経営診断・支援原則

社団法人中小企業診断協会
作成日: 2003-03-10
最終更新日:

本原則は、社団法人中小企業診断協会会員の中小企業診断士(以下、「診断士」とい う)が中小企業を含む企業(以下、「企業」という)や企業集団のみならず地域や社会 が抱える多様な経営上の諸問題を調査・分析し、各種の経営資源を活用して経営改善 や経営革新について提言し、その実現を支援する際の基本原則をとりまとめたもので ある。

第1章環境変化と企業経営

1.企業経営を取り巻く環境変化

企業経営に大きな影響を与えている主要な環境変化を、次のように整理する。

(1)通信、情報、輸送技術などの革新的発展によって、経営資源の流れが時間や空間を超 えて、瞬時に、しかもグローバルに展開するようになった。特に中小企業においては限定 された地域を越えて、あるいは他企業の流通チャネルなどに依存しないで、自らグローバ ルでオープンなマーケットで企業規模の制約なく、事業展開ができるようになった。 しかし一方、大企業も地域の市場へ進出し、新たな競争状態が起こっている。このため、 企業規模を超えて経営の意志決定、それに基づく商品供給の迅速化などが企業活動の優劣 の大きな決め手になっている。 消極的な中小企業にとっては脅威であるが、成長意欲の高い中小企業にとっては大きな 成長の機会でもある。

(2)資本の論理や自由競争原理のもとでは、経済的に豊かな社会を生み出すことができた。 しかし一方、地球規模で、天然・自然資源の過剰な採掘や採取、消費が進み、深刻な自然 資源枯渇問題や汚染、環境破壊問題が露呈した。その結果、企業はこれまで意識してこな かった費用の内部化という問題を背負うことになり、中小企業といえどもこの問題に無関 心では済まされなくなっている。

(3)循環型経済社会や少子・高齢化社会などへの課題対応のため、福祉や医療、環境衛生、 社会教育、食材供給、職業紹介などの新しい生活者向けサービス部門の台頭が注目される。 これら新しい部門では、行政サービスの民営化(民間の資金やノウハウを活用するPFI (Private Financial Initiative)の導入を含む)や規制改革が推進されている。 そもそも地域性が強い中小企業は、これら新しい部門の担い手として大いに期待され、 その有利性を生かした経営戦略を構築すべきである。

一方、地域性や社会性を基礎として民間の公益を意識したNPO(Non−Profit Organization)、まちの経営に民の活力を利用したTMO(Town Management Organization) などの新しい団体・組織が各地で生まれている。中小企業は、 これら団体・組織が行う事業と一部競合する面もあるが、 むしろ連携することによって、その役割を支援していくべきであり、 そうすることによって、中小企業自身の機能も強化することを目指すべきである。

(4)特にわが国は世界一の長寿国であり、さらに少子化が進んでいるため、 経済・社会構造が大きく変化している。そこにアジア諸国の経済・産業発展が加わり、 日本の国際競争力が相対的に低下している。わが団はその発展の場を海外に求めるだけではなく、 国内でも人材や技術、情報などの各種経営資源を最大限に有効活用し、 循環再生産できる仕組みを構築しなければならない。

2.企業行動に求められる経営方針

企業経営を取り巻く環境変化は、従来の企業経営の基本的な思考や行動を大きく見直すきっかけになっている。 具体的には、これからの企業は「経済価値中心主義」から「経済価値・社会価値共存主義」 へのパラタイムシフトを果たすことが必要である。 特に中小企業は、次のような観点からこのバラタイムシフトを行っていくべきであり、 診断士はこのような考え方を具体的な経営方針や事業計画に適切にこれを組み込み、 それが企業行動として確実に実行されるよう、診断・支援を行うべきである。

(1)経営革新・創業による経済価値の創造

経済価値の創出は企業が存続していくうえでの大前提であり、これによって取引先や消 費者に商品やサービスを提供するとともに、従業員には雇用の場を提供し、国等へは納税 者としての責任を果たすことができる。

