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| ついにバチカン市国に足を踏み入れる。 |
| 国境線には簡単な柵と警備兵が一人。 |
| ガイドさんが「パスポートを用意して」という。 |
| 素直に出そうとするとそれは冗談。 |
| まんまとはめられてしまった・・・。 |
| 大きな広場を囲むように回廊が連なり、 |
| 中心にはカトリックの総本山である |
| サン・ピエトロ寺院が鎮座している。 |
| 逆光に浮かび上がるその姿は、 |
| まさに聖域と呼ぶにふさわしい。 |
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| 今年は聖年に当たる年。 |
| 寺院向かって右側にある聖なる扉は |
| 25年に一度のこの聖年にしか開かない。 |
| どんな人でも、この扉をひとたびくぐると |
| 全ての罪を赦されるそうである。 |
| 祈りを捧げながら扉をくぐるシスター。 |
| 私も緊張の面持ちで扉を抜ける。 |
| 当然、具体的な変化が現れるわけではないが |
| 新鮮な空気を体の奥深くまで吸い込んだような |
| そんな喜ばしい気分になった。 |
| ちなみにスリはこの扉をくぐっては罪を洗い流し |
| またちまたに出てきてはスリをはたらくという。 |
| そんな知恵があるのだったら、 |
| 手に違う職を付ければいいのに・・・。 |
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| 堂内は、信仰を捧げる人々の |
| 心のざわめきで埋め尽くされている。 |
| 祈るという静かなる行為が、 |
| これほどの力を生み出すとは。 |
| この場の独特な空気に、 |
| 言葉を発することが出来ない。 |
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| 扉を入りすぐ右手に、 |
| 防弾ガラスに守られた「ピエタ像」がある。 |
| ミケランジェロ25歳の作で、 |
| 時が流れを止めてしまったかのような、 |
| 永遠の美しさに包まれている。 |
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| 一番奥、左手の祭壇ではミサが行われている。 |
| そのためちょうど明かりが灯されており、 |
| 荘厳な雰囲気がさらに増す。 |
| →正面下部の明るい光は聖ペテロの司教座。 |
| 中央部の棒状の光の上、アーチ部分は |
| ベルニーニ作の見事なブロンズの天蓋。 |
| その上がミケランジェロ作の大クーポラとなる。 |
| イタリアでは聖堂内でのフラッシュ撮影は |
| ほとんど禁止されていたが、 |
| このピエトロ寺院は許可されていた。 |
| なので、一応遠慮しながらもシャッターを押す。 |
| 20世紀最後の年に、 |
| こうしてここにいられることに感謝して・・・。 |
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| さてこの日の昼食は、ツアー中唯一の和食。 |
| ローマ市内でも有名なレストランへ |
| 地下鉄で移動の予定。しかしアクシデント発生! |
| なんと日曜日には切符を売る店が休みという |
| 信じられない状況で、一行30人は何十分も |
| 新鮮な刺身を目指し、歩き続ける羽目となる。 |
| ようやく口にした食事の美味なること、 |
| 筆舌に尽くし難し。会話もそこそこに箸を動かす。 |
| 和食の膳の良いところは全体量が見えること。 |
| 順番に温かいものをサーブされるのもうれしいが |
| やはり食べきれる量と確認できないと不安だ。 |
| ところで和食ブームというイタリア、この膳の量で |
| 果たしてお腹も心も満たされるのだろうか? |
| 膳を食べつつ禅修行、ってとこかな。 |
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