ミルフォード・デイリー・ニュース
2012年3月17日
なぜそんなにも多くのテニスプレーヤーはひどいサーブを持っているのか?
文:Bob Tremblay


1968年からテニスをプレーし、10年間テニスを教え、そして40年間プロテニスを見てきた者として、私はいつも唖然とする。こんなにも多くのクラブプレーヤー、さらにはプロさえもが、実にひどいサービスゲームをする事に。

エレナ・ディメンティエワがサーブしようとするのを見た事のある者は皆、スポーツ界で最も気の毒な見せ物の1つを目撃したのだった。これは世界ランキングの3位に達し、2008年オリンピックでは金メダルを獲得し、そしてフレンチ・オープンとUSオープンでは決勝に進出した選手の話である。そして彼女のサーブは、救いようのないほどひどかったのだ。もし彼女がまずまずのサーブを持っていたとしたら、どれほど多くの成功を収めていたか、想像してほしい。もちろん、彼女1人の話ではない。近頃、多くの女子プロはサーブに苦しんでいる。ダブルフォールトとサービスブレークは、ほぼ日常茶飯事となっている。それは、プレーヤーがベースラインですべての時間を過ごすと、起こる事なのだ。同様に、男子も問題を抱えている。

なぜある選手たちは他の選手たちよりも優れたサーブを持っているのか? 身体の大きさ、テクニック、才能、心構え? なぜロジャー・フェデラーはラファエル・ナダルより優れたサーブを持っているのか? ナダルは明らかにロジャーよりも筋骨たくましいのに。両者とも身長は6フィート1インチである。両者とも途轍もなく才能がある。理論的解釈を提示してほしい。

すべてが同等である時、サーブはゲームを変えるものとなり得るのだ。ピート・サンプラスやマルチナ・ナヴラチロワに尋ねてほしい。ピートがベースラインからプレーしたとして、あれらのタイトルをすべて獲得しただろうか? マルチナについても同様である。もしアンドレ・アガシとクリス・エバートがもっと優れたサーブを持っていたら、さらにどれほど多くのタイトルを獲得していたか、考えてほしい。セレナ&ビーナス・ウィリアムズの成功の多くは、強力なサービスゲームのおかげである。強力なサーブは、速いポイントのおかげでプレーヤーのエネルギーを節約するだけではない。サービスブレークは敗北をも意味しうると知らしめる事で、対戦相手のサービスキープにプレッシャーを掛けるのだ。サービスの重要性は、タイブレークではさらに強まる。サービスリターンのほとんどをしくじり、どっさりのアンフォースト・エラーを犯そうとも、なおサービスエースとウィナーでセットを勝ち取る事ができるのだ。強力なサーブが勝利を保証する訳ではないが―――平均以下のグラウンドストローク、程度の低いフットワークとまずい心構えを持っているプレーヤーは、トッププレーヤー相手にある程度まで剛速球サーブをノリノリで放つだけである―――勝利を損ねるものでもない。

サーブの重要性、そしてサーブは自分が完全に制御権を持つ1つのショットであるという事実を考えれば、もっと多くの人々がその向上にもっと時間をかける筈だと考えるだろう。クラブプレーヤーはグラウンドストロークに多くの時間を費やし、概してサーブを無視するのだ。彼らはボールをコート内に入れ、そこから始めるだけで満足するのだ。もちろん、もしリターンの上手い対戦相手に出くわすと、彼らは困難に直面する。私は元テニス教師として、平均的なテニスプレーヤーのサービステクニックがいかにお粗末かに愕然とさせられる。あり得ないモーション、児戯に等しい打ち方。

皆さん、サーブを打つ方法はただ1通りだけで、それはプロが実行する方法なのだ。まあ、彼らの大半が。当然ながら、この実行は容易ではない―――エレナに訊いてほしい―――適切なバランスを学び、ボールトスを向上させ、そしてボールにスピードとスピンを加える振り抜き方をマスターする必要があるのだから。集中力も不可欠である。しかし私ができるなら、誰にでもできるのだ。レッスンを受け、たくさんのボールを集め、練習、練習、また練習をしてほしい。確かに、すべてのレッスンと練習も、筋肉運動の調整力と強度に欠けるクラブプレーヤーを助けるものではない。しかし優れたサーブを身につけていく事は、突風の中でオーバーヘッド、トップスピンロブ、スイングボレーを打とうとする事よりも遙かに簡単なのだ。

だから、クラブプレーヤーの皆さん、もしあなたのサーブが子供の遊技のようならば、1〜2回―――あるいは3回―――のレッスンを受け、正しいサーブの打ち方を学んでほしい。あなたはそれに満足し、そしてあなたの対戦相手は、ガックリするだろう。


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