1人の前立腺癌死を減らすために48人余計に治療
The New England Journal of Medicineの3月26日号に出た欧州の論文で集計したのは、PSA検診群が72952人と対象群が89435人。
平均9年間のフォロー中に、PSA検診群では5990人(8.2%)の前立腺癌が見つかり、対象群でも4307人(4.8%)の前立腺癌が発生しました。
検診群のうち214人(0.29%)が癌死し、対象群のうち326人(0.36%)が癌死しました。
PSA検診をすることにより死亡率が0.29%から0.36%へと20%(0.29/0.36=0.8)減少することが示されたわけです。
この減少率は
危険率4%で有意な結果です。
危険率4%というのは、死亡率に偶然20%も差が出ることは(72952人と89435人も調査した場合)
100回に4回しかない、ということです。
PSA検診群72952人と対象群89435人をそれぞれ1万人に換算すると、
PSA検診群1万人当たり821人前立腺癌が見つかり、29人が前立腺癌で死亡、
対象群1万人当たり482人前立腺癌が見つかり、36人が前立腺癌で死亡したことになります。
さらに1410人当たりに換算すると
PSA検診群1410人当たり115.4人前立腺癌が見つかり、4.1人が前立腺癌で死亡、
対象群1410人当たり67.7人前立腺癌が見つかり、5.1人が前立腺癌で死亡したことになります。
PSA検診を1410人に行えば、48人多く前立腺癌が見つかり、そのおかげで前立腺癌死を一人減らせることになります。
言い換えると、一人の前立腺癌死を減らすために、48人余計に前立腺癌患者を治療しなければならない、ということにもなるわけです。
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