2012 年度 中小企業診断士一次試験問題

作成日:2021-04-12
最終更新日:

統計の問題

統計の問題は、経営情報システムの分野に出ている。 以下、解答を試みる。

経営情報システム

経営情報システムの第 24 問は次の通り。

第24問
あるコンビニエンスストアチェーンの調査部では、各店舗の売上高を、半径 1 km 圏内の大学などの重要拠点数と地域人口で説明する重回帰モデルで分析している。 これに関連する記述として最も適切なものはどれか。

ア 重相関係数が負の値をとることはない。
イ 自由度調整を行っても、決定係数が負になることはない。
ウ 自由度調整を行うのは、パラメータの数に比べてデータの数が相対的に多い回帰式で、 見かけ上の決定係数が高くなるからである。
エ 独立変数が 2 つなので、最小 2 乗法は使えない。

統計は忘れてしまったが、常識から考えてみよう。

まず、重相関係数は負の値を取りうる。これは、単一変数の相関係数が負の値をとるのと同じ理由である。 それから、独立変数は2つ以上あっても、最小二乗法は使える。というより、最小二乗法が重回帰モデルを分析するときの、 最初の方法である。だから、アとエは不適切である。 では、イとウのどちらが正しいか。だいたい自由度調整の意味がわからないから、手が出せない。 いつものことながら、AIC を使えば一発なのに、と思う。

経営情報システムの第 25 問は次の通り。

1 日平均 50 万円の売上高がある店舗で、商品の新しい陳列方法を 1 週間試行してみたところ、 1 日平均売上高が 52 万円になった。しかし実際には新しい陳列方法に効果がなく、 たまたま他の理由で 1 日平均売上高が高くなったのかもしれない。
これに関連する記述として最も適切なものはどれか。

ア χ2 分布を利用して平均売上高の差の検定を行うことができる。
イ 売上高の観察データを分析して、仮説が正しいといえるかどうかを調べることを仮説推定という。
ウ 実際にはそうではないにもかかわらず、新しい陳列方法で「売上高が増えた」と誤判断する誤りを、第二種の誤りという。
エ 真の平均売上高が 50 万円なのに、1 週間の平均売上高がたまたま 52 万円になる確率を二項分布を利用して計算することができる。

イは違うような気がする。仮説推定ということばはあまり聞かない。仮説は検定するものだ。 それに、仮説検定であれば、通常は帰無仮説であるから、仮説が誤っているか否かの検定である。
エも違うような気がする。理由はうまく言えないが、違うだろう。
さて、アかウであるが、ウはどうだろうか。いつも第一種の誤りと第二種の誤りを混同しがちなのであるが、 第二種のほうがより罪が深い誤りであることは覚えている。つまり、本当は差があるのに差があることに気づかずに、 見過ごしてしまう「ぼんやり者の誤り」であるからだ。だからこの場合ぬか喜びして「売上高が増えた」 としてしまう誤りのほうがまだ救われる、ということだ。なお、第一種の誤りは「うっかり者の誤り」と呼ばれる。 ということは、アか。本格的な統計をやっていれば、アの文意から、その通り、適切だ、と言えるのだと思うが、 わたしには χ2 分布がよくわからない。

答え合わせをしたら、24問がアで25問がエだった。どちらもペケだ。お恥ずかしい。

まず、第24問。アの重相関係数は、0以上である。これは知らなかった。イもウも不適切ということだが、この理由はあとで調べよう。

次に、第25問。平均売上高の差の検定はカイ2乗分布を使うのではないらしい。エが正しいということは、 たまたま52万円になる確率を2項分布を利用して計算できる、というのだ。ではいったい、どうしたら計算できるのだろうか。

まりんきょ学問所中小企業診断士(休止中)勉強の部屋試験問題 > 2012 年度中小企業診断士一次試験問題


MARUYAMA Satosi