Vol.8 「ネパールでMTBに乗ってみない?」
          「行く〜!!!」

                   ニワ氏の蒔いた餌に「パクッ」と簡単にひっかかったQたろう。しかしその餌はうまかったのだ!!!!


2002/1/7  6:00起床
   お経の声が台所の方から聞こえてくる。お父さんは何時から起きているんだろう。昨日私たちが泊まったのは仏間。そこにイスとしてもベットとしても使える台が3つあってそこに寝袋を広げて寝た。起きようと思ったら停電に。お父さんがロウソクを持ってきてくれた。本日もバター茶攻めで1日が始まる。チベタンファミリーは皆早起きで、朝から三男のパルディンくんがおいしいブレッド&エッグの朝食を作ってくれた。

8:00
   すぐ近くのボダナートにお買い物&お参りに行く。この世界遺産にも指定されている仏塔は回りをぐるぐる回る巡礼者が多い。中には五体倒置している人もいた。お父さんの案内で買った、チベットからきたという塩(岩塩)はとても美味しく日本に帰ってからも重宝している。

9:00 出発
   犬くんとアさんは、今日のお昼の便でシンガポール経由で帰国する。二人は早朝成田に着いてそのまま出社するのだ。エライ!・・・って同じ会社なんだけど。Qはこのまま更に1週間お休みをとってあるのだ。ぐふふ。

   とはいえ、ネパールで他の二人と分かれて特に予定もないQたろう、合流した丹羽氏の蒔いた餌にパクっと食いついてしまった。取材も兼ねてのカトマンズでのMTBツアーに参加しないか?とのこと。最近少しMTBに"乗れる"ようになったQたろう、そんなおもしろそうな話を断るわけがない。「ハイ、よろこんで!」とついていく。

   利用するのは Dawn till Dusk というMTBツアー会社。今回ガイドをしてくれるのはチベット系のネパール人のウルゲン(ウックス)だ。丹羽氏、チベット語の練習もついでにしちゃうつもりらしい。なんとなくこのウックス、前回一緒にネパールに行ったQたろうの友人のたかじろうに似ている。オフィス内ではネパール語とチベット語と英語、そしてたまに日本語が錯綜するのでワケが分からない。スペシャライズドのMTBをレンタルして、まずは車でパシュパティナートというヒンズー教の聖地に移動。ここから出発する予定だったが、現在カトマンズで開かれているサミットのせいで軍隊が警備していて、予定のルートが立ち入り禁止に。仕方なく川の向こうへ移動する。バイクを車から降ろして準備をしているとどこからともなく子供達が集まってきて珍しそうに眺めている。自然と笑顔になりながら、ウックス、丹羽氏、Qたろうの3名、いざ出発!

   バクタプール(古都)は、石造りの町並みがきれいな街だ。このバクタプール内に入るのに入場料が$10かかった。この国の物価にしてはちょっと高いなあと思うが、これで寺院や建物の修復をしていると思うと仕方ないかなあと思う。まずは"足ならし"にまるでタイムスリップしたような街並みの中をのんびり走る。古都とはいっていても現在も人々が生活している街だ。あちこちから生活の匂いがして妙に楽しい。ウックスは熊避けならぬ人避けにザックに大きな鈴をつけていて、その音で前を歩いている人を避ける。それでも人が避けない場合は、ガチョウみたいな変な声を出す。「グゥワ、グゥワ」これがなかなかユニークでおかしい。練習してみたけれどなかなかうまく出来なかった。

   バクタプール内で、早めのランチをとる。私はサントイッチ、丹羽氏はスパゲッティ。今のところネパールでの洋食、パン関係はあんまりハズレはないけれど、パスタ類はちょっと・・・であった。丹羽氏が頼んだのもやはり"スパゲティのようなモノ"で、サンドイッチを頼んだQたろう、正解だったとひとりにんまりする。今回申込みしたツアーは1泊2日のナダルコットへのツアー。ナダルコットというのはカトマンズの中心地から東に20kmほど行った標高約2000mの丘のことで、ここからヒマラヤ山脈が一望できるということで観光客にも人気の場所だ。これから走るルートは標高差約600m。直前にアンナプルナ方面でトレッキングして高地トレーニング?しているとはいえ、登りが苦手なQたろう、実はちょっと不安。ウックスにも走る前から「上りは苦手」と強調しておく。


