企業診断を読む(2008年2月号)

作成日:2008-02-03
最終更新日:

人材育成

人材育成に関連して、聞き手はこう尋ねている。 日本人は社会の目は下に、内側に向いていると。 語り手は、次のように答えている。 そこに目が向いてしまうのはすべてを失うことになりかねない、 二極化を避けることが問題だ。 そして、問い手は語る。 『そういう人たち(ワーキングプア)が、 自分たちで気付いて、自立していく道を見い出さない限りは、 どうにもならない問題であるように思える。』

そう、ワーキングプアが、自分たちで気付いていけるなら話は簡単だ。 しかし、気付く時間がないほど追い込まれているのもまた、事実だろう。 そして、仮に気付いていたとしても、職があるのだろうか。 あるいは、職を作っていけるのだろうか。 確かに、どんぞこから這い上ってきた人はいる。 その率はどれぐらいだろうか。誰も調べていないだろう。

昔、森嶋通夫が調べた結果では、日本での上流と下流の入れ替わり率は、 イギリスより低い、ということだったように思う。 今はだれか調べているのかな。

もうひとつ気になるのは、語り手の次のことばである。 『チャンスは自分でつかむものだとお考えの方が多いかも知れませんが、 この世界(ベンチャービジネスの世界)では、 どちらかというと、しかるべき人に、 チャンスが「与えられる」場合が多いのです。 』 この内容では、なんだ、 努力してもワーキングプアは認められないじゃないか、と思う。 しかるべき人とは誰なのかはわからないからだ。 この前のところで語り手は、『若くしてベンチャーをするような人は、 年上の方から好かれるようでなければいけない』と言っているが、 どうすればそうなれるかについては言っていない。 聞き手はそれを補足して『チャンスは偶然に訪れるものだけれど、 その偶然が降ってくる人というのは、謙虚で誠実な努力家だ』 とあるので救われる。しかし、語り手、聞き手とも、 「努力すれば必ず報われる」式の主張に思えるので、 現実とは離れているようだ。(2008-02-03)

まりんきょ学問所中小企業診断士(休止中)勉強の部屋日誌≫ 企業診断を読む(2008年2月号) 前月< > 翌月


MARUYAMA Satosi