企業診断を読む(2000 年 6 月号)

作成日:2001-12-29
最終更新日:

中小商業・サービス業の生き残り戦略−食品スーパー

2001年の暮、新聞の折り込みチラシを見ると 地域の小規模スーパーのチラシがあった。駅から1分の好立地のスーパーなのだが、 チラシには、「完全閉店売り出し」とあった。 地元で 22 年間やってきたが、廃業するということであった。 この店に昔はたまに行っていた。引っ越し前はここのスーパーが一番近かったからだ。 引っ越し後は遠くなってしまったのでめったに行かなくなってしまった。

廃業に至った理由は、おそらく駅前にできた鉄道系のスーパーの影響が大きかったからだろう。 駅前のスーパーは半年前にできて、売り場面積も 3000 m2ほどあり大きい。 小規模スーパーは食料品だけではあるが 300 m2もなく、 どうしても規模で負けてしまったのだろう。 食料品のほかは花も売っていたが、品揃えは少なかった。 また、POS もない素朴な店であった。 ひょっとしたら、最近立て続けにこのスーパーの周りの喫茶店と写真屋が店を畳んだことが 追い討ちをかけたのかもしれない。

駅前のスーパーだけの影響なら、まだ惣菜に特化するとか、 宅配を中心とするとかで生き残る策はあったかもしれない。 しかし、少し離れた場所にオリジン弁当ができたため、 惣菜でも競合してしまうことは目に見えている。 また、宅配サービスも、この駅前のスーパーがすでに実施している (午後2時前に申し込めば200円で可能)。また、商圏も若夫婦から中年夫婦までがほとんどで、 相対的に宅配の需要は少なめである。 むしろ、大規模な駐車場が用意されている店を志向するライフスタイルの世帯が多い。

そう考えると、この記事で紹介されているような対策だけで生き残るのは難しいように思える。 といっていては、診断士としては失格なのだろうか。

なお、この感想を書くにあたって苦しんだことは、店の売り場面積がつかめなかったことだ。 同居人ならわかるに違いないが、どうか。

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MARUYAMA Satosi