本当は禁止なのだけど、真ん中くらいは結構楽勝で撮れてた)は多かったです。最後から3曲目の前半と、最後から2曲目の最後の部分、女性メンバーがキーボードからドラムに戻って演奏始めたところ以降はなかなか聴き応えがありましたが、全体的にはちょっと私には難しかった。。。

で見てる途中で後のことを考えて、ステージ直前のエリアを徐々に前に進んで行き、演奏が終わった時には2列目までいけたのですが、この後に出てくるアーティストでこの場所大丈夫かな?と思っていたら、やっぱり駄目でした。。。Vincent Galloの後はEvanescenceだったのですが、後から来て割り込んでおきながら肘を突き出して人を押しのけようとする失礼なアメリカ人が隣に来たのを始めとして、バンドが出てきたとたん、周りのことは何も考えずに他の人にぶつかるのを当然のようにタテノリをする人達ばかり。少しずつ後ろに下がりながら、比較的落ち着いたエリアに出たと思っていたら、7曲目だかに現在ヒット中のBring Me to Lifeのイントロが流れて身の危険を感じた瞬間、また人を押しのけてぽんぽん飛び跳ねる人達が何人も来て、さらに後ろに押し出されました。その後2曲ほどで演奏は終わったのだけど、苦痛のみが残った40分でした。それにしてもこのバンド、ギターの3人はいなくても、ドラムとキーボードとボーカルがいれば成り立ちそうですね。ボーカルも、Stevie Nicksの足下にも及ばない声量で、生で歌う必然性は感じませんでしたが。

演奏終了後はとろとろ動いてる人たちにどいてもらって、フェンス際の場所を確保(最前列、でもセキュリティ&プレスのいるエリアとカメラ用のエリアがあるためそれほど近いわけではない)。しばらく待っていたらSteveのオルガンが運び込まれて来て、自分の真ん前に置かれました。Evanescenceのステージが終わった直後は前から3列ほどしか人がいなかったんですが、、カメラ映像を見る限り、演奏の終盤には最前のエリアは比較的余裕がありつつも、一応観客で埋まっているようでした。

セットアップが40分ほどあったのですが、途中、2回ほどステージ脇からSteveが姿を覗かせて前の方にいたファンを喜ばせるという場面もあり、ほぼ予定どおりの7時10分過ぎにバンドメンバーに続いてSteveが登場して、演奏が始まりました。

バンドはアメリカで見たときと同じ5人編成(Steve含む)で、コアメンバーであるギタリスト(中央よりやや左)とドラマー(右端)、パーカション(中央よりやや右)、そしてサックスやクラリネット、オルガンなどいろんな楽器を弾く人が真ん中に立って、Steveは左端というレイアウトも同じでしたが、あらためて考えてみると、主役がこんな控えめな位置に居るコンサートも珍しいですね。でもプレスからの注目度は高く、海外メディアも含めて20人ほどのカメラマンが、最初の3曲の演奏の間中ずっとSteveの姿を撮り続けていました(主催者側スタッフに退場させられるまで、ほとんど減ることはなかった)。

セットリストは次の通りです:
1. Pearly Queen
2. Different Light
3. Cigano
4. Bully
5. Back in the High Life Again
6. Dear Mr.Fantasy
7. Why Can't We Live Together?
8. Gimme Some Lovin'

2時間40分ほどもあった4月のコンサートとは違って、今回はフェスティバルへの出演ということもあって1時間ほどと予想よりも短い時間だったですが(次のコステロまで2時間あったから、1時間20分くらいやると思ったのになぁ)、その分新曲の比率が相対的に高くなったこともあって、新旧のバランス的には今回の方が良かったように感じました。前半は新作からの曲を続けたこともあって流れも良く、Back in the High Life Again以降も文句なしで、一気に聞き通したという感じです。その前のバンドとは質的に異次元の、レベルの高い演奏だったと思います。

