姉萌え憲章

0 はじめに

 私はお姉さんが大好きである。ということで、姉萌えのあるべき姿について考えてみたい。

1 お姉さんの定義

1−1 お姉さんとは、お姉さん魂(スピリット)をもったキャラクターのことである。

 1−1−1 魂をもっていれば、血縁非血縁を問わない。姉原理主義の一派には、血縁以外認めないものもあろう。そのような主張を理解できないこともない。しかし、ここでは広く姉萌えを位置づけることを目指す。

 1−1−2 魂をもっていれば、年上年下を問わない。ただし、1−4で述べる理由により、お姉さんは年上であることが多くなる。

1−2 お姉さん魂とは、弟妹を守り慈しみたい、という愛である。

 1−2−1 「守り慈しむ」である。たとえば、「教え導く」ではない。すなわち、教師系のキャラを安易に「お姉さん」と呼ぶべきではない。また、「支配し服従させる」のでもない。すなわち、女王様系のキャラを安易に「お姉さん」と呼ぶべきではない。たとえ年上であっても、それだけではお姉さんではない。たんなる先輩キャラも然り。庇護の要素が重要なのだ。

 1−2−2 この、守り慈しみたい、という愛が、実際にどのような形態をとって表現されるのか、は、各々のお姉さんの個性による。愛情の裏返しでいじめたり、という屈折した表現ももちろん許される。

1−3 お姉さん魂は見返りを求めてはならない

 1−3−1 お姉さんの愛は無償の愛。見返りを期待しない。自分の幸せはわきにおいて、弟や妹をとにかく守り慈しむこと、それ自体が目的になっていなければならない。ここは、とにかく自分をかまってほしい妹系キャラとはベクトルの向きがまったく逆である。妹の場合には、兄のほうに見返りなしに妹を庇護することが要求されるわけだ。見返りのなさは近親系属性の特徴であると言えよう。また、報酬を伴う労働に基づく属性であるがゆえに、庇護者であっても、医者や看護師系のキャラを安易に「お姉さん」と呼ぶべきではない。

1−4 お姉さん魂は能力的な優越にその理由をもってはならない

 1−4−1 自分より実際に能力が弱い存在を守り慈しむ、というのは、あたりまえのことだ。このような理由で行動する人は、お姉さんではない。ただのいい人優しい人である。お姉さんはそうではない。相手が自分より実際に弱いかどうかには関わりなく、「私のほうがお姉さんだからお姉さんしなきゃ」と思っていなければならないのである。守り慈しむ理由づけが「お姉さんだから」なのだ。これぞお姉さん魂。ここから、お姉さんはほぼ年上に限定されることになる。ここで、委員長属性と比較してみるのが面白い。委員長においては、行動の理由づけが「委員長だからしっかりしなきゃ」となっているだろう。しかし、多くの場合、委員長には能力で選ばれるので、姉の場合とは事情が異なってくるわけだ。上司上官系属性についてもこれは当てはまるだろう。

2 お姉さん萌えの肝

2−1 お姉さんは背伸びしている

 2−1−1 定義から、立派なお姉さんであることがいかに難しいかがわかるだろう。それでも、お姉さんであろう、とするのがお姉さん魂である。すなわち、お姉さんはお姉さんであろうと頑張っていなければならない。実際の実力以上の背伸びの感覚が垣間見えることに、お姉さんの萌えポイントの一つがある。たまにちょっとお姉さんっぽくないことをやってしまうところに萌えるわけだ。

 2−2−2 お姉さん萌えと母萌えとの違いがここにある。母親系キャラの萌えは、愛の対象を肝心なところではきっちりと守り慈しむ点にある。保護に失敗したら、母親失格なのだから。その一方、お姉さん系キャラの萌えは、きっちり守り慈しもうとしつつも、ちょっと失敗する点にある。お姉さんは、がんばっていれば、ちょっとくらい失敗してもお姉さんなのだ。

2−2 お姉さんもやっぱり女の子である。

 2−2−1 お姉さんとしての役割をきっちり果たすだけでは、萌えは生まれない。お姉さんとは別の要素が入ってこなくてはならない。不純物は悪いものではない。アルミニウムに不純物が混じってルビーやサファイアといった宝石ができるのだ。では、その不純物とは何か。お姉さんもやっぱり女の子、という要素である。お姉さん的振る舞いのそこかしこから垣間見える女の子に萌えるのだ。

3 弟への注意点

 お姉さんには弟がいる。弟あってのお姉さんである。ここから次のことは明白である。弟がきちんと弟として魅力的でないと、お姉さん萌えは阻害されてしまうのだ。ありがちな落とし穴として指摘したいのは、お姉さんをお姉さんらしくしようとするあまり、弟がダメ人間化してしまう、という事態である。これでは本末転倒。人間的に魅力のない弟は、お姉さんの光をも翳らせてしまうだろう。弟であるかぎり、姉には勝てない。しかし、姉以外にたいしては身に恥じるところがあってはならない。
 弟よ、お姉さんに相応しい漢たれ

4 おわりに

 ・・・というわけで、お姉さん萌え
 姉萌えの天下がくる日はいつだろうか。近いのだろうか。

<追記>

 その後いろいろと考えた結果、以上の議論の大半についてどうしようもなく間違っているという認識に至った。全然駄目だ。私の新しい立場としては、「姉萌えにおけるコントラストの重要性について」を参照されたい。

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