オーナーシェフ イゴール・ライラ
イゴールってどんなひと?彼が最初に料理を学んだ場所は料理上手だった母の台所。
市場に買い物に行き、旬の素材を使って伝統的なレシピを守りなが
ら、家族みんなが喜ぶ品々を手間ひまかけて作ってゆく。
そんな昔ながらの愛情料理が彼の原点です。
そしてもう一つ、彼に大きな影響を与えたのは、郊外の農園での生
活。少年時代の彼は毎年、夏休みの大半を親戚の農園で過ごしまし
た。早朝からのパン作り、大きなかまどで煮るシチュー、搾りたて
の牛乳で作るサワーミルク、牛や豚、鶏の世話・・・
たくさんのおいしい思い出と共に命と食の大切さを実感ました。
スロヴェニアの伝統料理のレシピは日本に来てから独学で学びまし
た。その学びを支えたものは、生まれ育ったスロヴェニアでの美味
しい記憶の数々です。木登りして食べたさくらんぼの味、森のキノ
コ狩り、朝市に並ぶ色とりどりの野菜、アドリア海をクルーズしな
がら味わった地中海料理、仲間と語らいながら飲み明かしたスロヴェ
ニアワインの味…
数え上げたらキリがありません。
心に刻まれた美味しさの記憶と、料理への愛情、日本の自然と文化
を大切にする気持ち、それらすべてが彼の料理のかくし味です。
古いアルバムに残るライラ家の食卓の写真。料理上手だったイゴールの母は、大家族の食事を1人でまかなっていました。
クリスマスやイースターには、母が夜明けから準備したごちそうがテーブルに並びました。
食いしん坊でいたずらっ子だった子供時代には、おいしい記憶が
ぎっしりと詰まっています。
近所のさくらの木に登り、夢中でさくらんぼを食べて叱られたのも今では良い思い出です。
子供の頃に毎夏を過ごした農園はスロヴェニア南東部のブレゾヴォ村にありました。
命と食の大切さを学んだ豊かな日々は、村の風景と共に今もしっかりと心に刻まれています。