「わあ、おうちみたい!」
2階のレストランに初めて来られたお客様がよく口にされる言葉です。
「すごくスロヴェニアっぽい雰囲気ですね!」
これは、スロヴェニア人のお客様がよく口にされる言葉です。
ピカポロンツァは一軒家の2階にあるレストランです。
普通の住居を改装したので、階段もせまくて急な勾配、天井も低く、席数も少なめでこじんまりとしています。派手な演出も流行のインテリアもありません。あるのは、大きな窓いっぱいの緑、低めの椅子とテーブル、そしてスロヴェニアの民芸品や風景写真の数々。まるでお家みたいに落ち着ける、ゆったりとした雰囲気の店です。
スロヴェニアでは、豊かな自然の中で、人々は素朴な美意識を大切にしながら、人生を楽しんでいます。日本よりもゆっくりと時間が流れているような印象を受ける国です。
ピカポロンツァに来られる方にも、そんなゆっくりとした時間を過ごしていただきたいと思って店作りをしています。まるでスロヴェニアの友人の家に遊びに来たような気分でお食事を楽しんでもらえたらうれしいです。
靴を脱いでお上がりください。
とても急な階段を上ると、そこには小さなスロヴェニアが待っています。
階段の上り下りが難しい方はお申し出ください。1階カフェ席にご案内します(但しお手洗いは3階です)。
店内にはスロヴェニアの小物がたくさん飾ってあります。カレンダーや写真も、スロヴェニアの風景です。何気ないものにも意外な意味が隠されていたりして、小さな発見がいっぱいですよ。
和紙のちょうちん風の照明。
実はこれも、スロヴェニア風なのです。日本のちょうちんをモチーフにした照明は欧米でも人気ですが、スロヴェニアの家庭でも広く使われています。
1.
2001年10月1日、日本に住み着いた食いしん坊の"ヘンなガイジン"イゴールが自宅を改装して、日本人の妻と2人でお店を開きました。
「故郷スロヴェニアの料理をくつろいだ雰囲気で食べてもらえる店にしたい」というのが2人の思いでした。
靴を脱いで2階に上がるお家みたいなレストラン「ピカポロンツァ」の始まりです。
2.
ピカポロンツァが生まれるきっかけとなったのは、ギバニッツァというスロヴェニアの伝統的なお菓子です。
留学生時代から料理が得意だったイゴールは、このギバニッツァを作って仲間にふるまったり、知り合いのレストランや喫茶店に頼まれて作ったりしていました。
ピカポロンツァ開店の2年ほど前、イゴールはそれまで携わっていたコンピュータソフト開発のプロジェクトが終了し、次の道を模索していました。そんな時、お友達に誘われて京都近郊の自然農園のお祭りに参加しました。そこで得意のギバニッツァを皆さんに食べてもらったところ、大、大、大好評!そして、そこから次々と、イベントでギバニッツァを出してほしいという依頼が相次いだのです。ギバニッツァはどこへ行っても大評判。そこで、これを次のビジネスにしてみようか、と考えるようになりました。
まずは『ギバニッツァ屋 ピカポロンツァ』として、ギバニッツァの宅配から始めました。だんだんお客様が増え、イベントなどで販売するようになり、ギバニッツァの種類も増やし、そば粉のパンも作り始めました。
そうするうちに、いつでも買いに来てもらえる店が持ちたいと思うようになり、ギバニッツァとそばのパンが食べられる
『スロヴェニア風カフェ ピカポロンツァ』を開店したのが2001年10月1日、というわけです。
最初はランチとカフェだけでしたが、ディナーも食べたいというお客様からの声が増え、ランチ&ディナーをご提供する現在の『スロヴェニア料理店 ピカポロンツァ』の形になっていきました。
3.
店名のピカポロンツァは、スロヴェニア語で『てんとう虫』という意味です。
てんとう虫をそっと捕まえて指にとまらせると、指先までチョコチョコ歩いて、そこから飛びたって行きます。
スロヴェニアの子供たちはその時、【てんとう虫、飛んで行って、幸せを持って帰っておいで♪】と歌います。
てんとう虫は幸運のシンボルとして、スロヴェニアでもたいへん愛されているのです。
私たちもてんとう虫みたいに、皆さんに幸福をプレゼントできる店でありたいな、という思いを込めた店名です。
ところで、うちの店名のピカポロンツァはアルファベットで「PIKAPOLONCA」です。スロヴェニア語でもピカポロン
ツァと発音しますが、文字で書く時には「PIKAPOLONICA」というスペルになります。
つまり、うちの店名には[I]の文字が一つ抜けているのです。どうしてかって?!
