企業診断を読む(2002年10月号)

作成日:2002-10-05
最終更新日:

過去のデータから売上を予測する

今回はビールの出荷量の統計を例とした予測である。ビールは季節商品であるから、 月毎の変動が大きく、また規則性もある。本稿では数量化理論1類を用いて解析している。 この方法も簡便でよい精度が得られるのでいいと思うが、 今回は季節調整法を用いる方法で解析したい。

季節調整法では、第 n 期の値z(n)を次のモデルで予測する。

z(n) = t(n) + s(n) + w(n)

ここで t(n) は第 n 期のトレンド成分、s(n) は第 n 期の季節変動成分、w(n) はランダムな 変動成分である。極端にいってしまえば、トレンドとは、傾向を表すほぼ直線の成分、 季節変動成分とは、1年ごとにくり返す周期性をもつ成分、w(n) は雑音(ノイズ)である。

t(n) や s(n) の形がわかれば、 n を変えていけば将来の予測がつく。これをパソコンで出すにはどうすればいいか。 一つは表計算ソフトでプログラムを組む方法がある。 もう一つはインターネットで行わせる方法である。今回はインターネットを使う方法を試してみよう。

なお、これから紹介するページを利用することによって、 直接・間接を問わず損失や損害が生じても、著作者の方々及びその所属の組織はいかなる責任も 負わないことが明記されているので、あらかじめ御了解のほどお願いします。 私もまた、下記の結果は無保証であることを、あらかじめ申し上げます。

文部科学省の統計数理研究所の佐藤整尚氏が、 季節調整を行うプログラムを開発している。 佐藤氏のページから、 Web Decomp のページがリンクされているので、これを選ぶ。 「Netscape 3.0 以降か IE 4.0 をお使いの方」のボタンがあるので、こちらをクリックすると データ入力画面、パラメータ設定画面、結果グラフ表示画面の3つのウィンドウが出てくる。 データ入力画面に、 この連載の図表1のデータの1996年1月から2000年12月までのデータ計60件を入れる。 すると、分解した結果のグラフと値が得られる。

本当に欲しいのは、この結果から2001年の1月から10月までのデータを予測した結果である。 このような予測値を得るための方法として、 予測したい(あるいは欠落した)個所にわざと極端に大きな値を入れるようにと指示されている。 そこで、 予測値を得ようとして、わざと2001年の1月から10月までのデータに極端に大きな値を入れた (この場合の大きな値とは 1e100 である)。 ところが、この程度の大きな値を入れても10個所にあると、これを欠落値とみなさず、 モデルに組み込んでしまう。そのため、思わしい結果にはならない。 ちなみに、2001年の1月から5月までなら、欠落値としての扱いができる。

一方、産業技術総合研究所の地球科学情報研究部門で、 時系列データ解析のページ が用意されている。ここでの手順を見てみよう。

解析手法には「 season 1変量時系列データを分解」を選ぶ。 その他、データはあらかじめ1000 で割っておくとよい(この場合は立方メートル単位になる)。 季節モデル次数は1、推定を行う修了点は70、フィルター終了点は60を選ぶ。 データ開始は 1996 年 1 月である。そこで「新規解析」ボタンをクリックすると、 Plot Window が出てきて、トレンド成分、季節変動成分がそれぞれ得られる。 これをプロットすると、結果が得られる。こちらによれば、 61期から70期までの予想が得られる。比較は後日行う。

比較を行った結果が出た。次の図が予測結果である。予測1が本誌による数量化 I 類のもの、 予測2が季節調整法によるものである。全体的に、予測2がフィットしていると思う。 数値的に裏付けると次のようになる。予測1による相対誤差率の平均は9.09 % であるのに対し、 予測2による相対誤差率の平均は4.42%である。

地方都市における情報化推進の問題点と解決策

題名からはわからないが、内容はインターネットを利用して販路を広める際の注意点である。 その中で、インターネットの一般的なルールが11点挙げられている。 その筆頭に、「フレームはなるべく使わない」というルールがある。 ここまではっきりといわれるとは気付かなかった。フレームを使ってしまうと、 検索エンジンにそのホームページの内容抜粋が登録されないのである。 ちょうど同じ事例を最近経験した。

私自身のページではフレームを使わずにきたが、ある方のホームページを作る際に、 フレームを使ったサンプルを提供した。 その方は独自で更新を行ってきたのだが、 あるとき検索エンジンに自身のホームページが登録されたことに気付いた。 その検索エンジンの抄録にホームページの内容紹介がないことに愕然としたという。

さて、この記事からの教訓を活かさなければならない。 先の方には、フレームを使わないように勧めないといけない。 そのとき、メニュー欄をどう扱うか、問題となるかもしれない。 記述を重複することになるかもしれない。その他の代替案も示さないといけない。 どうしようか、悩ましい。

"SOHO"ビジネス創造の戦略シナリオ

著者の原田保氏は「SOHO は、 我が国の産業システムや社会システムが確信するためのトリガーとして考えるべきである」 と捉えている。そして「他者からサポートを受ける存在であってはならない」と結んでいる。 原田氏は SOHO の理想像を捉えているのであるから、もとより私が口をはさむ問題ではない。 わたしが気になったのは、外来語が多いことだ。 「したがって、エスタブリッシュド・ハイソサエティであるレジデンスプロデューサにとっては」 という句には思わずおかしくなって笑ってしまったほどだ。 そういう私では、おしゃれな SOHO を目指すこともできないし、 ましてや支援することもできないだろう。

なお、おしゃれな SOHO というのは、私が今かってに作った造語であり、 原田氏の文章には使われていない。この、おしゃれな SOHO の実践者は、 同じ号の対談で出てくる人たちのことをいうのだろう。

前月 翌月
中小企業診断士の部屋へ
まりんきょ学問所
MARUYAMA Satosi