2008年度 中小企業診断士一次試験問題

作成日:2009-01-20
最終更新日:

統計の問題

統計の問題は、運営管理と経営情報システムに出ている。 以下、解答を試みる。

平均の差の検定

経営情報システムの第23問は次の通りである

立地の異なる当社の2店舗で、それぞれ一ヶ月間の日次売上高データを集めた。 平均日次売上高に差がないという帰無仮説を統計的に検定したい。 それぞれの母集団の標準偏差はわからない。 しかし、データを調べたら両標本の分散が異なっていた。 分析方法として、最も適切なものはどれか。

ア ウェルチ(Welch)検定を行う。
イ カイ二乗(χ)検定を行う。
ウ 二元配置分散分析を行う。
エ 二標本による平均のZ検定を行う。

こんなの行わなくてもAICを使えば一発なのに、というのが私のかねがねの主張である。 さて、自分の知識でどれが正解かを選ばないといけない。

まず、ウではない。二元配置の分散分析は、 ある事象がPか、Pでないかというデジタルな事象を比較するためのものであるので、 対象となる売上高に適用することはできない。

次に、イでもないだろう。カイ2乗検定は、 その母集団が正規分布かどうかの検定に用いるのではなかったか。 目的にはそぐわない。

残りはアかエだが、どちらでもないような気がする。 かろうじて、Welch 検定という名前は聞いたことがあるが、 Z検定は聞いたことがない。よって、アにする。

アは正解である。しかし、もともとの仮定が微妙なのである。 なぜ、最初から両標本の分散が違うとわかるのか。 もちろん、標本の分散は計算できる。しかし、違うということは、 本来仮説検定しないといけないのである。

そういうこともあって、わざわざ Welch 検定などを持ち出さなくても、 AIC 一本で考えられる、ということだ。

正規確率プロット

経営情報システム第24問である。

当社の一ヶ月間の日次売上高データを集めた。 このデータの統計的分析方法を検討するために、 まず正規確率プロット図を作成する。 この場合、最も適切なものはどれか。

ア S字形になったので、売上高データは正規分布している。
イ 正規確率プロット図は、正規分布をするデータでなければ作成できない。
ウ データの順番に対応する標準化値を求める。
エ 山形の正規確率プロット図になったので、売上高データは正規分布している。

解答をどう考えようか。 このような、正規確率プロットというのは知らない。 イとウは除かれる。エは怪しい。正規確率分布なら山形になるが、 これはプロットである。アにしよう。

残念ながらウでした。 考えは次のように進めるべきだったのだ。 普通、プロットするからには、適合性を見るためには直線を必要とする。 直線にするために、片対数グラフや両対数グラフを使うのだ。 そこで、 プロットしても山形とかS字形ということになるのが怪しいと見抜かなければならない。

正規確率プロットとは、正確にいえば正規確率紙へのプロットであり、 正規分布であれば確かにこれは直線になる。 青木先生の、 正規分布へのあてはめを見れば、 確認できる。

正解のウであるが、問題文と上記参照ページの対応をとろう。 まず、データの順番に対応するのが階級に対応する。 また、標準化値に対応するのが相対累積度数というわけである。

負け惜しみをいうのではないが、正規分布のあてはまりを調べることで、 次に何ができるかを調べるのが本当の統計解析の始まりである。

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MARUYAMA Satosi