実はこんな裏話がありまして…
開店を決めた時、スロヴェニアの親戚にPIKAPOLONCAという店を開店するよ!とメールしたところ「スペルが間違っ
ているよ。ピカポロンツァは、文字で書くときはPIKAPOLONICAだよ」という指摘を受けました。慌てて辞書で調べた
のですが、うちの辞書にはPIKAPOLONCAと、ちゃんと書いてありました。それで相手が間違っているのだろうとその
まま店名にし、サイトや看板にも堂々とこのスペルを使ったのですが、他のスロヴェニア人たちからも同じ指摘をうけた
ので、よくよく調べたら、なんと!うちの辞書が間違っていたのです!(笑)
辞書に間違ったスペルが載っているとは思いもしなかったので、まぁ驚きましたが、おかげで、世界にたった一つしかないピカポロンツァになれたわけです。スロヴェニアを探せば、PIKAPOLONICAという店名はいくつかあるでしょうがPIKAPOLONCAはうちだけですからね!
4.
「日本人の口に合わせているのですか?」と、よくご質問いただきます。日本の皆様にそれほど食べやすく感じていただ
けるのはたいへん嬉しいことですが、特に合わせているつもりはないのです。スロヴェニアの伝統的な味、おふくろの料理の味、若いころに食べた味など、イゴールシェフの中にある【スロヴェニアの味】
を、表現した味付けです。
イゴールはこう語ります。
自分がおいしいと思えるものしか出したくないし、それは絶対にゆずれません。
日本人がおいしいと思う味は・・・と考えたら、料理ができなくなりそうです。
ただ、「日本にあるおいしい素材はどんどん取り入れていくつもりです。スロヴェニアにこの素材があれば、こういう風に使われているだろうな、とイメージして料理します。」
ちなみに、ピカポロンツァにはスロヴェニア人のお客様たちも来られますが、みなさん「おいしい!こんなうまい店はスロヴェニアにもないよ!」と言ってくださいます。つまり、スロヴェニア人が食べてもおいしい味付けだということ。
どの国の人が食べてもおいしい!と笑顔になれるインターナショナルなスロヴェニア料理を作り続けたいと思います。
5.
ピカポロンツァの料理やパン、お菓子は手作りです。できるだけフレッシュなものを食べていただきたいので
、少量生産にこだわっています。そのため、メニューにある商品が売り切れてしまうこともありますが、どうぞご理解くださいますようお願いいたします。
6.
当店は2001年の開店以来ずっと、全席禁煙を続けています。「 食事を楽しむ」というのはただ食べるだけではなく、空間や時間を楽しみながら、料理そのものをじっくり味わうことだと思っています。そして、そんな時にはやはり、タバコの煙はどうしても邪魔になってしまうのです。普段吸っている方でも、食事中に誰かのタバコの煙が流れてきて不快に思ったことってありませんか?
料理は、味だけではなく香りも欠かせない要素ですからね。ですから、煙のない空間でお食事を楽しんでいただくため、禁煙にしました。当時、禁煙のレストランはほとんどなかったので、禁煙にするにはかなり勇気が必要でした。今では公共の場での禁煙、分煙は当たり前となり、禁煙のレストランもとても多くなりました。私たちも勇気を出して禁煙にして良かったと思っています。
7.
ピカポロンツァでは、お食事の時にお箸をお出ししています。
もちろんスロヴェニアではナイフとフォークを使って食事をしますが、やはり、ここは日本のスロヴェニア料理店。 日本の皆様にとって一番使いやすい道具で、食べていただこうと、お箸をお出ししています。向こうの伝統的な料理を食べていただくからと言って、伝統的な作法で食べる必要はないと思います。伝統は、守るために生まれたのではなく、それが良い方法だから受け継がれたのだと思うからです。
いつでも、ベストな方法を、人が最も心地よく過ごせる方法を考えていけばいいと思っています。
8.
「子供も連れて行ってもいいですか」というご質問をよく受けます。
はい。ピカポロンツァは、お子様連れも大歓迎です。
「子供でも食べられる料理ですか」と聞かれる方もおられます。
はい、だいじょうぶです。当店の料理はスロヴェニアの家庭でお母さんが作るようなやさしい料理。味付けもマイルドで自家野菜などこだわりの素材を使う体にもやさしい料理ですので、お子様にも安心して食べてもらえます。
お食事のあと退屈されたお子様には、絵本やおもちゃをお貸しいたします。
お子様も、親御さんも、くつろいでお食事を楽しんでもらえる場所でありたいと考えています。料理の量やアレルギーに関することなども、どうぞお気軽にご相談ください。
お子様にも「おいしかった!楽しかった!」と言ってもらえるように頑張ります。
ただし、ほかのお客様のご迷惑になることや、危険なことについては、親御さんがご注意いただきます様お願いいたします。