これまでにも豊かな社会を生み出すうえで、中小企業は大きな役割を果たしてきた。 しかし、変化が激しい時代にあっては、企業は過去の「成功体験」を捨てて、 新たな市場ニーズや技術革新への俊敏・的確な対応、創意・工夫による新たな市場の創出に努めなけれ ばならない。具体的には、経済価値を創造する新商品の開発や新サービスの提供、新業態 による店舗展開などの経営革新に取り組んでいくことが重要である。特に経済・社会構造 の変革期には、中小企業にとっても新たなビジネスチャンスが多く発生するが、従来型の 経営を続け、経営革新を怠る企業には新たなビジネスチャンスとして成功の機会を得るこ とは困難である。チャンスを生かすための経営革新の実行が不可欠である。もちろん、既 存の事業分野においても、市場ニーズの変化などに応じて、商品やサービスのコストの引 き下げや品質の向上による顧客満足度の向上を図るため、新たな生産方式や商品の販売方 式、新たな経営管理方式の開発や導入などの経営革新の推進が間断なく進められなければ ならない。

また、経済価値の創造は既存企業でない、新たな起業者による創業によっても行われる。 特に経営者が企業家精神に富み、自らリスクを果敢に取りながら革新的な事業を展開する 企業の躍進が、わが国経済の活性化・経済構造の変事に積極的に寄与していくものと期待 されている。なお、創業はこのように経済価値の創出とともに、雇用を創出し、地域社会 の活性化に貢献し、さらにその起業者には創業者としての自己実現という大きな精神的価 値の充実をもたらす。

ところで、経営革新や創業を行っていくには、各種の経営資源を効率的・効果的に活用 していくことが必要であり、自社だけでなく、外部の企業や機関との相互補完や連携など を推進することが重要である。そして、その形態は同業種連携、異業種連携のほか、産学 官連携など多様化している。また、経営革新を推進していくうえで、事業組織は活性化し ていなければならない。このため、その企業のコア・コンピタンスを明確化し、「選択と集 中」によって事業組織などの改革を断行していくことも大切である。

(2)社会価値共存による経済価値の創造

経済価値に至上の価値を置く経営行動だけでは、経済価値を生み出しにくくなっている。 社会性や環境問題への対応を重視するとともに、従業員の人間性を尊重する経営は「社会 価値」の実現を強く意識した経営であり、こうした経営こそより多くの経済価値を生み出している。

まず、企業は地域やコミュニティなどと共に生きること、共に生かされることを意識し なければならない。顧客満足のみならず、メセナや企業文化、社会貢献活動などの社会的 責務や地域に果たす役割を経営方針に的確に組み入れ、それを確実に実行すること、いい 換えれば、社会性を重視した経営が要請されている。特に地域社会を経営の基盤とする中 小企業にとっては、経営の最優先課題になってきている。なお、法令の遵守や必要な情報 の公開など、いわゆる消費者の信頼を裏切らない事業活動は、社会性重視の経営の大前濯 である。

経営の表通りのみにスポットライトを当てるのではなく、静脈系、循環系、生態系、継 続性、生命の尊重などの言葉で表される環境問題への対応の重視を、新たな経営行動規範 として組み込むことも重要である。そして、この規範を踏まえて、実際のものづくりや流 通、消費およびリサイクルの過程において企業責任を果たしていくべきである。

さらに、日本的雇用制度の3種の神器といわれた終身雇用、年功序列昇進、企業内組合 の制度が急速に崩壊しつつあり、企業に対する従業員の期待や労倒に対する価値観なども 大きく変化している。このような時代だからこそ、企業は従業員の処遇、職務内容、職業 能力の向上などに関して、従業員の人間性を重視した人事制度を確立しなければならない。

企業を1つの法人という人格で理解すると、大きく2つの人格があることになる。1つ は、経済人(eco-nomic man)であり、他の1つは生態人(eco-logic man)である。接頭辞 のecoは、oicosつまり「家屋」を意味する。経済人は生態人であることを意識し、生態人 の許容される範囲で経済人行動を展開する、というのが新たに求められている企業経営の 理念である。

