特別編 我が家のテレビの前
2006年 2月 24日 荒川静香
第20回オリンピック冬季競技大会(2006/トリノ)女子フィギュアスケート.荒川の演技は素晴らしかった.何と言っても振りがいい.単にスケートの技を散りばめたのではなく,動きに流れと必然性がある.ジャンプするためだけの助走がほとんどなく,着氷後に動きが止まってしまうこともない.技と技の間の動きにも意味があるのだ.手や指は流れるように語るように動く.これは氷上の舞である.日本人は体型的に西洋型の運動や舞は向かず,荒川も身長は166cmしかない.その見栄えがしないはずの身体が氷上で舞い,このときフィギュアスケートはスポーツから舞台芸術になった.
村主は,荒川の前に滑っていたら,もう少し点が伸びたかも知れない.また,コーエンとスルツカヤがジャンプで転んでしまったのは残念だった.この二人が完璧な演技をしていたら,荒川の金はなかったかも知れないが(荒川とコーエンの得点差は7.98で,コーエンは転倒がなければ逆転していた可能性がある),芸術性では遥かに優れていた.