子連れ隼(続・ママブサ)

 梅雨の隙間の、貴重な「降らない日曜日」に朝駆け。
 コースはいつも通りの箱根往復だけど、こんど初めて子供を1人乗せてった。

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 これまで子供をタンデムに乗せたのは、幼稚園の送り&迎えとか、せいぜい30分程度のお散歩までである。ツーリングに連れていくのはいいが、装備やらなんやらなんにも考えていなかった。思いついたのが前の晩だったのであんまり時間が無かったんだけど、えぇと、何かあるかな?
 まず服装。僕はいつもバイクに乗るときは革パンツ(最近パンチ(穴)メッシュのを買ったから、1年中革パン野郎になりました)とライディング・ジャケットを着てるけど、子供のは何もない。自分だけ重装備で子供は普段着〜?とちょっと罪悪感も感じたけど、無いモノは仕方ない。アリモノで可能な限り頑張ってみるか。

 ズボンはジーンズでよかろ。上もジーンズなら少しは耐久性が期待できるかな、とジージャンを選んでやった。中は2枚着せたけど夏とは云え、高速使うし、朝早いし、山の上だし、寒いと困るのでウィンドブレーカを持っていった。(案の定寒くて高速に上がる前に着せるはめになった。大正解)
 グローブは、スキー用のはいかにも大げさだし、毛糸のじゃなぁ…と思っていたらアウトドア用の軍手があった。足下はブーツってほど大げさじゃないけど、くるぶしが隠れるハイカットのシューズをチョイス。ま、今回はこれでよしとしよう。

 タンデムについては、例のママブサを使用。低速での有用性は実証ずみ。
 この手製チャイルドシート、車幅の問題で足置きをとっぱずしたせいで足がぷらぷらしちゃうことが弱点なのだけど、近くまでならよかろう、と対策していなかった。でも、こんどは長距離ミッションだから、これじゃ疲れるよなぁ。えぇと、もともと付いていた足かけを折り曲げて改造するか、ストラップで「アブミ」でも作ってやろうか…。
 検討のために一度乗せてみたら、なんとタンデム・ステップに足が着くではないか。反対側もばっちり。あらまぁ、君、成長したんだね…。おー、よしよし、結果オーライだな!(いや、何もしてないんだけどね(^^;)
#もし足が届かなければ、タンデムステップまたはそのステイの方にスペーサー(ゴムのブロックなんかをタイラップで)でもくくり付けるといいかも知れないですね。

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 翌朝。
 予定時刻前に何度か目を覚まし(こういうところが我ながらコドモだ…(^^;)、朝4時半に起床。長女に声を掛けると一瞬でぱっちり目を覚ました。
 用意の服に着替えて、5時前には出発した。前夜に朝駆けするよ〜っと書き込んでおいたのでネットチェックしてみたが、参加表明者はいないようだ。じゃぁ、今日はのんびり親子ツーと行くか。

 夏至のころだ、夜明けは早い。既にだいぶ明るかったけれど、曇っているせいもあって肌寒い。途中のコンビニで眠気覚ましのキャンディを買って、ついでに娘にウィンドブレーカを着せると、用賀から東名に上がった。
 さすがに子連れでは飛ばすわけにはいかない。せいぜい時速120キロまでで、一番左の車線を巡航。隼でバシバシ抜かれるの初めてだ。ときどきバックミラーを曲げてタンデムの様子を見るが、手など振っていてご機嫌のようだ。よしよし。
 東京インターをETCで通過。のんびり走行なので時間が掛かったが20分弱でエビバーに到着、奥のほうのバイク駐輪場に隼を停めた。腹ごしらえがまだだったので、おむすびとメロンパン(名物なのか? 5時半に開店するなり何人も買いに来ていたぞ)を買い、バイクのそばで朝食を取った。長女と2人でお出かけというのも珍しいが、朝食を外で食べるというのもレアだ。娘はかなりはしゃいでいて、スズメにパンくずなぞを投げてやったりしていた。

 ドタ参のバイクも特になかったので、食べ終わってからゆっくり出発。厚木から小田厚へ、いつものルート。…と、その時後方で異変が。背中に何か当たったような。ミラー越しに後ろを見ると、ちゃんと手を振ってくる。…はて?
 数分もすると、黄色いヘルメットが傾いている。やはり寝ているか…。

 チャイルドシートのベルトは、転倒時の危険防止のために装着していなかったが、寝てしまうようでは転落の方が心配だ。途中で一度止めて、4点式シートベルトを装着する。娘は自分が寝ていたことを認識しておらず、「寝てなんかいないってば!」と言い張っていた(^^;

 小田原から、はてどう上がろうか? いきなりきついカーブのところに連れて行って、怖がられたりしちゃ困る。となれば…。
 小田厚の終点から下道に降りて、改めてターンパイクの入り口へ。ターンパイクはETCが使えないので料金所の手前で小銭を用意するためにいったん端に寄せたところ、どこかで見たヒトが近づいてきた。背後に黒ブサ? あ、どこかで見た、どころではない。4日前に夜に東雲ライコでミーティングナイトライフナイトライコランド・オをやったときに来てくれた、ヤスヤスさんじゃないかっ! なんでこんなところで待ってんだ? だって、ターンパイクに来るとは限らないってのに。ひょっとしてこちらの考えが読まれている? あるいはこないだ会ったときに発信器でも付けられてたのか(迂闊!) ヤツの狙いはいったい何だ!? 