企業の利益追求活動である「経済価値」と、上記の社会性や環境問題への対応を重視し、 人間性を尊重した経営、すなわち、「社会価値」を追求する関係性は、トレード・オフ(利 益相反)の関係にあるのではなく、これら「社会価値」を土台として企業の利益が保証され ているのである。アメリカではこのことを「啓発的自己利益(cultivating self-interest developing)」として表現しているが、企業の社会性や、従業員を大切にする企業風土は企 業に還流し、新しい経済価値をリプロダクトする源泉となることを意味している。

(3)コーポレートガバナンスを意識した経営診断・支援

コーポレートガバナンス(企業統治)とは「適法性と倫理性を踏まえた企業が、その存続 と発展を前提として、顧客、従業員、経営者層、株主、取引先、広く市民社会や環境主体 も含めた多様なステークホルダーとの協働を通じて、創造する付加価値の適正配分を行う 制度的枠組み」である。中小企業経営においてもこのコーポレートガバナンスを経営方針 として取り入れることが必要となっている。現代の企業経営環境は消費者、従業員、地域 社会など多様な価値観が同居する多元価値社会であり、これを無視した経営は厳しい批判 を受け、企業の存続にも大きな影響を与えることがある。

経営診断・支援におけるコーポレートガバナンスの視点は、次の4項目である。第1は 企業が何らかの社会的使命を持って存続する際の行動基盤となる「適法性」である。第2 は企業不祥事の防止のみならず積極的な社会への貢献を意味する「倫理性」である。第3 の「所有性」は『企業はだれのものか?』という視点である。中小企業といえども経営者 だけが所有者ということは過去のことである。企業の利害関係者は、株主、従業員、消費 者、債権者、仕入先業者、地域住民、行政など多様にわたっている。そして第4の「効率 性」は経営資源の効率的な利用に関する視点である。各種経営資源を自社で占有し消要す るのではなく、その共同による保有・利用が求められるのである。 この視点は、業種、業態、企業規模の大小に関係なく、診断・支援の際に重要項目とし て盛り込まれなければならない。従来型の経営診断・支援では企業行動を分析・評価する 視点は、「収益性」「安全性」「生産性」「成長性」が中心であった。しかし、今後は、より 広い視点である「適法性」「倫理性」「所有性」「効率性」についても着眼されるべきである。

第2章中小企業診断士の役割

1.経営資源の補完とその活用支援

中小企業と大企業との経営力格差をもたらす最大の要因は、ヒト、モノ、カネ、情報に 代表される経営資源の保有量とそれを有効活用するノウハウの差である。したがって、中 小企業にとって不足する経営資源をどのように補完し、それをどのように活用していくか が最大の課題となる。そして、これに応えるのが診断士の大きな役割であり、なかでもソ フトな経営資源を補完するのは診断士にとって最大の役割である。

経営環境の変化が激しい時代にあっては、経営革新を機動的・弾力的に行っていくため に、これに必要な経営資源もそれに合わせて的確に調達することが必要である。特に情報 技術は、経営革新や創業などを推進するとともに、環境問題への対応など社会価値を実現 させる主要な手段として欠かせない存在となっている。また、知的所有権などのソフトな 経営資源の有効活用も中小企業活性化のポイントである。

しかし近年、これら経営資源の陳腐化は著しい。このような状況で、中小企業が必要な 経営資源を自ら所有する場合には多くの経営課題が発生する。たとえば、開発期間の長期 化、維持コストの増大をもたらし、経営戦略・戦術の選択を硬直化させ、将来の経営革新 の自由度を損なうなどの弊害が発生するおそれがある。このため、各種の経営資源をすべ て自ら保有するのではなく、自社が保有する経営資源を相互に開示し、交換し、補完し、 相互に利用の可能性を探ることが有効である。

また近年、産学官交流制度の充実、労働法制の改正、金融制度の改正などの経営資源活 用のためのインフラ整備によって、中小企業も活用できる外部経営資源が多様化しており、 診断士はこの面でも積極的な支援が期待されている。

