アメリカ版TENNIS
1997年9月号
僕のサービスの秘訣を学ぼう
文:Pete Sampras、プレイング・エディター
  Alexander McNab


キャリアのこの段階では、僕のサーブは他のストロークと同じく、本能的な動きになっている。どうやって打つか、精密に説明する事はできない。しかし写真と描写により、僕が気をつけているカギと、腕の手入れについて示す事ができる。

ビッグサーブを打つ時の僕の目標は、相手が僕のミスを願うしかないようにする事―――エースを狙う事だ。時々それが完璧に行く。1回は1995年USオープン決勝アンドレ・アガシ戦での事だった。僕は最高のリターナー相手に、4本連続でサービスエースを決めた。

ピッチャーが1イニングで連続3三振をとる事と、おそらく比較できるだろう。めったに起こらない………僕のキャリアでせいぜい3〜4回だろう。しかしサーブの調子がいい時は、僕はラインから1〜2インチの所にボールを打ち、大した苦労なくサービスゲームをキープできる。

君たちのサーブにも応用できる、いくつかのキーポイントを挙げてみよう。

いろいろ取り混ぜよう
誰に対しても、特にアガシのような素晴らしいリターナーに対しては、いつも同じ所にサーブを打たないようにしている。もしそうしたら、最終的に彼はボールを捕らえるからだ。僕はボールを散らすようにしている。

狙いすぎないようにしよう
サーブに入れ込みすぎると、僕はトラブルに陥る。あまりにライン際を狙いすぎると、打ちすぎて、サーブはネットにかかるか、長くなってしまう。

リラックスしていよう
いいリズムの時は、あまり強く打たない。力まずにただボールをヒットする。
これは理想的なサーブの打ち方である。リラックスして、ボールを放り投げ、ぶっ飛ばそう。



身体を傾け、そして伸び上がる

試合の前や重要なポイントの前、トスを前方に上げ、ボールに向かって激しく伸び上がる事をいつも自分に思い出させている。ひねりを戻して打つ際、コートに対してある角度まで伸び上がる。上への力は足から来る。

理想的なトスの位置は繰り返し練習して見つけるが、時に、特にプレッシャーのかかる場面では、いいトスとまずいトスの中間という事もある。

トスが後ろすぎると、サーブは長くなる。前
すぎると、サーブはネットにかかってしまう。低すぎると、ミスをするか、たとえ入っても、充分な力を伝えられない。ボールを打つ時に、いっぱいに伸び上がってインパクトできる位置にトスを上げたい。

この2ページの写真は、身体の傾け方、伸び上がり方のよいモデルである。しかし実際の試合の場面では、伸び上がり方はさらに爆発的になる。


僕の3種類のサーブ

僕のサーブはとても読みにくいと言われている。なぜか? それは子供時代のコーチ、ピート・フィッシャーが考案したドリルによるものだろう。サービスモーションの途中、トスが最高点に達した時に、彼は僕にどんなサーブを打つか―――フラットか、スライスか、キックかを指示したものだ。そのため、僕はどんなサーブを打つにも同じトスを上げる必要があった。

他のコーチがピートのドリルを採用しているという話は聞いた事がないが、いいドリルだ。だが難しい。特に始めたばかりの頃は。僕たちは何年も何年も、何回も何回も、このドリルをやった。現在、僕はサーブの種類を打ち分けるのに、ストロークの技術面を意識する事はない。自分がどうやっているか正確には分からないので、この写真の説明をするには適してない。僕はただ自然にやっているのだろう。

フラットとスライスのサーブはファーストサーブで用いる。キックサーブはセカンドサーブだ。キックサーブの時は、トスが少し左寄りになる。(フラットとスライスでは、トスは変えない)

キックサーブはより高いアーチを描くので、安全性が増す。通常キックサーブは相手のバックに打つと思われているが、場面によってはフォアに打つ事もできる。

たとえば、昨年のUSオープン準々決勝アレックス・コレチャ戦の第5セット、タイブレークで打ったセカンドサーブのエースは、スライスではなく、フォアのワイドへのキックサーブである。

僕の3種類のサーブに対するトスは、100パーセント同じではないが、非常に似通っているので、リターナーは読みにくいのだ。コレチャに訊いてごらん。

スライスサーブ(上の写真)とフラットサーブ(下の写真)は、基本的に打つ瞬間まで同じである。スライスの時はボールの外側を打ち、フラットの時はボールの真後ろを打つ。


腕の柔軟さを保とう

柔軟な腕は、ビッグサーブのカギだと思う。ありがたい事に、僕の腕はとても柔軟だ。補助があれば、この写真のように、背中の後ろで肘と肘をつける事ができる。肘をつけ合わせるのは、いつも練習の前後にトレーナーと行う、肩・肘・手首のストレッチの1つである。

まず腕を回して柔らかくし、胸の前で交差してストレッチする。手首を上下・左右に曲げる。これらすべてのストレッチをゆっくりと徐々に、筋肉が完全に暖まるまで行う。

肘を後ろでつけ合わせる事はなかなかできないし、無理をすると怪我するおそれもあるが、
プレーの前後にパートナーと一緒に、腕の関節と筋肉をいっぱいまで動かすエクササイズを勧める。柔軟性が増せば、サーブの大きな助けとなるだろう。


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