観客の年齢層はやはりやや高めで、満員というわけではありませんでしたが、熱狂的なファンが多かったようで、演奏中も演奏後もとても温かい声援が送られていました。私も、せっかく日本に来てくれたSteveに気分良く演奏してほしかったので、がんばって声を出しました(Hall & Oatesの時と同じくらい)。その効果があったのか、Steveやバンドメンバーは演奏中なんども満足げな笑顔を見せてくれ、最後には全員で肩を組んで挨拶までしてくれました(これで日本気に入って再来日あるといいんだけど、、)。

見た場所が最前列だったことに加え、スピーカーから出てくる音がかなり大きいこともあって、(特に新曲群で)Steveのオルガンの音が跳ねて聞こえ、その迫力に痺れました(笑)。Steveのオルガンがそれほど目立たないときでも、バンドが一体となったその演奏に流れるゆったりとしたグルーブが気持ち良く、ひたすら音楽に身を任せながら聞いていました。屋外で音がより開放的に響いているというのもあったのでしょうし、双眼鏡も必要ない距離ということもあったでしょうが、あまりにも意外な選曲に驚かされた前回のコンサートとは違って、今回はどういう曲が演奏されるかある程度心構えが出来ていたので、演奏を純粋に楽しむことが出来ました。

今回のツアーではほとんどオルガンの前に座りっぱなしのSteveですが、Back in the High Life AgainとDear Mr.Fantasyの2曲では、オルガンをサックスなどを担当していた人に任せて、マンドリン(High Life)、ギター(Mr.Fantasy)を持ち、これにドラムが加わって3人での演奏となりました。High Lifeでは観客からのコーラスも聞こえたし、Dear Mr.Fantasyでは後半Steveが熱いギタープレイを見せてくれて、ひときわ大きな拍手をもらってました。最後のGimme Some Lovin'は、これまでのツアーで聞かれたアレンジよりもラテン調でさらに軽快になっており、ドラマーが手拍子を観客に促したこともあって最初から最後まで手拍子が鳴り響いてました。もちろん、お約束の"Hey!"のかけ声も、やや控えめながらも聞かれました。演奏終了後にはアンコールを求める熱い歓声・拍手がしばらく鳴り続いていたのですが、残念ながらアンコールはなく、たくさんのスタッフがセットを片付けはじめてしまったところで、本当に終わりだということがわかりました。

与えられた時間が短かったこともあって、前回見たときよりは1曲1曲の演奏時間もやや短かったのかなと思いますが、それでもたいがいは7、8分は演奏していて、Steveの歌&オルガンだけでなく、ギター、ドラム、サックスなどの音も十分楽しむことができました。特にドラムの軽快で乾いたリズムはやっぱりとても好きな音(と叩きっぷり)で、もしかするとRoy Dodds(Fairground Attraction)やMick Fleetwoodよりも好きかもしれません。Steveの歌についても、時折マイクから離れた位置で歌ってしまって聞こえにくくなった部分があったのを除けば、その歌声はまだまだ力強さを感じさせてくれ、今回はたっぷりと楽しむことが出来ました。

Steveを聞き始めたきっかけはSteveの声&Will Jenningsの詩だったこともあって、Trafficよりはソロの方がやっぱり好きな者としては、過去のソロ作からわずか1曲しか演奏されず、長尺の演奏ばかりであったアメリカでのコンサートではやや違和感を感じながら聞いていたのですが(途中からは立ち疲れで朦朧としてたし)、今回屋外であらためて聞いてみて、新作からの曲とTraffic以前の曲との間に雰囲気的に共通するものを感じ、一曲の一曲の演奏時間が長いことも全然気にならなくなりました。ソロの曲を敢えて外したことも、自然ななりゆきだったのかもしれない、とも。下準備もろくにせずに勢いで見に行った前回の宿題を果たせたと思えた、今回のSteve@フジロック鑑賞でした。

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