経営資源の弾力的でしなやかな活用は、その調達先の選択と集中、それに地域や社会と の結びつきを密にすることによって、初めて可能になる。そこでは経営諸資源はむしろプ ラットホーム上で多様な経営資源として位置づけられ、どのような経営資源をどのように 活用するかは経営戦略テーマの一つとして検討されることになる。

このような経営資源活用方法の多様化・広域化によって、その最適活用・相互利用を基 盤にした節約や創造活動が登場してくる。経営資源の範囲も社内に限定されたヒト、モノ、 カネ、情報やノウハウ、技術、暖簾、ブランド、知恵、風土、文化などから、他企業、地 域、社会を対象としたものまで、その範疇を広げることが可能となる。

診断士は自身がソフトな経営資源としての役割を果たすとともに、企業内外の各種経営 資源を関係づけすることが重要な役割になり、「経営資源ネットワーカー」や「経営資源カ タライザー」という呼称がふさわしいかもしれない。

2.持続可能な成長を意識した診断・支援

(1)経営革新による持続可能な成長

ゴーイングコンサーンとしての「持続可能な成長」を図るため、各種経営環境の変化を 前向きに受け止めて、経営革新に関する中・長期的な戦略を立て、それが効果的・効率的 に遂行されるよう努力しなければならない。たとえばITの戦略的活用、直接金融による 資金調達、統合や分社化による組織の活性化、企業間や産学官連携などの戦術を検討・選 定する。そして、中小企業者はこれら経営戦略・戦術をビジネスプランとしてとりまとめ、 これを実行していく。

診断士は、この一連のビジネスプランづくりを支援しなければならない。中小企業者が まだ気が付いていないが、潜在的に、その企業の存続・発展に大きな影響を及ぼすおそれ がある経営環境の変化を的確に予知し、経営課題として抽出し、その改善、革新として提 言する。

(2)社会価値が共に実現する経済価値の創造

経営革新の内容が従来型の経済価値中心主義によるものでは、企業の存続そのものが危 ぶまれるような時代であることを強く意識すべきである。すなわち、今日の企業は自社だ けの部分最適確保を目指しても、継続企業(ゴーイングコンサーン)であり続けることは できない。また、企業の利益は、その時点だけの企業活動の成果ではなく、企業がそれま で果たしてきた長期にわたる活動の成果であり、持続可能な成長の重要性が指摘される。

したがって、経済価値の創造に際しては、経済価値だけではなく、社会価値が共に創造 されるようでなければならない。診断士は、企業の短期的利益や個別企業の利益獲得のた めだけに貢献するのではなく、また、経営資源共有や共用をビジネスモデルに組み込んだ 経営革新の探索や創造を積極的に提案し、その実現を支援する診断士であるべきである。

3.経営基盤の安定、再生・再建などの診断・支援

厳しい経営環境の変化にあって、中小企業者はその生き残り・成長を図るため、まず、 取引先管理の徹底、取引先との信頼関係の強化などにより、自らの倒産を防止するととも に、連鎖倒産に巻き込まれないように、経営基生の安盤を図る。また、固定費の縮減や固 定費の変動費化などによって自らの財務体質の強化を図ることが肝要である。診断士は、 「持続可能な成長」の前提として、まずこのための診断・支援を行う。

このような経営努力にかかわらず、キャッシュフローなどの財務上の問題を抱えて事業 の継続が危ぶまれる事態に追い込まれることがある。このような場合、診断士はその事業 の将来性などについて診断し、その再生が見込める場合はその支援を行う。しかし、企業 倒産が余儀なくされる場合にあっても、一企業の倒産型の健全な取引先企業の経営に混乱 を引き起こさないよう最善の策を提言するとともに、倒産企業の関係者がその経営資源を 活かして企業活動に再参加できるよう支援することも要請されている。

4.経営部門別診断から経営システム診断・支援への重心移動

従来の経営診断における典型的な進め方である個別の経営資源診断や経営部門別の経営 診断は、それ自体普遍的な診断であり、今後とも基本的な経営診断手法として活かすこと ができる。しかし、経営革新・創業の推進や社会価値の実現を図っていくには、個々の経 営部門を中心とする診断・支援、いわゆる経営戦術を探求する診断・支援から、経営全体 を通ずる「経営システム」としての視座に立ち、それが如何に円滑・効率的に機能するよ うにするにはどうしたらよいか、すなわち、経営戦略の構築を図るべく、経営戦略診断・ 支援に軸足を移していくことが必要である。