   さてさて出発。のんびり走りはじめる。ウックスの選ぶルートはいわゆる生活道。できるだけ大きな通りを通らないルートをうまくつなげてくれる。昼間は大人も子供も家の外に出て座っていることが多いので、自然と私たち3人の姿は人の目につく。MTBで走り去る3人にはひっきりなしに子供や大人から「ナマステ〜」という声がかかる。こちらも走りさりながら「ナマステ〜」とさけび返す。なんだか楽しい。子供の頃、走り去る電車に向かって「バイバ〜イ」と手を振っていた自分を思い出す。なんだろう、この感じは。トレッキングとも車とも違う、自転車という乗り物のスピードが妙に心地いい。この国のもっている生活のスピードにMTBという乗り物はちょっとだけ速いような気がするが、その速さが心地よいのだ。歩いていると警戒されてしまうかもしれない異邦人。車では通りすぎてしまう風景。MTBという乗り物で走っていると、一漕ぎ一漕ぎ生活の匂いをかぎつつ、でも通りすぎていってしまうという感じがなんともいえずに楽しいのだ。





   ガイドのウックスは私が上りが嫌いというと、あと何キロで、ここから先はちょっとキツイとか、楽だ・・・とマメに教えてくれるので、とても助かった。全体を通してのペース配分が自分でできるのとできないのとでは疲れ方が全然違ってくる。丹羽氏は撮影するからといって、かなり先の方まで行ってしまっていたので、ウックスがのんびり走るQたろうの横についていてくれた。彼は話題が豊富でとにかくおもしろい。ここにも「自分がイチバン楽しんでる」人がいた。丹羽氏もそうだが、「自分がイチバン楽しんでいる」人というのは周りも楽しくさせてしまうから不思議だ。いよいよ上りがきつくなってくると、Qたろう、とにかくギアを軽くして、無理せずにおしゃべりできるくらいのスピードで進む。他の二人ものんびりとつきあってくれる。こうやって風景を眺めたりおしゃべりしながら走る上りは好きだと思う。ん?上りが好き???

   途中、車から降りて写真を撮っている日本人と出会う。丹羽氏が声をかけると某地方局のテレビ関係の人だった。最初は全くお互いに気づいていないようだが、よく話してみるとその日本人、丹羽氏の知合いであった。10年くらい前に一緒に仕事をしたことがあるという。
こんな道の真中で知合いに会うなんてびっくり。日本でも会わなかったのに。こういう偶然ってあるもんだ。

15:30 ナガルコット到着
   本日のお宿に到着。すごい!きれいなホテルだ!シングルが1泊30ドルもするらしい。え?いいの?ホントにこのホテル、ツアー代に含まれるの???トレッキングですっかり貧乏性が板についてしまったQたろう、大変喜ぶ。とりあえずホテルの外で乾杯して部屋に入るとこれまたきれい!まだ外が温かいうちにとりあえずシャワーを浴び終えて、二人を探してホテル内のバーのようなところに行くと、まだ部屋にも入らずにバイクウエアにヘルメットを抱えてビール飲んで酔っ払っている人が約2名。丹羽氏に外が寒くならないうちにシャワー浴びた方がいいんじゃない?と言ってみるが、すでに真っ赤になって、ウックスと楽しく話していてじぇんじぇん聞いてない。まあいいかと隣に座るとビール2本追加。こちらは風呂上りだからまたビールがうまい!ツマミ頼んで、更にビール2本、3本・・・。Qたろう、お酒強くないんだった。二人のペースにあわせてすごい勢いで飲んでしまい、かなり酔っ払ってきてご機嫌。丹羽氏、一旦部屋に行ってくると言って出ていったので、その後はウックスとおしゃべり。私の英語力でも分かるように分かりやすくいろいろ話してくれて、すごくおもしろかった。1時間ほどしても丹羽氏が戻ってこないので丹羽氏の部屋をのぞいてみると、ベットの中で丸まっている。シャワーを浴びたら寒くなってしまって布団から出れないらしい。だから言ったでしょう!とQたろう、勝ち誇ったように小言を言って、夕食になったら呼ぶからといって再びウックスと飲む。

   さてさて夕食。3種類のコース料理から選べるのだが、このときはQたろう、既にビールでお腹いっぱい。チキンのおいしいステーキが運ばれてくるが、レロレロのQたろう、もうダメら。一瞬自分の部屋に戻って、とりあえず吐く。ビールしか出てこない。とりあえず何とか食事が出来るくらいは胃が空いただろうと食堂に戻ってチキンに挑むが、殆ど食べれず。失敗だあ。レロレロのまま9時前にはベッドに入る。



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