アメリカ版TENNIS
1997年7月号
ネットゲームを上達させる方法
文:Pete Sampras、プレイング・エディター
  Alexander McNab


コート前面の基礎的事項


ネットは僕が最終的に位置したい場所である。サーブ&ボレーにしろ、ステイバックして強いグラウンド・ストロークを打つにしろ、最終的には僕はネットにつきたい。前に行きボレーをするのは、僕がプレーを支配し、試合の流れを決めようとするサインなのだ。

現在、真のサーブ&ボレーヤーはそう多くない。ステファン・エドバーグが最後だっただろう。なぜか? サーブ&ボレーゲームをするには、何年もの経験と、ネットでの確かな感覚が要求されるからだ。

高い運動能力、優れた反射神経と、予測力を必要とする。ジュニアにとってはベースラインゲームの方が容易で、多くのプレーヤーは、心地よい場所から遠く離れようとはしないのだ。

良いネットプレーのための要素を挙げてみよう。

前へ出るために、すべてのオプションを使おう
サーブ&ボレー、強いフォアを打って前に詰める、バックのアプローチショットを打って前に詰める、リターンでチップ&チャージをかける。僕が時折リターンで相手にプレッシャーをかければ、大事なポイントで、彼はダブルフォールトを犯すか、パスでミスするかも知れない。

ボールから目を離さないようにしよう
アマチュアの人がしがちな事だ。ネットでは事が非常に速く起こるので、瞬時に判断を下さなければならず、過剰反応してしまう。ラケットを振りすぎたり、相手を見てしまうのだ。カギはボールに集中する事。

非常に短いスイングをしよう
ボレーは、多くの技術的動作を伴うサービスとは違う。ストロークの長さはほんの1〜2フィートで、基本的にはブロックである。体重を前方にかけ、相手の球のペースを利用して正面で打つ。僕は安全性を高めるため、少しスライスをかける。

肩をターンさせよう、特にバックボレーの時は
良いテクニックである。

ラケットヘッドを上げておこう
レディ・ポジションの時、僕はラケットをバックハンド寄りに構える。ボレーでは余計な動作は必要としない。ラケットヘッドを上げておき、短くて快いものにできる。

経験から予測の仕方を学ぼう
相手がどんなパスを打つか見きわめられるようになるのに、僕は何年もかかった。予測力を上げるためには、充分な経験を積まなければならない。

パスで抜かれるリスクを受け入れよう
パスで抜かれるのは、ネットへ詰める事の代償である。試合を通して攻撃を続け、相手がパスをミスするようになる事を望むのだ。もし相手が4オール、30-40のブレークポイントでいいパスを打てたら、それは仕方がない。パスで抜かれてポイントを失うと、前に出続けるのはつらい。しかし僕は自分にそれを強いる。最終的には、プレッシャーをかけ続ける事が効いてくるのである。



決めのボレーの技術について考えてみよう

いいファーストボレーを打って相手をコートから追い出したら、パスに対してセカンドボレーを打つが、この場合、パスは通常ライン沿いに来る。そのパスをインターセプトできれば、ポイントを取るチャンスである。
起こりがちなミスは、打つ方向を見てしまい、ボールから目が逸れる事である。

このショットを打てばポイントが決まると分かっている時には、僕は意識的にショットの技術面について考える。つまり、姿勢を低く保ち、しっかりボールを打ち、ラケットヘッドを上げておく事。また頭を一瞬長く当てるポイントに集中させる(最初の写真)。そうすればミスしない。

バランスを保つためにスプリット・ステップをしよう

ネットに詰める時、馬鹿げた突進はできない。ボレーをするために、
相手が打つ一瞬前にスプリット・ステップを踏んで、スローダウンする必要がある。スプリット・ステップで身体のバランスをとる事で、ボレーのために左右どちら側にも反応できるのだ。

各自さまざまなタイプのスプリット・ステップをする。ボリス・ベッカーは少し前に突っ込む。技術的に完璧なのはエドバーグだった。彼は身体を低くしていた。ジョン・マッケンローは少し高い姿勢だった。

僕はどちらかと言えばマッケンロータイプで、少しまっすぐ立っている(右の写真)。ボレー位置につくのは難しい部分だが、スプリット・ステップはそれをより容易にするカギである。

ハーフボレーの時は姿勢を低く保とう

ハーフボレーは僕にとって、おそらく最も厳しいショットだろう。とても素速いショットで、ボールはバウンドした後、こんな風にラケットに当たる(右の写真)。低い姿勢をとり、それを保たなければならない。もし技術的に何かまずい点があると、ミスをするショットである。

マッケンローは立ったままハーフボレーのできる唯一の人物だった。とても素晴らしい感覚を持っていたからだ。ハーフボレーはエラーが許されない。とてもいいショットを打たないと、相手は簡単なパスを打ってくる。ハーフボレーを打たなくて済むように、いつも充分ネット近くに詰められれば申し分ないが、このショットもネットプレーの一部なのである。

ローボレーは深く打とう

ハーフボレー同様、ローボレーも非常に難しく、カギは低い姿勢をとる事。
弱い守備的な立場にいるわけだから、このショットで目指すのは、トラブルを回避する事である。

僕は相手に簡単なパスを打たせないように、低く、センターから遠ざける事を心がけている。

そして次のショットがネットより高い事を願う。低いファーストボレーを打つ時は、多分サービスラインより少し後ろに位置しているだろう(左の写真)。よりネットに近づきたいのだから、深く打てば次のボレーに備える時間がとれる。

ドロップボレー(挿入写真)は、ネット近くでのローボレーのオプションである。
ドロップボレーを打つには、インパクトでラケットヘッドが下がるよう、柔らかさが必要がある。だからラケットを固く握りすぎてはいけない。

ドロップボレーをうまく織り交ぜよう。とりわけ堅実な深いボレーを打って、相手がずっと後ろの方にいる時には。

ハイボレーの時は足を動かし続けよう

浮いてきたリターンをハイボレーするのは、僕にとっては最も簡単なショットである。僕の考えはウィナーを打つ事だ。ミスすべきでないショットで、もしミスしたら、それはアンフォースト・エラーである。

しかし娯楽のためにプレーする多くの人にとっては別の話になる。高く浮いた球が返ってくると、目を大きくして相手がどこにいるか見て、ボールをネットにかけてしまう。

このショットのカギもやはり、ボールから目を離さない事。
ボールが浮いていると、自分自身のペースを生み出すため、普段より大きなスイングをするからだ(右の写真)。

フォアハンドのグラウンド・ストロークほど大きくはないが、基本的なフォアボレーよりは大きい、中間のスイングである。


もう1つのカギは、足を動かし続ける事である。バランスを取るためにスプリット・ステップをしたら、そのままショットに向かっていきたい(右の写真)。

理想的には、短く素速いステップをとりたい。パワーを加えるため、サーブ&ボレーもしくはアプローチによる、前への勢いを利用しよう。

ターゲットについては、少し安全策をとれる。ラインを狙う必要はない。ハイボレーにいいペースをつけられるからだ。


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