なお、このような経営システムの診断・支援は企業の規模、業種、業態に合わせて構築 されるものであり、多くの経営システムが存在し、診断・支援にあたり特定の経営システ ムの強化について重点的に行うよう要請されるケースも少なくない。

5.診断・支援対象の拡大(新産業、地域社会、国際社会など)

診断士の診断・支援対象は、製造業、流通業、サービス業、建設業などの個別企業が中 心であり、その集団や業界なども対象としてきたが、近年、その対象は次のように拡大し ている。

まず、医療、福祉その他生活者向け行政サービスのアウトソーシングなどの経営分野や 農林水産業の分野にも拡大しつつあり、今後ともこれら分野において民営化(公設民営方 式を含む)が行われていくものとみられる(このような経営診断領域の拡大を受けて、診 断・支援の対象として、企業のほか、マネジメントを必要とするあらゆる個人または団体 などを、以下、「経営体」という)。そもそも、これら分野においては、製品・サービスの 安定供給、公平性、公益性などが事業運営の基本的方針とされ、民間企業におけるマネジ メント手法はあまり適用されないできた。しかし、今後はこれら分野における民営化の趣 旨などを踏まえて、経営に関する診断・支援のニーズは高まっていくものと考えられる。 したがって、診断士は、従来から有している経験・ノウハウをベースとして、さらに新し い分野についても必要なノウハウを身につけなければならない。これによって、広い見識 を持った中小企業経営の専門支援者となって、これら新しい分野においても活躍していく ことが期待されている。その際、特に福祉や地域振興などの分野でその役割・活躍が注目 されているNPOとの連携も対応の選択肢の一つとなる。

また、診断士は従来からまちづくり、むらおこし、産地振興などの事業にも参画してき た。今後とも地方分権や行政改革の一環として地域振興策の見直しなどが行われると見ら れる。診断士はその豊富な経験・ノウハウを活かしてこの面の政策提言や地域振興計画の 策定、その実現化のための具体的な支援活動などを行うことによって、地域社会の活性化 に積極的に貢献していくことが期待されている。

さらに、わが図経済のボーダーレス化の進展に対応し、診断士は国際化診断・支援に加 えて、国際診断・支援を行うことも期待されている。

なお、診断士は、自己のクライアントに対して診断・支援を行うとともに、都道府県等 中小企業支援センターなどの公的な支援機関が行う各種支捏事業に積極的に参画していく ことが期待されている。

6.中小企業施策活用・提言実現化の支援

診断士が行う診断・支援の内容を、中小企業の「現状分析」だけではなく、 「企業の成長戦略などの提言」、すなわち経営改善や経営革新に関する提言を含むと理解するのが、 今日では一般的である。しかも、近年ますます後者に関する診断・支援ニーズが高まっている。 このため、診断士は、その中小企業者が利用することができる金融、税制、補助金、 技術支援などの経営革新・創業、セーフティネットなどに関する各種中小企業施策を示し、 その利用方法を具体的に明示すべきである。

さらに診断士の役割は、これで完了するのではなく、 その経営診断(提言)の内容が効率的・効果的に実行に移され、着実に成果が得られるよう、 助言(支援)することまで期待されている。 例えば、製品開発のための連携先の紹介や連携方法の支援、 製品開発後の販売ルートの開拓支援、資金調達支援、 情報システムの開発・導入にあたってのシステム開発業者(ベンダー)との調整などである。

これら具体的支援にあたっては、必要に応じて、 各分野により精通した診断士や他の専門家と連携して、あるいは、 公的支援機関や金融機関、大学、 地域企業などとのネットワークを活用して対応することも必要である。

なお、診断士の活動分野、診断・支援のあり方、診断土に必要とされる知識・能力など に関する「中小企業診断士業務遂行指針」については、 別に定めるものとする。

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MARUYAMA Satosi