イタリア日記
〜 Roman Workingday 〜

2005/May/27

ミラノ〜ローマ


夜明け前起床。

せっかく用意した三脚を使わないのはよろしくない。 本来、 夜景を撮ろうと用意したのではあるが、 夜出歩く気分にはなれないことが判明。 では、 朝使うべし。

屋上に上り、 東向きに三脚を据え付け、 白んでくるミラノの空を睨む。
プチトマト色の太陽がぽっかり現れる瞬間を収める。
赤色が消え、 まぶしくなって、 撮影終了。



荷造りの気分にならず、 うだうだと過ごす。 準備に手間取り、 10:00の列車に間に合うか? という頃、 チェックアウト。 すんなり過ぎて、 ALITALIAのマイレージに加算してもらうことをすっかり失念。

流しのタクシーを捕まえて、 26kgをトランクに押し込んでもらう。
「スタツィオーネ・チェントラーレ」

4.6ユーロのところ、 10ユーロ札を差し出すと、 5ユーロ札が返ってきた。
・・・、 まぁ、 プライスレス、プライスレス。



はたして窓口は行列、 10:00前になんとか順番が回ってくる。

「ローマ・テルミニ」
「10:00?あ、 10:00満席。 11:00?」
「うぐぐ、 おーけーおーけー」

立派な白亜の駅舎は、 大きな鉄骨製のかまぼこ状のプラットフォームの屋根につながる。 ターミナル駅である。 全ての列車が横一列に並んでいる。 トレーダー分岐点もかくや、 と思いつつ、 鉄骨や空港にあるような巨大な発着時刻表や行き交う人々をテキトーに撮って時間を潰す。
2番ホームとようやく案内がされて、 移動。
こっちのホームは盛り土がなされていない。 26kgを狭いドアからデッキに持ち上げるのは一苦労。 スーツケースを置くスペースが用意されているのは、 新幹線にも見習ってもらいたいところか。 ワイヤーロックし、 DELSEYから解放される。



こっちの切符の見方は、 慣れないとさっぱり分からない。 列車の絵が描いてある下に、 006、 と書かれている。 6号車である。 Cl.の下に2、 これはclass 2、 2等の意味であろう。 で、 71というのが座席番号であろうと解読。 窓側の席。
コンパートメントではないが、 4人駆け席が向かい合わせになるように設えてある。 で、 その向かい合わせの席を分断するように、 細長いテーブルが設置されている。 シートは山陰線のようなフラットなものではなく、 クルマの運転席のような感じ。 包まれ感はあるのだが、 決まった姿勢を強制される。

向かい側におばさんが座る。 足元に置いたその赤いバッグ、 邪魔なんだけど、 とは言えず、 つんつん蹴って向こうに押しやる。



11:00発車。
街並みはすぐに田園風景と高速道路に。 緑がまぶしい。 ポピーと思しき赤い花がたくさん咲いて揺れている。

食堂車でサンドイッチ購入。 サンドイッチくれ、 と言ったら、 三角のいかにもサンドイッチなサンドイッチには目もくれず、 SUBWAYチックなやつをくれた。
まぁ、 いいけどね。

1時間ちょっと経った頃、 Modena通過。
フェラーリ美術館とかあったような。 などときょろきょろしてると、 MASERATIのエンブレムが!
おお、
工場か?
ここで作っとるんか?
ちょっとミーハー。

車窓に山が近づいてくる。 列車は、 ロンバルディア平原の端っこを行く。

ボローニャ停車。
一服。
一気に客が増える。
隣の席にカナダ人のおっさん。 検札の結果、 このおっさん家族はフィレンツェで降りると判明。 このあと、 肘掛の攻防がフィレンツェまで続く。

ここからは本格的に山越え。 トンネルが続く。 少し眠る。



フィレンツェ着。
一服。
イタ大学生っぽいのが乗ってくる。
フィレンツェもターミナル駅。 ということで、 さっきまでの先頭車両は、 最後尾に。 景色が逆に流れる。 なんか不快。
トスカーナの丘陵地帯を写真に収めながら、 15:30、 13年ぶりにローマに凱旋。



たしかこの辺に座って写真を撮った記憶があるなぁ、 と、 重い荷物を引きずりながらテルミニを徘徊。 目指すはトイレ。
70セントで買える解放感。

タクシー乗り場。
「しぇらとんごるふぱるこでめでぃち」
「ローマには7つもしぇらとんがあるでよ」
「ほーかいほーかい」
その後、 互いに無言。

カブール通りを下って左折すれば、 右手にフォロロマーノ、 正面にはコロッセオ。 いきなりクライマックスかぃ?
周囲を右回りして、 パラティーノの丘、 チルコマッシモを右手に見ながら南下。
俄然スピードアップ。
こっちの運ちゃんは結構飛ばす。 オペルでFIATを煽る煽る。
前の車のリアウィンドウしか見えない。

高速を降りて、 草ぼうぼうの荒地を抜けて、 ようやくホテル着。
「このホテル、 1と2があるけど、 どっち?」
「へ? 知らん。 とりあえず1。」

フロントで確認したら、 別館のほうだった。
「迎えが来ますからしばしお待ちを」
しばし放心。
ロビーにはアメリカ人と思しき団体がわいわいやっている。 暢気でいいなぁ。

お迎えが来て、 やっとこさチェックイン。 新館は超きれい。
通された部屋は「えぐぜきゅてぃぶ」。
このままここで泊まるべきか・・。

結局17:00過ぎ。 ローマの世話人P氏に連絡したところ、 月曜からでいいよ、 とのこと。



動けるうちに動けるように、 とディナー。
リストランテに赴く。 係りの対応は、 いまひとつ。 ガレスのソニアやシルビアが恋しい。
よくわからんが、 ワインとピザを注文。
ワインの有効成分てなんだったっけ? ココアにも入ってなかったっけ? 一時騒いでたよなぁ。 あれ、 なんだったっけ?
  • イソフラボン? それはきよしの黒豆ココアやんけ。
  • コラーゲン?  確実に遠くなったね。
  • グリコーゲン? 一粒300mかい?
  • フラーレン?  食い物ですらないぞ。
ワインが効いてきつつあったとはいえ、 愕然とせざるを得ない。 歳、 か? 近過去の記憶が蓄積されないのは、 歳、 ってことか? 認めたくはないが、 そういうことか?
いやいや、 ワインの有効成分なんて覚えている価値のないものをいちいち記憶しておく必要なし。 取捨選択の結果。
だったらなんで、 名前は忘れてるのに、 抗酸化作用があって活性酸素対策になってるとかそういうことは思い出せるわけ?

と、 ピザ登場。 でか。 しかも、 予想を越えた内容。 もっつぁれらとか書いてあったから、 あぁこれでいいっすよ、 的なノリで頼んだのだが、 なんか、 茹でた緑の葉っぱとか、 アンチョビ?魚の貧相な肉片が散乱している。

イキオイで行くしかない。
切っては食い、 食っては切るが・・・、 魚くさいし、 やけにしょっぱい。

6割ほどで戦意喪失。 おなかいっぱいで動けないのに、 この不満足感。
自分で選んだとはいえ、 いきなりおみまいされてしまった。

食事はハズレなホテルかも。

ガレスのサフランリゾットが恋しい。


ぼなのって。




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