 …などと妄想していたが、実はヤスヤスさん、時間の都合をつけてドタ参を試みたのに、5時半エビバーに間に合わなかったらしい。もう誰もいないだろうナ〜、と海老名SAはスキップして(もし寄っていたらメロンパンをついばむ我々親子と遭遇していたことだろう)一人で朝駆けしていたところ、シルバーのポルシェに絡まれ遊んでいた、とのことだった(キリンごっこ?)。そのあと、ターンパイク入り口でそのドライバーと暫くおしゃべりして、ちょうど別れたとこだったそうな。なんたる偶然…。


ヤスヤスさんとこの隠し子 ヤスヤスさんとウチの子
(プライバシー保護の為、一部画像を修正してあります…)

 ヤスヤスさんも用事まえの朝駆けとのことで、あまりグズグズせず、出発。僕たち先行でターンパイクに入った。タンデムに、頭をヘッドレストに押しつけてグリップに掴まっているように指示し、スタート。はじめはかなりゆっくりコーナーを回っていったが、途中から腰を落として多少バンクさせていった。コーナーで怖がってないかな…と心配したが、路側帯で休憩中の他のライダーに手を振っていたりしてたので(中速コーナーをバンク中なのに…)、全然余裕のようだった。ちなみにチャイルドシートであるが、後ろで見ていたヤスヤスさんによれば「後ろから見ていても安定性バツグン」とのことだし、ツーリング・アイテムとしても十分実用に耐えうるという印象を持った。

 大寛山PAでヤスヤスさんとお別れし(はぐれた…に近い別れ方だったけど(^^;)、芦ノ湖でひと休み。もっと遅い時間に来れば遊覧船とかおみやげ屋さんとか子供の喜ぶこともいろいろあるのだろうけど、まだ朝7時すぎだからなぁ。空も灰色で、富士山も見えないし。子連れんときは朝駆けは不向きだなぁ…。(ま、心配をよそに、娘は湖で海賊船やマスやコイを見付けては写真をとり、エビを発見しては水にはまりかけ、対向ライダーにはピースを振り&振ってもらい、それなりに楽しんでいたようであるが)

 置いてきぼりのヨメと長男におみやげを買っていってやろう、ということで、帰りは湯本の方に回ることにした。 国道1号を下るうちに少し車が増えてきたせいもあって、のんびりペースでの下り道。気温も上がってきて、右に、左にゆるやかにカーブを繰り返すうちに、またタンデムの様子が怪しくになってきた。ときおり背中に、トンとヘルメットが当たる。ヒザを叩いてやるとはっとして、元に戻るのだが、しばらくしてミラーを見ると首がかっくり落ちている。あかん、だめだこりゃ…。危ないので一度停める。シートベルトをギュッと締めたら、頭が軽く傾く程度に改善した。


バイクを停めて、僕が降りてもまったく起きる気配なし。
子供特有の爆睡状態。

 8時過ぎ、湯本で一軒だけもう開いていた土産屋で、おみやげ探し。娘に選ばせ、長男には「ノシ梅」を、ヨメには蒲鉾を(おい、それ一番高いやつ…(-_-;;)、自分用にはハローキティのミニ・タオルを買い、帰途についた。
#湯本では、駅より100mばかり登ったところにある「湯もち」が、しあわせな甘味でお勧め(^^) そこから数軒下った梅干し屋(藤屋だったかな?)も、昔ながらの塩と紫蘇だけで漬ける梅干しで美味しいです。紫蘇巻き梅干しがイチオシ。
 しばらく寝たせいか帰りは完全に覚醒。周りの車に愛想を振りまいたり、両手を翼にして鳥になってみたり、時速120キロの走行風を「モミモミ」したりして遊んでいた。(恥ずかしいって(^^;;)




 初めて手製チャイルドシートを使ってのツーリングでしたが、一応成功のようです。ただ、やっぱり子供だけに寝てしまうと転落が怖いですね。この点ママブサだと、肩のところからシートベルトがかかるし、きつめに締めてやれば胴体は固定されるので、転落は防止できます。難点は、転倒時にバイクと離れることができた方が安全だということ。強い力がかかったとき外れるようにできればいいのでしょうけど、それは難しそうですね…。
 今回のように通常はベルトを使用せず、寝てしまったときだけ装着するというのを、一つの解決として提案としておきます。
#ベルトを使用せず、フトコロ側から発泡スチロール性のサポートでもあてがっておくと良いかも知れないですね。ネンネまでの時間が短縮されそうだけど(笑

 例のスタマタキスとの比較では、メリットこそあれ、デメリットは特に見いだせませんでした。腰から下の部分だけでサポートするスタマタキスではおそらく寝てしまったときの転落は防止困難でしょう。
 加速時にも頭部をサポートするヘッドレストがあり(しかも高さも調節可能)、肩から固定ができ、さらに安価である。ブサのように簡単にタンデムシートが換装できる仕様のバイクであれば、「ママブサ」計画は十分有用である、と結論しておきます。

Jun.26th.2006
___PoN___